こんにちは!
現代教養学科4年の鈴木絢、市角來未です。
今回のブログでは、「広告文化論(担当:現代教養学科 見山謙一郎教授)」の授業での取り組みをご紹介します。
私たちの身のまわりには、テレビCM、WEB CM、電車の吊り広告、インフルエンサーによるプロモーションなど、さまざまな広告があふれています。これらの広告には、どのような意図や背景があるのでしょうか。そして、その効果や社会的影響とは……?
本授業では、社会にあふれるさまざまな「広告」を題材に、企業のマーケティング戦略やコミュニケーション戦略を踏まえながら、広告主、広告の受け手である私たち、そして社会との関わりについて学びます。
また、広告についての考察を深めたうえで、最終的には自分たちの手で広告を企画・制作することを目指しています。
私たちを含め、今の学生は、CMを煩わしく感じ「スキップ」するなど、広告を見る機会が少なくなっている中で、広告戦略は複雑化しているように思えます。実際に、商品やサービスを選ぶ際には広告だけでなく、口コミやレビューを参考にして類似商品と比較する人も多いのではないでしょうか。
企業にとっては、Web広告などを通じてアルゴリズムによるターゲティングが可能になったという利点がある一方で、テレビ広告や新聞広告のようなかつての一方向的な情報発信では、人々に効果的に広告の意図が届きにくくなっているという課題が生まれています。また、一般の消費者によるレビューやSNSでの投稿のように、企業の意図しない情報が企業や商品のイメージに負の影響を与えることも増えています。
このような状況の中で、企業や商品・サービスの認知度を高め、さらに、長く愛されるブランドを築くためには、どのような「広告」が有効なのでしょうか。現代の広告は迷走状態にあるとも言えるのです。
こうした背景を踏まえて、今回、楽天グループ株式会社様との連携授業の中で、Z世代を対象とした広告制作に取り組むことになりました。
【特別講義の概要】
6月20日(金)、楽天グループ株式会社 グループマーケティング部の川上和香奈さん、大木(たいき)未菜美さんに特別講義をしていただきました。楽天の企業理念、事業内容、マーケティング戦略、若年層向けの取組みを私たちが理解できるように、とても分かり易くお話をしていただきました。

【楽天の企業理念と価値観】
楽天市場は1997年にスタートし、現在ではダイバーシティを企業戦略の柱とし、イノベーションが生まれる組織づくりを進めています。
楽天が掲げる理念・ビジョン・価値観は次のとおりです。
Mission(使命)
「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」
Vision(ビジョン)
「グローバル イノベーション カンパニー」
Values and Principles(楽天主義)
ブランドコンセプトとして「大義名分」「品性高潔」「用意周到」「信念不抜」「一致団結」の5つを掲げ、社員と価値観を共有しています
【楽天の事業と楽天経済圏(エコシステム)】
楽天は70以上の多様なサービスを展開しており、「楽天経済圏」を形成しています。楽天経済圏とは、楽天のさまざまなサービスを組み合わせて利用することで、生活を豊かにする仕組みです。1つのアカウントで多様なサービスが利用可能です。
▼主なサービス
EC・通信:楽天市場、楽天ラクマ、楽天モバイル
フィンテック:楽天カード、楽天ペイ、楽天銀行、楽天証券
その他:楽天トラベル、楽天TV、楽天ビューティー、楽天ミュージック
私自身、これまで楽天市場や楽天カードなど一部のサービスを利用してきましたが、今回の講義で楽天の幅広い事業内容を知り、他のサービスも生活に取り入れたいと感じました。
【若年層エコシステムアクティベーション課の取組み】
講義をしてくださった川上さん、大木さんは、若年層エコシステムアクティベーション課に所属されています。この課は高校生から社会人までをターゲットに、楽天グループのサービスをより身近に感じ、使い、そして使い続けてもらうことで、変化の多い時期の生活を便利で豊かにすることをミッションとしています。

