心理学専攻の修士2年の大学院生の方に、2年間の大学院生活を振り返って記事を書いていただきました。大学院について知りたい方や進学を考えている方はぜひお読みください。
なお、2月6日(土)には修士論文発表会が開催されました。
当日の様子については、大学院ブログをご参照ください。
→2020年度 心理学専攻 修士論文発表会
また、同日に院生および修了生が参加した卒後研修プログラムも開催されました。
本学科助教の岩山が認知行動療法(CBT)について、現場での実践上の工夫を具体例をもとに発表しました。
当日の様子については、大学院ブログをご参照ください。
→2020年度 修了生臨床心理事例研究会「現場で使える認知行動療法の考え方」
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2年間長いようであっという間の院生生活でしたが、心理職として対人援助に携わるための知識や技能を専門的に学べたことはとても貴重な経験として培われたと感じています。
大学院の授業は、主に座学と実習の2つが主軸です。座学では、心理面接で必要になる理論や技法を専門的に学びます。授業の形式は、様々な理論について同期とディスカッションを行い、理解を深めていくような形式です。一方、実習は、内部実習と外部実習の2種類あります。内部実習は、実際に相談室に来談したクライエントに対して、研修中のカウンセラーとして面接を行います。面接にはスーパーバイザーがつき、カウンセラーとしての対応について、常に助言をもらいます。このスーパーバイズは、面接で行われたことについて自分の視点だけではなく、様々な解釈や視点に触れることで多面的な視点から考える必要性を学ぶことができました。外部実習は、医療機関と、教育機関、福祉機関等に実習生として現場における支援に携わり、体験的に学んでいます。
授業と並行してすすむのが、修士論文研究です。1年目はアイディアを指導教員とともに精査し、中間発表会で助言をもらいます。2年目は調査の実施、分析、執筆、提出、口頭試問、修士論文発表会でのポスター発表会と、卒業に向けて修士論文を形にしていきます。特に1年目は授業のコマ数が多く実習もあるため、研究計画を立てることに苦労しました。私は「青年期における恋愛および同性友人関係とアイデンティティとの関連」について研究をしました。元々全く異なる変数に焦点を当てた研究をしようとしていたのですが、何を検討したいのか行き詰まってしまった時期もありました。その時期が大学院1年の1月という研究計画を1から練り直すには危機迫った時期でしたが、ゼミの教授のご指導のもと約1ヶ月間で形にすることができました。自分自身の興味関心を研究という形にすることの大変さを感じましたが、興味深い結果が得られたときにはやり甲斐を感じました。
このような大学院の授業をとおして、心理職として対人援助に携わるために必要な理論や姿勢について深く学んできました。特に実践での経験は、自分自身の力量不足を痛感することも多く、苦しくなることもありました。そのような中でも、院生の仲間や先生方の存在は大きく、おかげで様々な経験を積み重ねることができました。
今年度は、新型コロナウイルスの影響で、授業がZoom形式になったり、実習期間が短くなったりと、様々な場面でイレギュラーな対応が求められることが多かったことが印象的です。しかし、新型コロナウイルスの感染が懸念されるような危機的な状況の中での支援について、体験的に学べたことはとても貴重な経験になったと思います。
大学院での授業をとおして様々な体験や学びを得たことで、心理職として対人援助に携わるための技能や姿勢とともに、心理職として支援に携わる覚悟を持つことができたと感じています。人の心に寄り添う専門家として学ぶことは多くありますが、院生生活をとおして学んだことを活かせるよう、今後励んでいきたいと思います。
(心理学専攻修士2年 武井)