三大学共同ゼミの合宿に行ってきました!

こんにちは。西洋史の小野寺です。

先日このブログでもお知らせしましたが

共立女子大学国際学部国際学科 の西山暁義先生
立正大学文学部史学科 の森田直子先生
そして 昭和女子大学人間文化学部歴史文化学科 の私

という三大学の3年ゼミ、総勢40人程度で共同ゼミをやっています。
その目的などについては以前のブログをご覧いただくとして、今回は今月18日から19日にかけて国立女性教育会館において行われた合宿の様子についてご紹介したいと思います!

今回の合宿のテーマは「東ドイツ」。
東ドイツという国家はそもそも「不法国家」だったのか、国境警備兵やスパイとしてそれに関わっていた人びとの行為は許されるものなのかといったことについて、三部構成で学んでいきます。

第一部は、第1回の顔合わせで決められた班分けによるプレゼン。
一班が「シュタージ(秘密警察)」、二班が「計画経済」、三班が「壁龕(へきがん)社会」、四班が「社会主義が目指した理想」について、それぞれ20分ずつのプレゼンを行いました。


これは最優秀賞を獲得した、二班によるプレゼン。
社会主義における「計画経済」がどういうものだったのか、きちんと自分の言葉でかみ砕いてイラストつきでわかりやすく説明し、まとめもしっかりとしていた素晴らしいプレゼンでした。

こうやって参加者がきちんと情報を共有し、東ドイツについてのドキュメンタリーを3本短く見てもらった上で、第二部は班ごとの議論。
「KJ法」を用いて、一人一人が意見を持ち寄り、班としての意見をまとめていきます。


まずはこんな感じで、東ドイツのどの点が「不法国家」と言えるのか(あるいは、どの点においてそうではなかったのか)、そこに関与した人びとはどのような点で許されないのか(あるいは許されるべきなのか)について、それぞれが思いつく要点をポストイットに簡潔にまとめ、机の上に並べていきます。


それが終わったら、一つ一つのポストイットについて全員で意味を確認していきます。
この作業を丁寧にやることでお互いの考えていることがよくわかるようになりますし、そこに出ていない意見がまだないかどうかもチェックできます。


そしてその後は、それぞれをグループにまとめ、「表札」をつけていきます。
このポストイットとこのポストイットは同じことを言っている、といった風に類似したカードをまとめていきます。
概念化の作業ですね。

こうして、そこから自分の班の主張を組み立てていくわけです。

そしていよいよ第三部が「ディベート」。
弁護側、検察側、そしてそれを公平に判断する裁判官の三つに分かれて、思いっきり議論をぶつけ合います。


これは検察側の冒頭陳述ですね。
わが歴文のSさんが、鋭く切り込んでいます!


一方こちらは弁護側の冒頭陳述。


作戦タイム。相手の議論の「穴」を探り出します。


こんな感じで、双方立ち上がって激しい議論に発展することも。


学生&教員による投票の結果、わがゼミのIさんとSさんが優秀賞に選ばれました!


全員でパシャリ。みんないい顔をしています。
よくよく見ると右上には「勝訴」の紙が!(二班は検察側として「勝訴」判決を得たので)。

こうやって教室を飛び出し、しかも文献講読ではなくKJ法やディベートを通じて集団で作業するという経験は私にとっても初めてのことでした。
ですので、うまくいくのか非常に心配していましたが、終わってみるとそれなりにうまくいったという印象です。
ディベートは時々黙り込んでしまったり、準備してきた議論が十分に展開できなかったりと確かに不十分な点もありましたが、個人的にはKJ法での活発な議論が印象的でした。

人文系の学問というのは基本的に個人が単位ですし、孤独な作業ですが、こうやって「集合知」を結集することで一人ではなかなか思いつかないいろいろな意見が共有できるというのは、私にとっても印象的な光景でした。
また他大学の学生とふれあう中で、普段のゼミではなかなか見えてこない学生一人一人の「別の個性」が見えてきたところもあります。
個人的には、うちのゼミの学生に意外と(?)ガッツやエネルギーがあることがよくわかったことが、大きな収穫でした!

今回のゼミで皆さんに学んで欲しかったのは、一言で言えば「頭の整理の仕方」。
皆さんはこれから卒論に取り組んでいくわけですが、どうやって議論を組み立てるのかというその筋道がわかったのではないかと思います。
今回みんなの力でやっていったことを、これからは自分の頭の中でやっていってほしいと思います!