Merete L. Kropp 先生による特別講演✨💐「The role of AI in early childhood development and education」

2/5(木)に昭和女子大学初等教育学科客員教授のMerete L. Kropp先生をお招きし、

『The role of AI in early childhood development and education

というタイトルでご講演いただきました。

🎨Merete L. Kropp先生💐

 駒沢パークインターナショナルスクール(KPIS)校長。米国や日本、セネガル等の国々で、幼児教育に25年間携わる。幼児教育に関する多くの記事をワシントンポスト等に寄稿。「自由遊びから自由に学ぶ」という教育方針のもと、子供達が教師や友達と共に自然の中で自分達の遊びを作りながら、創造力、協調性、コミュニケーション力を伸ばすためのカリキュラムを実践している。KPISは駒沢公園の隣に位置しており、自然の中での遊びの中で自律的に子どもの想像力や協調性、言語を伸ばすカリキュラムになっている。(昭和女子大学HPより引用)

駒澤パークインターナショナルスクール メレッテ クロップ校長 インタビューはこちら


Merete先生には今年度9月にも本学科の特殊研究講座にて、幼稚園から小学校への移行期において社会情動的学習(SEL)を促進する絵本の活用をテーマにご講演いただきました。

2025年度特殊研究講座の記事はこちら⬇️

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今回は、昨今、学生たちからも非常に注目が集まっているAIについて、Merete先生の見解と教育観を交えながらお話ししてくださいました。

まず、Merete先生が強調してお話ししてくださったのは「人間関係こそが発達の基盤である」ということ🫱🏻‍🫲🏻🌷

AIチャットボットや学習アプリは、特定のスキルを伸ばす「ツール」としては非常に優秀だが、子どもの脳を育む豊かな「サーブ&リターン」や、五感を通じた具体的な体験を置き換える「代替品」にしてはならないというお話を聞き、学生たちは自身のAIとの関わり方や、教育・保育現場におけるテクノロジーの在り方について、改めて考え、デジタルな抽象的概念に触れる前に、まずは具体的で感覚的な体験を積み重ねることの大切さを実感したようでした。

そして、教育・保育の現場が大きな転換期を迎えている今、教育者・保育者に求められるのはAIやテクノロジーを意図的に選択することであり、その選択の際に自問すべき3つのポイントについてお話ししてくださいました。

  1. その活動は、どのような学習目標に基づいているか?
  2. テクノロジーを使うことで、失われる貴重な体験はないか?
  3. それは、アナログでは得られない「独自の価値」を付加しているか?

🖇️アナログでできることをただデジタルにするのではなく、デジタルでしかできない体験を提供できるのかを吟味し、対話や泥遊び、手触りのある工作など、「五感を使う体験」とのバランスを意図的にデザインすることができたら、子どもの好奇心を刺激し様々な角度から成長を促すことができる。さらに、学習目標の設定に沿ったテクノロジーとのかかわりの中で、子ども自身がテクノロジーを客観的に見る目を養うこともできる。

このお話を聞いて、学生たちは、子どもがテクノロジーの便利さの裏にある依存性やプライバシーのリスクを正しく理解し、適切に関わるためには、教育者・保育者の意図的な選択と導きが必要不可欠であるということを再認識したようでした。

また、Merete先生は、これからの時代に必要な要素として「6つのC」を掲げてお話ししてくださいました。

▪Collaboration(協働)
▪Communication(コミュニケーション)
▪Critical thinking(批判的思考:情報を鵜呑みにせず、客観的に分析し判断すること)
▪Creative innovation(創造的革新)
▪Connection(つながり)
▪Community(コミュニティ)

AIが知識を補完してくれる時代だからこそ、人間にしかできないスキルがより重要になるというお話は、教育者・保育者を目指す学生たちにとって、非常に関心が高く、これらの要素を実用可能なスキルとして身に付けるために何をすべきなのかを考えるきっかけとなりました。

