授業「バイオテクノロジーと食品」では、藁田純先生(元農林水産省の畜水産安全管理課長)に外部講師として2024年12月19日に講義をお願いしました。テーマは「ノベルフードの開発から販売まで、その安全性と社会受容」でした。
ノベルフードという分類は、人にとって食経験がほとんどない新しい食品または食品原料を指し、安全性の承認がなければ新製品として販売することが難しい商品です。ノベルフードの開発から販売に向けて、スタートアップをはじめとする企業の取り組みだけでは成り立たないこと、社会受容がいかに重要であるか、解説していただきました。新しいバイオテクノロジーで作られた食品の例として、育種技術による品種改良の話に始まり、元祖ノベルフードとしてあげられる遺伝子組換え食品を説明していただき、さらに、ゲノム編集食品、昆虫食、細胞培養食品について講義が展開されました。
新しい食品が社会に受け入れられるために必要な条件は、安全性の確保、消費者の理解、公正な情報提供など、重大な課題ばかりです。ノベルフードをめぐって現場が直面する問題について、藁田先生には実例を紹介しながら解説していただきました。通常のテキストでは学ぶことのできない社会のリアリティを肌で感じられたでしょうか。食安全マネジメント学科は、サイエンスとビジネスの両輪を学ぶため、食料生産や食料問題を取り巻く社会に根差した課題に触れる授業を重視しています。リアリティのある学びに触れる経験が、本学生の将来に活かされることを期待しています。