フランス文化担当の江中です。
今年はゼミに、なぜか小説やオペラをやりたいという学生が集まりましたので、ついうっかりと、翻訳でスタンダールの『恋愛論』でも読もうかと言ってしまったのです。遠い日の記憶でだいたいの内容は分かっているつもりだったのですが、いざ毎回のレポーターを決めて少しずつ読み始めてみると、何のことはない、まったく知らない本でした。学生たちにはしらばっくれていますが、じつはこれがかなりショックでした。こんなにも忘れるものだったのかという感慨と、もう一つは、学生の頃読んだときには何にも分かっていなかったにちがいないという発見です。
乗りかかった船で今さらやめるわけにもいかず、トシの功をふりかざして何とか輪読を進めていますが、ちょこちょこ知識を足して説明しても、学生たちにはやっぱり難しいのじゃないかしらただ、どうやら普遍だと思われているらしい「恋愛」が、時代や文化や語る人によってまったくちがって見える、とは感じてくれたかな。
うーん、このつぎは是非とも、もっと彼女たちに近い草食系だか中性的だか、異文化ではあってもせめて今日的なものを読むことにしましょう。そしてできれば、学生たちに解説してもらい、わたしは質問に徹したいと思っています。