1月8日(水)の「ソーシャルワークの理論と方法」の授業に厚生労働省年金局事業管理課給付事業室の石毛雅之室長を外部講師としてお招きしました。
ソーシャルワークによる支援の中には、利用者の方を直接支援する場合(ケースワークやグループワーク)のほか、地域を対象とするコミュニティソーシャルワークと言われるような地域づくりによる支援も含まれます。今回の授業では、石毛室長が出向していた柏市での取り組みを参考にして、その実際を行政の視点から学びました。
まず、柏市での特徴的な地域づくりの一つには、「豊四季台団地」での取り組みがあります。豊四季台団地は、1964(昭和39)年から入居が始まった団地です。そのため、だんだん入居者が高齢化し古い団地(エレベーターもない5階建て)では、生活に支障が出てきた中、ハード面の団地の建て替えとともに、在宅医療や生活支援、介護予防、社会参加等のソフト面の整備も視野に入れた地域づくりが行われたということです。具体的には、団地の建て替えとともに、在宅医療支援診療所や訪問看護事業所、地域交流スペース等をもつ医療・介護サービスの拠点整備をし、そのほかにも、コミュニティ食堂や特別養護老人ホーム、地域包括支援センターの設置など、高齢になっても安心で豊かな暮らし方ができる地域づくりが行われたことを学びました。
そうした中でも、柏市が力を入れた「フレイル予防」については、より詳しく学びました。
フレイルとは、要介護になる前の虚弱状態(健康と要介護の中間)のことで、この時期に適切な治療や予防を行うことで、身体機能や認知機能の低下を防げる(要介護状態に進まずにすむ)可能性があると言われており、いかに予防をするかが大切です。
そのため、柏市では、柏発の「フレイルチェック」などの周知・啓発活動とともに、電子マネーのWAONと提携して、「かしわフレイル予防ポイント制度」として、運動やスポーツなどの健康づくりや、ボランティアなどの社会参加をすることでポイントがたまる制度を実施しているということでした。
こうした取り組みのほか、柏市役所の方が作成したフレイル予防の動画紹介などもあり、行政の立場からのまちづくりの実際を様々な観点から学ぶことができましたが、その基本は住民の声を大切にするということであると理解しました。
なお、授業中には、LiveQを使って質問等も募りましたが、やはり上記のポイント制度や厚労省という国の立場と自治体の立場から、福祉にかかわることの違いややりがいなど、同じ行政でも異なる立場からのかかわりに関して関心があったようです。
本学科でも年々公務員(福祉職等)の就職が増えています。今日の授業のように、将来公務員として地域づくりにかかわることになる学生がいるかもしれません。その際には、ぜひ石毛室長が言われたように、住民の声を大切にした地域づくりを担ってほしいと思います。
(北本佳子)