【CLA Report – 2025 Vol.5】「地域循環共生圏フォーラム2025」参加レポート

こんにちは!現代教養学科3年、CLA Reporters & Magazine*の石井碧、黒嵜美玖、山岡遥です。

私たちは11月18日(火)にイイノホール&カンファレンスセンター(東京霞ケ関)で開催された環境省主催の「地域循環共生圏フォーラム2025」にメディアの取材用パスをいただき参加してきました!今回は当日のセッションの様子をお届けします。

セッションは「1. 各省庁の地域施策を横断的に読み解く」、「2. 企業や金融が地域に関わる理由(①企業×地域、②金融×地域)」「3. まとめセッション」という3部構成で行われました。
今回はその中で、第1部の省庁セッションと、現代教養学科の見山謙一郎先生が登壇された第2部①の企業セッションについてご紹介します。

展示スペースでは、様々な機関、団体の取り組みの紹介がされていました

〈セッション1. 各省庁の地域施策を横断的に読み解く~企業と金融機関とともに地域ごとの未来を実現する~ 〉

このセッションでは、環境省の植竹朋子さん、厚生労働省の野﨑伸一さん、経済産業省の伊奈友子さん、総務省の鈴木洋平さんが登壇され、モデレーターを(株)Ridilover 代表取締役 安部敏樹さんがつとめ、各省庁の政策や事例の紹介をはじめ、企業や金融機関と各省庁が連携していく上での壁や、地域との接し方などについて議論されました。
この中で総務省の取り組みの「ローカル10,000プロジェクト」は、地域密着型の新事業の立ち上げ支援をすることを目的としており、特に注目が集まっていました。地域金融機関と国、地方自治体が連携することにより、地域資源を活かそうとするこの取り組みは、飲食業、観光・宿泊業など、さまざまな分野で展開されています。いくつかの事例も紹介され、今後の取り組みにも注目していきたいプロジェクトでした。このプロジェクトの制度設計には見山先生が深く関わられていると伺い、驚きました。

省庁セッションの様子

〈セッション2-①. 企業や金融が地域に関わる理由〜同時解決を目指す地域のパートナーとして〜 〉

第2部は、①企業セッションと②金融セッションに分かれて行われました。①企業×地域セッションでは、(株)陽と人の小林味愛さん、コクヨ(株)の 望月幹さん、東急不動産(株)の白倉弘規さんが登壇し、モデレーターを見山先生がつとめました。

企業×地域セッションの様子

このセッションのディスカッションは、(1)都市部の企業が地方と関わる意義、 (2)地域資源をどのように捉え、どのように事業活動に活かすか、(3)企業と地方の未来像の三本柱で進みました。福島県で事業に携わっている陽と人の小林さんは、「地域には課題と呼ばれて敬遠されがちなことが多くあるがそれらは全て可能性である」、「ほかの地域から来た人々に褒められて初めて気が付く自分たちの文化の誇りもある」と熱弁しました。コクヨの望月さんは「地域を一人称として捉えることが大事」、「課題についての答えを考える必要はなく、飛び込むことで初めて見えてくる」とお話されていました。そして東急不動産の白倉さんは「持続可能性という”目的”に向けた、ひとつの”手段”が地方との共生であり、地方と共生することを目的にしないほうがいい」とお話され、手段を目的にしがちな企業に対して警鐘を鳴らしていました。
このセッションでは、パネリストの皆さんが、一つの課題に対して、地域の内側から見るのか外側から見るのかによって解釈は異なり、どちらが良い悪いという次元ではなく、双方向の関係性に価値があり、互いに知恵を出し合うことが重要であると繰り返し強調していたことが印象に残りました。セッションのまとめとして、見山先生は「課題はイノベーションの源泉であり、課題に直面したときでも臆せず果敢に立ち向かっていく姿勢が、さらに日本をより良いものにする第一歩なのだ」とお話されました。

モデレーターの見山先生

今回のフォーラムを通し、省庁・企業・金融がどのように地域と向き合っているかの全体像を知ることができました。「地域について」という大きな括りに関するセッションではありましたが、根本には、現代教養学科での学びに近いものが多くありました。特に企業セッションでは、見山先生をはじめとした大学の先生方が授業内でおっしゃっている考え方なども含まれていました。なかでも、「課題は可能性である」というセッション内での言葉は、課題解決を前に立ち止まらない柔軟な考え方であり、大学での学びと社会とのつながりを強く感じました。
どのセッションも、大学の基礎の授業で得た知識をもとに自分事として捉えながら聞くことができました。

撮影:山岡遥


〈参加学生からの感想〉

現代教養学科3年 石井 碧 (CLA Reporters & Magazine)

これまで社会学を学んできたなかで「多角的な視点」の重要性を体感してきましたが、今回のフォーラムでは、省庁、金融、企業の「地域循環共生」に対する向き合い方を聞くことで、3つの視点から地域について考えることができました。また、「地域支援」という言葉はよく耳にしますが、どこか遠くで行われているように感じがちなものであるとも考えています。セッション内であげられた「一人称で向き合う」という考え方は、一人ひとりが自分事として捉えていくことの必要性を今一度認識するきっかけとなりました。


現代教養学科3年 黒嵜 美玖 (CLA Reporters & Magazine)

国や地域の課題に関する議論は規模の大きさ故に想像がつきにくく分かりづらいといったことが起こりがちですが、今回のフォーラムでは課題の本質を捉えるとともに自分事として一人の社会人として明日から何ができるかを考えることができました。私は現代都市論ゼミに所属しており、関係人口や地域アイデンティティといったテーマで研究を進めたいと考えているので、今回新しく知ったことをしっかり自分の学びに活かしたいです。


現代教養学科3年 山岡 遥 (CLA Reporters & Magazine)

省庁の方のお話を直接伺うという、非常に貴重な機会を得ることができました。国として、どのように地域の課題に関わり、支援していくのかについて具体的に知ることができ、大変学びの多い時間となりました。
なかでも印象に残ったのは、まとめのセッションで見山先生がおっしゃっていた「リスクは回避するものではなく、向き合うものだ」という言葉です。難しい課題ほどつい距離を置きたくなりますが、その壁を乗り越えた先にこそ、地域との新たな関わり方や共生の可能性が広がっていくのだと強く感じました。


*CLA Reporters & Magazineとは

現代教養学科の広報メディアとして、学生の目線から現代教養学科の魅力を発信しています。学生が企画立案から取材、撮影、編集までを行い、年1回発行される受験生向けの学科広報誌「CLA Magazine」や、学科ブログなどで情報発信を行っています。2025年度は、SNSでの情報発信にも挑戦する予定です。