昭和学園での生活の中で、身近にあった標語を思い出してみました。
この写真は、昭和40年ごろの講堂です。現在のグリーンホールのあたりにありました。行事の度にこの講堂に集まり、舞台の上の「真・善・美」の文字をよく目に留めていました。中学生の頃は、校訓三則「清き気品、篤き至誠、高き識見」よりも、頻繁に見る機会があった言葉です。カント哲学の影響を受けた言葉だそうで、いろいろな辞書の説明を合わせると、「真・善・美」は、「知性(認識能力)、意志(実践能力)、感性(審美能力)のそれぞれに応ずる大きな価値概念を表し、人間が理想とする不変的で妥当な価値である」という意味になるのでしょうか。「真 vs. 偽、善 vs. 悪、美 vs. 醜」と、反対の意味を持つ語と対比して考えると理解しやすいと、中学生の時に先生から教えていただいたことを思い出します。
さて、高校生になると、入学式や卒業式などの大切な式典の時には、必ずステージに飾られていた、大きな木彫りの校訓の額と校旗が印象に残っています。校訓三則は、校舎の入り口にいつも掲げられているので、読む機会も多くありました。
清き気品
あたたかく広い心で人と接すること、相手の気持ちを思いやること、礼節を重んじることなど、清楚な品位を保つことです。
篤き至誠
自分と同様に他を愛し、愛と理解と調和を実践し、誠実に日々精進することです。正しいと思うことは勇気を持って行えることも意味しています。
高き識見
志高く豊かな知識を持ち、広い公平な判断ができることです。専門とする学問に真剣に取り組むと同時に、専門以外の知識を深め自分を磨き、懸命に生きる道を探求することです。
次の言葉は、皆さんよくご存じと思います。開講の詞に込められた創立者の思いが、この短い言葉に集約されています。
光は明るい所では、あまり役に立ちませんが、周りが暗い時にこそ、その真価を発揮します。また、陰に隠れることなく、誰からも見えるところで光っていなければなりません。そして、どんな色でも、大きさでも、周りの人の進む道を照らしてあげられる人になりましょう、と呼びかけています。
こうした標語やモットーは、「開講の詞」の趣旨を別の表現で表しているものとも言えるでしょう。今年は創立100周年。記念講堂の入り口に創立者直筆の「開講の詞」をそのまま写した碑文が掲げられたのが、創立60周年の年でした。「力強き、思慮ある婦人」へと成長するために、さらに高みを目指して前進していきましょう。