2023年度 ヨーロッパ歴史文化演習記①

こんにちは!歴文4年の田端ひなのです。
3月8日から15日に行われた「ヨーロッパ歴史文化演習」の現地での演習に参加しました。
本プログラムでは1日目にローマ、2日目と3日目にフィレンツェ、4日目と5日目にヴェネツィアへ赴き、イタリア3都市それぞれの風土を感じながら、様々な歴史的建造物や、美術品や書物をはじめとしたアーカイブズを見ることが出来ました!
5日間の中で見た景色全てが色濃く思い出に残っていますが、その中でも特に印象深いものをピックアップしたいと思います。

サン・ピエトロ大聖堂
最初に見学したバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂は、写真で見て想像していた何倍も大きく、圧倒されました。
どこを見回しても豪華絢爛な装飾と精巧な彫刻で埋め尽くされており、カトリック教会の総本山であることを再認識しました。
聖堂内にはミケランジェロが設計したドーム状の「クーポラ」があり、1度見てみたいと思っていたのですが、礼拝の時間と被っており、祭壇からクーポラまでが規制されていたので見ることが出来ず…
またいつか見に行きたいと思います!

ウフィツィ美術館
2日目のフィレンツェで訪れたウフィツィ美術館は、メディチ家が集めた美術品の数々が展示されている美術館で、1日では回りきれないほどの室数と作品数があります。
今回はガイドさんの案内のもと、見所であるレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの作品などを、作品の解説を聞きながら鑑賞することができました!
1時間強で多くの西洋絵画に触れることが出来ましたが、そのなかで特に印象深かったのは、ボッティチェリの『プリマヴェーラ』です。
中央のヴィーナスを中心に、春を思わせる植物や、神々が描かれているこの作品は、繊細な色使いとタッチが特徴的な作品なのですが、実際に近くで見てみると、ヴィーナス横の3人の女神が纏っているヴェールの質感や、写真で見ると同化しており、しっかり見ることが出来なかった足元の草花を肉眼ではっきりと見ることができ、感動しました。
また、展示されている絵画だけではなく、美術館内の大きな廊下の窓から見えるフィレンツェの景色も素晴らしく、街並みすらも作品の一つのようでした!

サンロッコ大同信会
4日目のヴェネツィアで訪れたサンロッコ大同信会は、引率の湯上先生が開講している西洋史関連の授業において度々名前が挙がる場所であったことから、どのような新しい学びがあるのか密かに楽しみにしていました。
慈善事業を行う団体である大同信会の建物であるサンロッコ大同信会は、14世紀後半の聖者で、ペストを治したことで知られているサンロッコの遺体が聖遺物として掲げられています。聖遺物の中でも格の高い遺体を、お金を払いヴェネツィアへ持ってくることで、訪問者や寄進を増やし、大同信会としての地位向上や収入源に繋げていたそうです。
今回の見学で驚いたのは、大同信会内の壁と天井が一面絵画で埋め尽くされた荘厳な空間であったことです。その絵画の多くが画家ティントレットによって描かれたもので、2階の講堂スペースは彼の旧約、新約聖書の絵画で満たされていました。
講堂の奥には幹部会議を行う「アルベルゴ」と呼ばれる別部屋がありこの部屋の天井画はティントレットが初めて大同信会に寄進した絵画で、青色の部分は高級な絵の具であるラピスラズリが用いられているそうです。
ティントレットが描いた作品はどれも躍動感と今にも迫りくるような臨場感があり、まるで美術館にいるような感覚になりました。
現地のアーキビストの方による説明によって、サンロッコ大同信会に関する授業だけでは知りえなかった領域を学ぶことができた上、ティントレットという画家の作品に出合うことができて大満足の見学となりました!

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観光として見て楽しむだけではなく、歴史文化学科ならではの専門的な内容まで、幅広い学びがあった1週間でした。
また、渡航直前に飛行機会社がストライキを決行したり、乗るはずだった電車の便がなくなっていたり…と、日本で過ごしている中では滅多に起きないような事態にも見舞われましたが、新たに価値観や文化の違いに触れることができ、アクシデントすらも良い経験となりました!
本プログラムは来年も開催されるようなので、興味がある方、ヨーロッパをはじめ、西洋史が好きな方はぜひ参加してみてください!