歴文教員の掛川典子です。2月16日(金)の午後に本年度歴文の卒論発表会が行われました。
本学歴史文化学科の魅力のひとつは間違いなく学生が学べる分野の多様性にあります。卒論発表会ではそれぞれのゼミから代表者が出て、PowerPointとレジュメと『卒論概要集』を用いて4年生のみならず1年生からの全ての歴文生に向けて、自分の卒論の内容を報告します。さすがに4年生になると発表も堂々と立派で、分かり易く工夫が凝らされ、大変興味深い内容が伝えられます。歴文は先生方の専攻分野が多岐にわたり、分野が異なると方法論も異なるので、1年に一度こうして他の研究分野のゼミ生の発表を聞けるのは本当に面白く楽しみです。若い方は感性が鋭くかつ柔軟で、ご自分自身のテーマとして選んだものが、実は時代の最先端の意識を反映していることがわかり、感心させられます。斬新なテーマを設定し、緻密な先行研究・文献・資料の整理、地道なフィールドワーク、インタビュー調査や現地の聞き取りなど、たくさんの方々の協力も得て、論文へと集大成させました。歴文生は誠実で堅実で思いやりがあり、人柄がとても良いので、現地調査ではいつも歓迎されてきました。1年生に入学してきたときの事なども思い出しつつ、こうして成長した姿を実感できて、感無量でした。卒論としては群を抜いて優秀な論文が続きました。大学院に進まれる方も就職される方もおり、進路は様々ですが、是非問題意識を持ち続け、研究を続行してほしいと願っています。個人的には「冥婚」の日中韓の比較研究に最も興味を引かれました。時間がたっても癒やされない残された者の心が、この科学の発達した現代においてすら死者の冥婚を望むのでしょうが、理屈では割り切れない人間の心の複雑さと文化・社会の交差する地点に思いをはせました。
写真は終了後のものです。本年度をもって歴文を退職する教職員4名がご挨拶申し上げ、花束をいただきました。掛川は本学に勤務して32年になりました。たくさんの良い出会いがあり、優しい学生と同僚に恵まれ、思い出もいっぱいです。幸せな充実した時間を有難うございました。