日本美術史担当の植松勇介です。小生、歴史時代の鏡を研究しています。ですから、鏡の展覧会が開催されると、かなり遠方でも出かけます。先日は日光へ行ってきました。
日光といえば、皆さんは東照宮を思い浮かべますか?しかし、日光は東照宮が創建される遥か昔から山岳信仰の霊地でした。その中心が男体山です。
標高2484mの男体山頂上には祭祀遺跡があります。これまでに鏡や仏具、銅印や銅銭など約一万点が出土しました。そのうち、鏡は100面以上を数えます。
現在、二荒山神社中宮祠の宝物館では男体山出土鏡のほぼすべてが展示されています(~6/30まで)。鏡を研究する者としては見逃せません。
男体山出土鏡は周縁が花形になった形式が多く、概ね11世紀頃の製作と思われます。同じ形式の鏡が多いのは祭祀において何らかのルールがあったのでしょうか。また、出土鏡には中国の唐時代のものを含まれています。興味深い鏡もいくつか見受けられました。今回はガラス越しでしたので、熟覧をお願いすることになるかもしれません。
小生は、見たいと思う鏡があれば、たとえ一面でも見に行きます。皆さんも気持ちを行動につなげてほしいですね。