皆さん、こんにちは。
今回は、歴史文化学科の3年生が、注目されている「アーキビスト課程」について三野先生に質問しました。アーキビストに少しでも興味がある方、必見です!
-「アーカイブズ学とはどのような学問ですか?」
三野先生「アーカイブズ学にはいくつか柱があります。現在の日本では、一番の課題は行政資料(公文書)を適切に管理して、公開していく仕組みを作ることになります。これが現在のアーカイブズ学にとっての基本的なテーマになります。
アーカイブズとかアーカイブというのは、何かを遺していくという意味があります。行政資料に限らず、いろんな記録を遺していく、それから遺していくための仕組みを作る、方法を考える、遺していくための場所を作る、そのための理論を構築するとか、そういうようなことを考えるのが、アーカイブズ学という学問の基本的な考え方になります。
代表的なものは行政記録ですが、それ以外にも、歴史資料や、会社、大学とかに関わる資料もそうだし、フィルムや漫画の原画など、大切なもの、大切な記録を残し、公開していく、人類の遺産にしていくっていうことをいろんなことに関して考えていくということが、アーカイブズ学という学問です。
特に日本の社会の中では、遺していくということにあまり関心が払われず、いろんなものがちゃん遺っていないっていうことがありします。
なので、そういう社会の価値観を変えていくということ自体も大きな課題だと感じています。」
-「公文書館とはどんな施設ですか?」
三野先生「公文書館は、大きく分けて二つの機能を持っています。
一つは、行政資料(公文書)を取り扱う場所です。役所の中で普段使っている文書があって、それが一定の役割を終えた後、公文書館に移管されて、公開をしていくという、そういった場所になります。
行政文書は膨大な量が日々作成されていますので、全部を遺すことはできません。
段階的に選別をして、一定の割合で廃棄をします。
それで残されたものの最終的な行き先が公文書館になります。
理想的には、選別・廃棄のプロセスには全段階で公文書館・アーキビストが関与すべきだと思います。
行政のそれぞれの部署の人が自分で判断すると、文書の内容や重要性についてはよく知っているわけですが、客観性・公平性に問題があります。
公文書館にいるアーキビストが現場と相談して残すべきものを判断していくべきだと思います。こうした仕組みができるように、今はいろんな制度を作っているところです。
こうした公文書館のことを機関アーカイブズと呼びます。
もう一つは、歴史資料等を扱う場所です。
それぞれの時代で色々な組織とか、集団の中でなんらかの役割のために誕生した資料があって、あるものは廃棄され、あるものは遺されてきました。
歴史資料が遺されてきた仕組みは行政資料と同じなわけです。
そうやって遺ってきたものを歴史的公文書と呼びます。私たちの周りの歴史資料は、歴史公文書になった状態のものと考えることができます。
ただし、これは幕府や大名、村など文書を生み出した組織は既に存在しません。
かつてあった組織や集団に遺された資料を収集するので、収集アーカイブズと呼びます。
公文書館の多くは、収集アーカイブズと機関アーカイブズの両方の機能を持っています。
公文書館は、これらの資料を守っていく、公開していく場所になります。」
②につづきます!