【実施報告】
私学教育研究プロジェクトは、11月24日(日)に 教員育成セミナー「次世代の私学教員をどのように育てるか~学校改革と教員育成~」を開催しました。
私学教育研究プロジェクトは、2015年4月以来、数名の所員・研究員が参加し、私学教育についての文献調査や、私学教員の研修についてのアンケートを行ってきました。そして2019年度から、教員育成に関わる公開セミナーを行ってきました。
公立学校は教育委員会などが教員採用・研修に当たるのに対して、私立学校では、基本的に学校単位での採用・研修となります。自らの学校を担う教員を育てることは、私学にとっては学校経営上の大きな課題です。少子化の影響で生徒確保が難しくなる中で、より魅力的な学校作りのためには、優れた教員の確保・養成が重要です。
今回は、静岡県御殿場市内の唯一の私学として、地域に根ざした学校改革を進められている、学校法人東駿学園御殿場西高等学校長の勝間田貴宏氏を講師にお招きして、「学校改革と教員育成」についてお話し頂きました。
御殿場西高等学校は、ミッションとして「関わるすべての人のWell-beingを高める」、新しいビジョンとして「居場所と出番を創り続ける学校」を掲げています。また今年度から人事部を創設し、教職員の働き改革と人材育成への取り組みの強化を図っている学校です。
お話では、学校を取り巻く厳しい状況で、教育活動の3本柱として「好き/得意(ギフト)開発」「踏み出す」「自分で学ぶ」を掲げられていることが紹介されました。生徒が、探究的学習などを通して自分の好きなこと・得意なことを見出し、海外への留学や修学旅行で学校の枠を越えた学び・経験・出会いの機会を持ち、自己選択の場を増やすことで当事者意識を高めることを目指しています。また、「生徒指導」と当時に「生徒支援」という視点を導入し、「教え伝える生徒指導」と「委ね任せる生徒支援」が循環的に機能する体制を築いています。
そして、そのような教育を行う教員を支えるために、人事部を設け、労務管理・採用・研修・評価を一元的に行うことを始めました。同時に職員室を改装し、教員の「対話の場」となるようにしました。
以上のような試みは、まだ始まったばかりであり、「働き方改革」の限界、教員とのコミュニケーションの問題、外部との連携の模索など、様々な課題があります。若き校長が試行錯誤の中で学校改革を進められていることが率直に語られ、活発な意見・情報交換ができました。
参加者からは、「先生がわくわくすると生徒もわくわくする。その仕掛けが大切だと思う」「教員の対話のために業務量を減らすことが大切」「私学の場合特に人事機能が重要」といった意見が出されました。
今回の問題提起を踏まえて、次年度以降も公開セミナーの開催を含めた活動を進めて参ります。 (友野清文)