講演の締めくくりに、Merete先生は、学生たちにこう問いかけました。

「私たちは、テクノロジーを使って、子どもたちの世界を広げているでしょうか? それとも、狭めてしまっているでしょうか?」

この問いに対し、学生たちは、自分の教育観をもとにそれぞれの視点で講演内容への理解を深めている様子でした。

講演に参加した学生からの感想を一部紹介します。

現代社会においてテクノロジーは不可欠な存在であるが、特に発達段階にある乳幼児への影響については慎重な見極めが必要であると分かった。アイコンタクト、微細な表情の変化や行動は、現在のテクノロジーでは代替不可能な「人間特有」の要素であり、子どもは周囲の人間との情緒的なやりとりを通じて、言語や感情の概念を構築する。また、失敗を恐れずに試行錯誤する過程そのものが、子どもの学びを形作るのだと改めて学んだ。「失敗をしてもいい」という雰囲気や教師の姿勢が子どもたちのチャレンジ精神を刺激すると思った。私も教師になったら、これらを意識した学級経営を行いたい。

AIの特異性についての話が印象的だった。AIには感情は存在しないが、ChatGPTと会話すると、「寂しい」「嬉しい」といった感情語や絵文字を用いた返答を行う。この原因はなぜか分かっていないとのことだったが、私は少し違和感や恐怖を覚えた。現在のAIが生成する動画や文章には、真偽の不明なものが多く含まれているため、何が真実かを見極める能力がこれまで以上に求められていることが分かった。最も重要かつ基盤となるのは、外部のツールではなく、自分自身の思考力と判断力であると学んだ。

AIは、一人ひとりの発達段階や興味関心に応じた支援を可能にする点で、教育現場に新たな可能性をもたらす一方、使い方には十分な配慮が必要であることが強調されていたと感じた。特に幼児期は、人との関わりや実体験を通して学ぶことが重要な時期であり、AIがそれを代替してしまうのではなく、あくまで補助的な存在として活用する姿勢が求められると理解した。私自身、最近は分からないことがあるとすぐにAIに頼ってしまう習慣がついているため、便利さに流されすぎず、子どもにとって何が本当に必要な学びなのかを考えながらAIと向き合っていく姿勢が大切だと感じた。

子どもたちにとってコミュニケーションの第一歩はアイコンタクトであると聞いたとき、「子どもたちにとっては相手の機嫌や様子を伺うことが彼らの命に関わることである」という前に本で学んだ内容を思い出した。アイコンタクトによって大人の感情を読み取る能力は対人間でなければ、成立しないのだと理解した。今回の講義で、子どもの対話相手としてAIを用いることは避けたいと改めて感じた。
今回の講義で、赤ちゃんの泣き声も研究されているということに1番驚いた。赤ちゃんが泣いていても、お腹がすいている時なのか、トイレがしたい時なのか分からないため、その研究が進むのは興味深いことだと感じました。テクノロジーは急速に変化し続けているが、依存するのではなく、適度に利用していきたいと考えた。
子ども、特に幼児期の子どもは五感を使って学ぶということを改めて学ぶことができた。五感を使って学んだあとはおもちゃでもそれを認識することができ、画像でも認識できるようになり、文字でも認識ができるようになると知ったため、必ず最初には本物を提供することを意識していきたいと考えた。

 

学生は講演を聞き、新たな発見や、改めて実感したことさらに深く考えたいと思ったことなど、たくさんの学びの刺激を受けたようです。

最新の技術を取り入れながらも、子どもたちが「人間らしく」豊かな感性をもって成長できる環境づくりができるよう追及されているMerete先生からのお言葉は、将来の夢に向かって日々努力している学生たちの心に深く印象に残り、講演後の学生の眼差しはより強くなったように見えました。

Merete先生、貴重なご講演をありがとうございました💐
そして、今回の講演は、Icy先生(通訳翻訳舎)に通訳をしていただきました。ありがとうございました✨