【申ゼミ】日暮里、芝園団地 巡検

こんにちは!私たち申ゼミ3年生の成澤と曽根田は、2023年12月6日(水曜日)に、卒業論文の作成にあたって参考になる場所を訪れました。

【日暮里 巡検】 担当:成澤

*行程
13:30 JR日暮里改札に集合
13:40 日暮里繊維街
14:05 東京朝鮮第一初中級学校、東京福音教会
14:25 丸萬商店
14:35 JR三河島駅

はじめに日暮里を巡検しました。私は、卒業論文で「日本に住む外国にルーツのある子ども」を対象として取り上げようと考えており、外国人の子どもの数が多い荒川区を訪れることで、日本の街で外国人の生活とその中での困難を感じられるのか、また新大久保との違いは何かを考えたいと思い、日暮里を選びました。

最初に訪れた「日暮里繊維街」は、生地屋やミシン屋などの専門店が並ぶ通りです。


日暮里繊維街ホームページによると、大正初期、浅草などで営業していた古繊維、栽落業者が、当時まだ閑散としていた日暮里や三河島周辺に集団移動し、以後日暮里に繊維業者が集まるようになったと言われています。昭和12年の日中戦争、その後の太平洋戦争による物資不足で一時営業を停止しましたが、終戦後に統制が解除され、軍の隠退蔵物資、進駐軍の払い下げ品、アメリカ古衣料、羅紗裏地、ハギレ等を販売などを始め、現在は50周年を迎えました(1)。


次に訪れたのは、「東京朝鮮第一初中級学校」です。
現在、東京朝鮮第一初中級学校では、母国語(ウリマル)の教育と民族科目による「民族性の育成」、「意欲と実践力の育成」、健全な心を養う「豊かな人間性の育成」を軸に教育が行われていて、初中級(小・中学生)の年齢の子どもが通っています。日本語と英語の教育も行われていて、サッカーの大会やゴルフ、バスケットボール大会などもあり、1年中、部活動も行われています(2)。

最後に訪れたのは「丸萬商店」です。
開業から70年(2019年東京新聞より)以上の歴史を持つ丸萬商店では、自家製のキムチから結納(ポンチェ)、嫁入り(シネン)など、お祝い事に応じた食事まで提供しています(3)。また韓国のラーメンや飲み物も売っており、ゼミ生は思い思いの買い物を楽しんでいました。

この巡検の目標として挙げていた、日暮里と新大久保との違いについては、「移民が住んでいる街」をビジネスとしていない点にあると考えました。今回は学校と韓国のスーパーを訪れましたが、新大久保に比べて、他国のビジネスが少ないと感じました。また、街中で外国人の生活やその中での困難を感じることについては、今回の巡検で日暮里に住む外国にルーツがある方のお話を聞く機会はなかったため、生活の実態やその中での困難を知ることはできませんでした。今後も日本に住む外国人の生活を調査しながら、また実際に教室から出て活動する機会があれば、外国人が住む街の生活とビジネスに関して、当事者の声を聞けたらと思います。

 

【芝園団地 巡検】 担当:曽根田
*行程
14:35 JR三河島駅
15:10 JR蕨駅
15:25 芝園団地を巡検 約30分間
16:30 JR蕨駅 連絡事項・解散

私は、卒業論文で地域の多文化共生に関わるテーマで書きたいと思っているので、埼玉県川口市の【芝園団地】に訪れることを決めました。芝園団地は、最寄りのJR京浜東北線の蕨駅から徒歩10〜15分の場所にあるUR都市機構が管轄する賃貸住宅です。JR蕨駅から新宿や渋谷へ30分圏内と、都心へのアクセスが便利な場所です。芝園団地内には、スーパーマーケットや郵便局、幼稚園、公園、公民館が存在し、広大な敷地内に一つの街を形成していることが特徴的です。
私が芝園団地に注目した理由は、団地に暮らす外国人住民(外国人入居者)が日本人住民を上回る勢いで増加しているという変化に直面した場所で、どのように多文化共生に取り組んでいるのか気になったからです。

芝園団地は、1978年に入居が開始されました。高度経済成長期に急激に増加した人口により、首都圏で働く人々の住居が不足したという理由で、郊外に大規模な住宅やニュータウンが建設されたうちの一つが芝園団地です。当時は、非常に規模の大きい団地であったため、「マンモス団地」と呼ばれ、日本人住民から人気を誇る団地でした。しかし大島(2019)によると、芝園団地は賃貸住宅であったため子供が相続することもなく、持ち家を購入するなどで引っ越した住民も増えたことから人口減少が進行し、近年は高齢化と低所得化が進んでいたそうです(4)。

しかし、1990年代から中国人を中心とする外国人住民が増加し始めました。日本で就職や結婚をし、住処を探す中国人にとって、外国人でも住める物件を見つけるのは大変難しいことですが、UR賃貸住宅は条件さえ整えば外国人でも借りれることから、芝園団地に住み始める人が多くなったようです。芝園団地に住む中国人は、20代から40代のIT技術者が多く、都内で勤務している人にとって、交通の便も良いです。
現在の芝園団地は、日本人住民が60歳〜80歳代である一方、中国人住民は20歳〜40歳代の子育て世代が多いです。そのため、習慣・文化の差だけでなく世代間ギャップも影響し、団地内のコミュニティ形成は、一段と難しさを増しているそうです(5)。

しかし、メディアで中国人住民の増加が揶揄される一方で、地域活性化や多文化共生への取り組み方法で注目されていることは事実です。芝園団地を問題しかない団地として見るのではなく、異なる側面を見ることが重要だと思います。

今回の巡検で、芝園団地の多文化共生への道を調べることができました。実際訪れてみたことにより、団地内の公園で中国語が聞こえてきたり、想像以上に中国のスーパーマーケット、バレエ教室、保育園、飲食店があったり、ゴミ出しのルールが細かく書かれていたりと、芝園団地へ行く道からも多文化を味わうことができました。
課題としては、巡検前の下調べが不十分だったことと住民や自治会の方々にインタビューをしなかったことが挙げられます。芝園団地の歴史から始まり、なぜこのような状況になっているのか、どんな側面があるのかなどをさらに深掘りする必要がありました。さらに事実を知るためには、メディアや書籍からの情報だけでなく、人と現場からの情報を集めることも大切だと思います。この調査を活かして、卒業論文作成に役立てていきたいです。

申先生、ゼミ生のみなさん、巡検お疲れさまでした。

 

〇参考文献
・(1)布の街布の道日暮里繊維街, 「日暮里繊維街とは」(https://www.nippori-senigai.com/about/, 2023-12-04最終閲覧).
・(2)東京朝鮮第一初中級学校 .「トップ」「学校紹介」「 学校生活」.(http://www.tokyo-che1.ed.jp/index.htm, 2023-12-05最終閲覧).
・(3)東京新聞, 2019,「悪化する日韓関係「こういう時こそ文化交流を」 三河島朝鮮マーケットで店主 在日2世・高明栄さん」, 2019年10月25日.(https://www.tokyo-np.co.jp/article/25044, 2019-10-25最終閲覧).
・(4)大島隆著. 芝園団地に住んでいます。住民の半分が外国人になったとき何が起きるのか. 明石書店出版. 2019年, 240p.
・(5)公益社団法人あしたの日本を創る協会「開かれた自治会構想 埼玉県川口市 芝園団地自治会.” 埼玉県 芝園団地自治会」(http://www.ashita.or.jp/publish/furu/A2015/03.htm, 2024-01-20最終閲覧).