この科目は、社会福祉士・精神保健福祉士との共通指定科目になっています。1年次前期に、「ソーシャルワークの基盤と専門職Ⅰ」として開講し、日本のソーシャルワークの国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士の法的な位置づけ、ソーシャルワークの概念や基盤となる考え方などを学びます。これらの学びをとおして、1年次後期に開講する「ソーシャルワークの基盤と専門職Ⅱ(専門)」では、ソーシャルワーク専門職の役割や多職種間連携の意義と内容について理解することを学習目標にしています。
「ソーシャルワーク」を一言で説明すると、社会福祉の専門職、すなわちソーシャルワーカーが行う活動を指します。その内容は、相談援助を含むものの、相談援助に限らない幅広い活動を指します。例えば、課題を抱えた個人やその家族の相談援助のみならず、多職種・多機関との連携、地域住民等との協働、顕在化していない課題に対応するための社会資源の開発といった活動も含まれます。このようにソーシャルワークは、その対象とする範囲や用いる方法、活動も幅が広いことに特徴があります。そのためこの授業では、ソーシャルワーク実践のイメージをつかめるよう、今日の社会状況にあわせて、「8050問題」「ヤングケアラー」「老老介護」の問題など、多様化・複雑化した人々が抱える生活問題の支援事例を取り上げ、専門職の役割やソーシャルワークの展開過程を学びます。
この授業は、講義科目ですが、毎回グループディスカッションや発表の場を設けて、学生同士が意見交換できるよう工夫しています。このように支援事例から考えていくことで、失業や病気、学業不振や経済的な困難は、誰にでも起こり得ることであり、その背景として社会的、環境的、構造的な要因が存在することがわかってきます。さらに今日では、個人の価値観やライフスタイル、性的指向や夫婦や家族のあり方も多様化しています。その実践を担うソーシャルワーカーとしての使命や役割など、この授業をとおして理解を深めたいと思います。(担当教員 根本)