「昭和女子大学のアーキビスト課程をご紹介します」③

皆さん、こんにちは。
今回は、歴史文化学科の3年生が、注目されている「アーキビスト課程」について三野先生に質問しました。アーキビストに少しでも興味がある方、必見!引き続き、後半です!

 

-「今年から昭和女子大学でもアーキビスト養成課程が始まりました。三野先生もアーカイブズ学の研究者として指導に携わっていらっしゃるとお聞きしています。アーキビストとはどんな職業か、教えてください」

三野先生「記録・記録資料を管理するということがアーキビストの仕事の基本です。日々発生する行政資料の中から遺していくべきものを選び、遺すべきものは永遠に遺していくための手立てを講じて、公開できるようにする。これがアーキビストの一番の基本的な仕事ですね。また、行政資料以外にも遺し伝えていくべき資料はたくさんあります。これらも永遠に遺してみんなが使えるようにしていくための実践をしていくということになります。」

 

-「大学では、昭和女子大学認定アーキビスト2級を取得することができますが、この資格は社会で、どのように活かすことができるのでしょうか。」

三野先生「2011年に「公文書等の管理に関する法律」という法律ができて、2年前に認証アーキビストができ、今まさに、ようやく制度ができてきているところです。「公文書等の管理に関する法律」は政府機関を対象にしたものですが、それだけじゃなくてやっぱり社会全体に「こういうことをやっていかなければいけない」という意識が生まれてきています。地方自治体はもちろんですが、民間企業でもそういう動きが活発になってきています。それぞれのところで、「これからこういうことをやっていこう」という意識が高まってきてはいます。しかし、そうしたときに、やれる人がいないわけです。そもそも学部でアーカイブズのことを学べる大学がほとんどありません。なので「そういうことをやりたい」という企業や地方自治体にとってみれば、こういうことを既に勉強している人がいるということは、非常に大きいと思います。そういう点で、公務員や民間企業を目指す場合に武器になるのではないかと思います。また、まだそこまで大きな産業になっているとは言えませんが、自治体とか企業のアーカイブズの整理や管理を請け負う企業がたくさんできています。そういう企業では、アーカイブズを勉強してきた人が必要なので、新しい業種が広がりつつあります。そういった企業でも、学部でこういうことを勉強した人は少ないので、ぜひ武器にしてほしいなと思います(笑)。」

 

-「歴史文化学科では、アーキビストの他にも教員や学芸員、司書など様々な資格がありますが、アーキビストと併せて取得した方が良い資格はありますか?」

三野先生「単位数の問題があるので、どれもこれもとは言えないんですが、まずは教員です。学校教員としてアーカイブズについて知っていること自体が、社会にアーカイブズを広めるうえで非常に重要なこともあります。職場としても、学校教員は県の公文書館に配属される可能性があります。なので、公立学校の教員になりたい人がアーカイブズについて勉強しているってことは、一つの武器になると思います。それから学芸員と司書です。これはミュージアム・アーカイブ・ライブラリーの頭文字を取ってMLAと言うくらい、本当に密接に関わりのある機関です。職場も職務内容も非常に近接していて、人事交流も盛んにあります。なので、司書・学芸員・アーキビストの中で二つ三つ持っているということは、この三つの機関の役割や使命をよく理解しているということになるので、とても重要なことだと思います。実際に市役所で学芸員として採用されると、図書館と博物館と公文書館と本庁の文化財係とかに配属されることになります。また、一般職の公務員として採用された場合にも、司書や学芸員、アーキビストの資格を持っていると、希望を出せば高い確率で配属されます。とはいえこれらを3つ取るのはなかなか大変なので、歴文であれば学芸員を取っておくと、アーカイブズととても密接なので良いと思います。」

 

-「3年生以降から資格を取得するためには、どのようなプランで勉強すればいいのでしょうか。」

三野先生「4年生の前期に実習があるので、そこまでにできるだけ必要な科目を取っておくと良いと思います。後期開講の図書館関係の科目や記録史料論なども、3年次に取っておいた方が良いと思います。学芸員や司書を取っている人は、重複している単位を早めに取っておくと良いですね。アーキビストの単位数はそれほど多くないので、1、2年生でちゃんと単位を取れてれば、3,4年生でも何とかなると思います。」

 

-「最後に、アーキビストを目指す学生たちにひとことお願いします。」

三野先生「「アーキビスト」や「アーカイブズ」という言葉は、まだ全然聞きなれないと思いますが、これからの社会にとって、本当に必要になってくる仕事だと思います。今の時点ではなかなかイメージが湧かないと思いますが、これから先、5年10年のことを考えると、社会の中で需要が高まっていくものだと思うので、その際に学部でこのことを勉強していたということは、必ず役に立つと思います。仕事や生活の場面でも役に立つと思いますし、アーカイブズの考え方じたいが意味のあることだと思うので、ぜひ積極的に学んでほしいと思います。」

 

《終わりに》

三野先生、貴重なお話をありがとうございました。
先生のご趣味や学生時代の経験をはじめ、アーカイブズの意義と現状の課題に関するお話をいただき、ご専門への理解が深まりました。
昭和女子大学は社会に先駆けてアーキビスト養成課程を取り入れています。私たちも、アーキビスト養成課程を履修しており、アーカイブズやアーキビストの社会的な重要性を実感しています。
アーカイブズ学やアーキビストに興味がある方は、ぜひ一度、三野先生の授業を履修してみてください。