専門科目【現代社会と社会学】で男女平等には長い道のりがあることを再認識。

【現代社会と社会学】では、シム・チュン・キャット先生とともに、現代社会の身近な問題を考察し、私たちが直面している問題と生きるうえでの課題について考えながら、社会学の基礎を学びます。6月28日の授業では、ローレルゲート株式会社代表取締役・早稲田大学アーチェリー部前監督である守屋麻樹先生にお越しいただき、「スポーツとジェンダー」について学生のディスカッションを中心とした講義が行われました。
冒頭に行われた守屋先生のレクチャーでは、そもそもオリンピックは「女人禁制」であったという衝撃的な歴史から、女性指導者の人数の少なさといった今日の日本のスポーツ界における課題を教えていただきました。

ディスカッションでは、4つのグループがそれぞれのテーマについて話し合いました。
「ニュージーランド重量挙げ選手のローレル・ハバード氏がトランス女性として初めてオリンピックに参加したこと」、「2018年の4月に大相撲春巡業にて土俵で倒れた市長の救命処置を行おうとした女性に対し、土俵は女人禁制という伝統があることから土俵から降りるように放送があったこと」、「日本における『女子マネージャー』はジェンダーバイアスによる役割分業によるものなのではないかという視点」、「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長(当時)が、『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる』と発言したこと」など、日本における「伝統」、「ステレオタイプ」、「ジェンダーバイアス」について活発に議論を行いました。
日本のスポーツ界はいまだに「男性中心の社会」であり、日本の「伝統」に重きが置かれています。しかし、その「伝統」は本当に尊重するべきものなのでしょうか。「伝統」を隠れ蓑にし、「女性差別」を見て見ぬふりをしてしまっているのではないでしょうか。今まで当然のものとして認識もしていなかった社会の問題について、問題を認識し改革するためにはどうするべきかをディスカッションを通して考えました。

各グループの発表では、「その人の性を尊重することとスポーツの公平性を保つことの難しさ」や、「伝統に固執するのではなく、時代に合わせた価値観のアップデートの必要性」、「ジェンダーバイアスについて、女性自身も向き合わなくてはいけない」という意見が出ました。
スポーツ界では女性活躍を推進するための「ブライトン・プラス・ヘルシンキ宣言」でさえ男性が主体になってしまう事実。また、先日行われたG7の首脳陣の集合写真には、女性がEU代表の1人しかいないことも話題になりました。アメリカ最高裁が女性の人工妊娠中絶を認めないという判決をしたなど、男女平等には長い道のりがあることを再認識することになりました。
今回の授業を通して、スポーツにおける問題のみならず、社会全体の問題について意識を向けることができました。私たち若い世代ができることは何かを考え、行動に移す必要性を学ぶことができました。このような貴重な場を設けてくださった、シム先生、守屋先生、本当にありがとうございました!

記事:2年・高橋