考古資料を見る③

山本暉久です。
 「考古資料を見る」の3回目です。今回は前回と同様、昨年11月に資料見学旅行を行った
さい見学した、長野県南佐久郡川上村にある大深山遺跡から出土した「釣手(つりて)土器」
と呼んでいる独特な縄文土器の話です。
 釣手土器は、今からおよそ4,500年前の縄文時代に作られた土器で、文字通り釣手のつ
いた土器で、吊された状態で使用されたとも言われています。用途は、内部に煤(すす)が
付着している例が多いことから、ランプ(灯火具)とも考えられています。灯をともして室内で
行われたお祭りに用いられたのでしょうか。幻想的なイメージが湧いてきます。
 大深山遺跡からは、この釣手土器が3点出土しています。遺物が保管されている川上村
文化センターで、実際に手にとって観察と撮影を行いました。写真に示したのがその釣手
土器のうちの1点です。高さ約30cmの大きさで、まるで宇宙人の顔のようです。この不思
議な土器は、しばしば竪穴住居から出土し、しかも完全な形のまま残っていることが多い
特徴があります。資料を実際に手にとりながら、釣手土器を実感する貴重な機会となりまし
た(かなり重い)。資料見学に便宜を図っていただいた川上村教育委員会の職員さんにお礼
申し上げます。
 さて、山本暉久は、今年も、これから夏休みは山梨での発掘、それが終われば、ゼミ生と
ともに新潟・東北方面の遺跡・資料見学旅行などと、盛りだくさんに「手で考え、足で見よう」
を実践していきます。では、第4回目を楽しみに。to be continued

大深山遺跡出土の「釣手土器」
と大深山遺跡