轍を踏むことなかれ [2014年01月10日(金)]

新しい年のはじめにあたって、「今年こそは」と何ごとか胸に抱かれたことと思います。
夢や希望や野心は、生きている人間の、とくに若者の特権です。その実現に向かって工夫や努力をする。そこに進歩があります。目標を明確にし、計画を具体的に立てる。あとは一心不乱に突き進むだけです。
植物は、根・茎・葉が一様に平均して成長するのではない、とお隣の田中さんが植木に水をやりながら教えてくれました。ある時期は根が、ある時期は茎が、ある時期には枝葉がのびる。花が開いてしまってから肥料をやっても有効ではない、無駄であるというのです。学生には学生のやるべきことがあります。100円では100円のものしか、1000円では1000円のものしか買えないのです。
三軒茶屋の老舗パン屋の精養堂が新築のマンションに入って、昨年末から店名もフランス語に変えて、ペンギンぱんを売り始めました。「3羽くれ」といったら、西洋アンティーク好きの女主人から「来年は成長してね」といわれた。「ふん、もう遅いのだ。俺の花は疾うに散ってしまって、これから成長するなんてありえないのだ」とペンギンを頭から食いちぎりました。中はクリームだった。乳製品が苦手なわたしが、なんとか1羽食べ終えた。女主人の「来年は成長してね」の意味が少し分かったような気がしました。
若者は、すべき時にすべきことをしなかった老人の轍を踏むことなかれ、と祈ります。
                                                                                      (日本仏教文化史・文献取扱技能基礎担当・関口靜雄)