【福岡_社会調査研修レポート①】[講義]アジア映画の翻訳・字幕のお仕事について [2021年06月27日(日)]

こんにちは!現代教養学科、「社会調査研修A(国内)」映画班です。

2021年6月12日(土)にアジア映画の翻訳・字幕作成に携わる企業、「スタンス・カンパニー」代表の坂口一直氏を講師としてお招きしお話しいただきました。

 

私たちは、社会調査研修の中で福岡市の「アジアンマンス(アジアンパーティ)」について調査しています。この研修は、福岡とアジア、アジアと日本の関係について知り、考えることが目的です。1990年代初めから約30年にわたりグローバルな視点で福岡市が進めてきた地域おこしのイベント「アジアンマンス」の一つに「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」があり、これは福岡としてはアジアとの交流、地域おこしのためのイベント、私たちにとっては映画を通してアジアに関心を持ち、学ぶことができるイベントです。

アジア映画について知ることがアジアへの理解を深めるための入り口になります。今回の講義では映画の翻訳や字幕作成から、アジアについていろいろ伺いました。

 

スタンス・カンパニーは元々、映像を作って写す仕事をしていた会社です。「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」では、30年もの間映画の翻訳や字幕作成を行ってきました。アジアの映画の翻訳といっても、アジアは大変広範囲にわたる地域である上に、言語も地域によって様々です。近年では、国際映画祭に出品するために多くの映画が既に英語字幕をつけているのでそこから翻訳を行います。しかし、昔は英語字幕なしの作品も多く、現地の言葉を翻訳できる人を探すところから始めました。特に少数言語の翻訳者は日本に数人しかいないほど少なく、大学や大使館などに協力してもらっていたようです。

アジアフォーカス・福岡国際映画祭では、初めの10年間はインド、ベトナム、モンゴルなどといった国別の特集を多く取り入れていました。2000年以降は、国を超えた監督同士の合作なども見られます。さらに、歴史的事件を題材とした作品や、耳の不自由な方も楽しむことができるバリアフリー映画の上映も行われました。

 

映画字幕の作成では字数に制限があること、一度に画面にだせる分量が限られていることが特徴です。基本的に1秒4文字、タテで最大10.5文字×2行、ヨコで13文字×2行という制約の中で翻訳作業、字幕作成を行います。

字幕原稿を作る上で初めに、原語の台本を作成します。近年の映画は英語字幕がついているものも多いですが、90年代の映画では台本が存在しない、もしくは完成したものとセリフが異なる場合があります。その場合は、原語翻訳者に聞きおこしを行ってもらう作業が必要となります。その後、日本語全訳を行いハコ割り、スポッティング、日本語字幕、英語字幕をつけるなどの作業を行い映画の字幕作業を行います。

字幕を打ち込む作業は、2010年以前行われていたパチ打ち方式、レーザー方式の代わりにDCP(デジタルシネマパッケージ)に上映方式を変更したため、以前行われていた方式はDCPでのデジタル作業に移行しています。

現代の最新技術に伴って映画作成の方法も変化しています。今の技術で作られたものと過去に作られたものを比較してみたいと思いました!

 

今回の講義ではアジアフォーカス・福岡国際映画祭における字幕作成・投影方法や映画の変遷を社会的背景とともに学ばせていただきました。映画を作製する際の本国での厳しい検閲の目、映画祭作品選出の工夫や基準、少数言語の翻訳者を探す難しさなど、映画を上映するためにさまざまな努力がなされてきたことに驚くことが多かったです。改めて、日本におけるアジアとの文化交流に貢献してきた方々に尊敬の念を抱きます。

 

福岡の地域おこしやアジア映画の発展に貢献してきたアジアフォーカス・福岡映画祭は残念ながら第30回目の開催が最後となってしまいました。私たちは今回の講義で学んだことを活かして福岡におけるアジア映画の今までとこれからを考え、国境を越えて結びつきを深めるまちづくりについて学んでいきたいと思います。今後、映画班としては福岡市経済観光文化局国際経済・コンテンツ部コンテンツ振興課や福岡市総合図書館のフィルムアーカイブを訪れ、アジア映画に関する調査を行っていく予定です。私たちの社会調査研修が将来地域おこしの場面で役に立つものとなるよう、精一杯取り組んでいきます!

坂口一直先生、貴重なお話をして頂きありがとうございました。

現代教養学科/社会調査研修[映画班]