歴史の流れ

もうすぐ入学式ですね。

皆さんは、歴史文化学科のどのような分野に興味をお持ちでしょうか?

文化財学を担当している武田です。4年生になると卒業論文に取り組みますが、私のゼミでは、漆器や仏像の修復にも取り組みます。写真は小畑さんと齋藤さんが2006年度卒業論文として取り組んだ、獺沢(うそざわ)貝塚から出土した縄文時代の「赤漆塗り土器」と「籃胎漆器」の保存処理後の様子です。陸前高田市教育委員会から、修復の依頼を受けました。陸前高田市は岩手県でも一番温暖な地で、国指定の貝塚遺跡等もあり、風光明媚な土地柄です。現地に赴き、出土状況等伺い、また、市内の遺跡や文化施設をくまなく案内していただきました。夏休みも返上して研究に取り組み、修復した資料です。

籃胎漆器の修復
赤漆彩土器の修復
獺沢貝塚からみた対岸の陸前高田市内
漆製品が検出された地点

 

 

国指定史跡中沢浜貝塚
縄文時代の骨が表出

 
 

でも、残念なことに、今回の津波で全ての資料が流されてしまったようです。四千年余の後に掘り出され、数年間でまた土に還ってしまいました……..。

 自然災害、科学技術を駆使した施設の問題に加え、世界情勢も緊迫しています。歴史を様々な方向から学び、自己なりの視点を確立していく必要が今迄になく要求されてきていると感じます。昭和でおおいに学び、羽ばたく準備をして下さい。

今年は、歴史の流れの中で生きていることを実感する、例年になく想いで深い入学式になるのではないでしょうか。