【私たちへの課題】
今回の講義では、私たち学生に対して「自分たちの消費者目線から、楽天サービスの広告制作をする」という課題が出されました。課題の背景には次のような問題意識があります。
- 楽天サービスを好きになってもらうにはどうすれば良いか
- 大学生が楽天サービスを使っている理由、使っていない理由
- 高校生~社会人に楽天サービスを選んでもらうための適切なコミュニケーション方法
私たち学生が消費者の視点から広告コミュニケーションを考えることで、楽天の今後の広告戦略のヒントに繋がることを期待されていることが理解できました。
【広告制作に向けたアイデア出し~グループディスカッション】
広告文化論に限らず、見山先生の授業ではデザイン思考のダブルダイヤモンドモデルのアプローチから、正しい課題を発見する為の「発散」と「収束」、但し課題を発見した後の正しい解を発見するための「発散」と「収束」を繰り返し行います。広告制作に向けた正しい課題を発見するための「発散」の為のグループディスカッションでは、多くの学生がCMを見聞きしたことで楽天市場や楽天カード、楽天トラベルなどの主要サービスを知っている一方で、実際に利用している学生は少数派であることが分かりました。また、競合サービスをサブスクリプション経由で利用しているという声や、「楽天のサービスがこれほど多岐にわたっているとは知らなかった」という声も多く上がりました。このディスカッションから、楽天さんが今回若年層をターゲットに設定している戦略の背景として、「若年層へのサービス認知を広げることで、新社会人として、新生活を始めるタイミングで必要となるクレジットカードや、モバイル契約などを機に、新規ユーザーを増やすことを目指しているのではないか? そして、楽天経済圏への長期利用者を増やすためなのではないか?」という考察が生まれました。こうした意味でも、「Z世代」は、非常に重要なポイントとなるはずです。今後は現時点では・・・ですが、最終成果物としての広告の制作、そして最終授業での楽天さんへの最終プレゼンに向けて、しっかりと取り組んで行きたいと思います。

【授業の感想】
これまで私は楽天のCMは何度も目にしていましたが、サービスについて深くは知らず、会員にも登録していませんでした。来年から新社会人として生活が始まることを考えると、クレジットカードを作るときなど、楽天のサービスを選択肢に入れてみようという気持ちになりました。きっと、今回の講義のように、企業の考えや想いを丁寧に聞くことで、「実際に使ってみようかな」と感じる人も多いはずです。しかし、誰もが今回のようにじっくりとお話を聞けるわけではありません。 だからこそ、広告の力が必要なのだと感じました。限られた一瞬であっても、サービスの魅力や企業の想いが伝わるような広告があれば、より多くの人に関心を持ってもらえるはずです。見た人が 「ちょっと気になる」「なんか好き」と、思ってもらえるきっかけになる広告を目指していきたいです。
私たちはこれまでの授業やディスカッションを通じて、企業・消費者の双方の視点で「広告」をみてきました。そして、「共感」や「信頼」を得られる広告こそが、現代の人々の心に届き、企業への好感度やブランド価値の向上につながるのではないかと考えています。
今後の広告制作実習では、広告の現状と課題を考えながら、Z世代である自分たちの感覚や価値観に向き合い、「Z世代が思わず注目してしまう広告」とは何かを追求していきたいです。実際にアイデアが採用されるような、魅力的な広告を目指して取り組んでいきたいと思います!(市角)
今回の講義を通じて、楽天という企業の持つ社会的使命の大きさや、幅広いサービス展開、マーケティングの巧みさを改めて理解しました。特に印象的だったのは、「楽天経済圏」という戦略が、ただサービスを提供するだけでなく、私たちの生活そのものを豊かにしようとする包括的な取り組みであることです。
また、広告を作成する課題を通じて、これまで自分が消費者としてしか意識してこなかったサービスについて、「どうしたら使ってもらえるのか」「どう魅力を伝えるのか」という視点で考える大切さに気づきました。今後の広告作成に向けて、実際の大学生のニーズや日常生活を見つめ直し、より具体的で説得力のあるアイデアを出していきたいと思います。(鈴木)