こんにちは。現代教養学科3年の榎本紗希です。
11月21日(木)の「ワークショップ技法(担当:見山謙一郎教授)」では、ゲスト講義 第3弾としてデザイナー・社会活動家である幾田桃子さんをお招きし、ワークショップを行っていただきました。
講義が始まった瞬間、「Stand up!」「みんな輪になって!」という幾田さんの声に、「これからどんなワークショップが始まるんだろう…」とソワソワしながらスタートした今回のワークショップ。しかし、はじめの1分で全員が完全に“幾田ワールド”に引き込まれていきました。

こんな書き方をすると、幾田さんが一体どんな方なのかと気になると思いますが、これまでの活動をこのブログ内だけでは紹介しきれないほど、とても多彩な方です。幼いころから社会問題に関心を持ち、さまざまな人を巻き込みながら、デザインを通して社会問題の提起や解決のための仕組みを作ってきました。その根底には、「人間は美しく素晴らしい存在である」という強い思いが感じられます。
しかし、その“素晴らしい存在”であるはずの人間は、差別や戦争を繰り返し、地球を破壊し、社会問題を生み出してきました。それでも、人間だからこそ、その過去を乗り越え世界・未来をより良くすることができるのではないでしょうか。

【私の名前で私を表現してみよう】
では、その人間のうちのひとりである「自分」とは一体何なのか、誰なのか。まずは、名前を使って自分自身を表現するアクティビティを行いました。皆さんも、自分の名前で考えてみてください!
① 自分の名前をひらがなにして、あいうえお作文をする。
② そのあいうえお作文には、幼い頃からの素晴らしいところ、改善したいところ、好きなこと・ものを書く。
書いた内容を発表し合うと、ユーモアにあふれ、それぞれの個性がよく表れていました。このように自分を表現すると、「自分自身が唯一無二でかけがえのない存在である」と勇気づけられる気がします。そして、その個性は、自分の理想やどのように生きていきたいのかという軸を改めて実感させてくれるものではないでしょうか。

【私が描く未来とは】
では、皆さんにとっての理想的な未来・世界はどのようなものですか。どのように生きていきたいですか。次のアクティビティでは、『美しい未来のために「生きる」をデザインする』と題して、理想的な未来についてディスカッションしました。
「お昼寝の時間が欲しい」や「満員電車をなくしてほしい」といった個人的な理想から、「時間に追われない社会」や「競争しない社会」「空気がきれいな世界」といった社会的な理想まで、さまざまな意見が出てきました。日常の中の“当たり前”となってしまっていることでも、モヤモヤしたり、「こうなったらいいのに」と思うことは、きっと誰にでもあると思います。

幾田さんは「素晴らしい世界・未来を創るためには、当たり前となっている日常を変革していくことが必要である」と話します。個人的な理想は日常会話でも話しやすい一方、社会的な理想や社会問題は触れにくいものになりがちです。しかし、ワークショップという場では、そのようなテーマも自然と話しやすくなり、さらに普段とは異なる視点や思考法でアイデアを発散することができる効果があるように思います。

「何が始まるんだろう」と少しソワソワした気持ちで始まったワークショップでしたが、講義が終わるころには、理想的な未来について語り合う、そんな広がりを見せたワークショップになりました。
幾田さん、今回は素晴らしいワークショップをしていただき、ありがとうございました。
90分という短い時間ではありましたが、自分自身を深く知るとともに、ほかの人の個性もよく見れる素晴らしい人になりたいと感じる時間でした。今回のワークショップを通して、自分だけの名前を使い、自分の言葉で個性を表現することが、本来の自分を見つめることなのだと気付きました。日常の中でも、その人だけの個性や理想を共有し、お互いに認め合う機会が増えることで、自分という存在を大切に生きられる人がもっと増えると考えます。私も、まずは身近な人から、その人の個性や素晴らしいところを言葉にして伝えられる人になりたいと思います。
<ワークショップの感想>
幾田さんがみんなに声をかけてくれた「自分を大切にしてくださいね」という優しい声掛けが印象的でした。一人ひとりが素敵な人でたくさん良いところを持っていると話してくださり、とても前向きな気持ちになりました。辛いことがあった時は、幾田さんが声をかけてくださった言葉を思い出せば、乗り越えられるような気がします。幸せは、自分の心と体を大切にし、まずは自分を認めてあげることで感じられるのだと思います。自分を受け入れることができれば、周囲の人に対しても温かい心をもって接することにも繋がるのではないかと感じました。(3年 富所遥香)
授業の最初は幾田さんの不思議な雰囲気に少し驚いてしまったが、個人ワークやグループディスカッションの際にこちら側に沢山話しかけ、アドバイスを下さり、新しい考え方や知識を知ることができ、有意義な時間だった。自分の知らないことや思いつかないことを幾田さんから沢山吸収でき、自分ももっと広い考えを持つために自分の引き出しをもっと増やす必要があると感じた。(2年 内山きなり)
<幾田桃子さんからのコメント>
今回のワークショップでは皆さんには素晴らしい個性があり、美しい未来をデザインする力があるということを実感して欲しいと思いました。固定観念にとらわれない思考で、自分、他者、地球にとって優しい選択をして人生を楽しんでください。