日記ノススメ
新型コロナウィルスの影響を受けて、これまでにない閉塞感を感じる今日この頃ですが、みなさん、身体と心は大丈夫でしょうか。この閉塞感が何かに似ていると、筆者はほんのしばらくの間考えていたのですが、マスクを外した時に思い出しました!
『アンネの日記』です。この本は、みなさんご存知のようにユダヤ人系ドイツ人少女アンネ・フランクが、第二次世界大戦中、ドイツの占領下にあったオランダ・アムステルダムの隠れ家で書いた手記をまとめた日記形式の文学作品です。ドイツのユダヤ人狩りから逃れるために身を潜めて暮らすアンネの家族や同居人たちの生活が、みずみずしい感性で描かれています。
隠れ家の下がオフィスであったために、存在を知られないようにと神経をすり減らす毎日の中でも、彩豊かな暮らしを送るために、様々な工夫が試みられていました。そこには、今の私たちが見習うべきものが多くあります。一歩も外に出られない状況ではあっても、ドイツ人でアンネたちの生活を支えていた協力者・友人の名前を借りて、アンネたちは通信教育を受けていました。体がなまってはいけないと、狭い空間で音を立てずに体操をすることもありました。ラジオから流れてくるモーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に耳を傾けたりもしていました。そして恋もします。今の私たちよりももっともっと厳しい状況の中で。
そこで筆者からのおススメです。この機会に『アンネの日記』を読むことも勿論おススメなのですが、今の、この状況を日記にしたためてみませんか。緊急事態宣言発令の期間だけでも。メモ程度のものでもよいのです。今、何が起こっているのかを記録することが大切だと思うのです。周りがどのように変わっていったのか、その時どう思ったか等々を。新聞の切り抜き、ネットニュースのコピーを残しておくだけでもよいと思います。
やがて訪れるであろう新型コロナウィルス終息の際に、その日記を読み返すと結構面白いかもしれません。『アンネの日記』を読むと得るものがあるように、そこから何かを得られるかもしれません。いつの日か、何が起こったのかをお子さんやお孫さんに知らせることができるかもしれません。
かつて母から譲り受けた古い古い『アンネの日記』を思い出しながら、筆者もちょっとした日記をつけ始めました。もちろん新聞の切り抜きも。『アンネの日記』も読み返すつもりです。
池田美千絵