YouTuberに負けない?オンライン講義動画ができるまで

管理栄養学科で、食品衛生学や食品加工学を担当している桝田です。

昭和女子大学では、現在もオンライン講義が継続しており、前期も折り返しを迎えたところです。今回は、あまり表には出ない?オンライン講義動画が学生へ届くまでの工程をご紹介していきます。あるいは、オンライン講義動画を初めて作成する素人が四苦八苦する様とも言えなくもないのですが。

講義動画の1コマ

オンライン講義にはZoomを用いたリアルタイム講義形式、録画された講義動画などのオンデマンド形式、掲示された課題に解答する形式やそれらを組み合わせた形式など様々ですが、私の講義は全て講義動画を配信するオンデマンド形式で行うことにしました。

 

この形式で行おうと考えた理由の1つは、受講者全員のオンライン環境が整っていないということがあります。パソコンがない、プリンターがない、回線が細いなど、学生ごとに環境が異なり、リアルタイム講義形式では履修している全学生に対して均一な講義を行うことは難しそうだなあと感じたからです。その点、録画した講義動画であれば、回線が混みあっていない時間や家族がパソコンを使用していない時間帯など、オンライン講義の受講時に発生する制約を緩和することができるからです。また、もう一つの理由は国家試験の勉強にも後々使えると考えたからです。今回、講義動画を作成しておけば、学生がいつでも好きな時に、勉強したい講義を視聴可能なアーカイブを整えることができます。

以上の理由から、これは講義動画を作成するしかないと意を決した3月末でした。(その後、オンデマンド形式が学内ではレアタイプだったことを数週間後に知ることになるのですが・・・。)

とはいえ、手軽に動画などを撮ることができなかった時代を長く生きてきた人間なので、どうやって動画を作ったものかというところからのスタートでした。動画の配信といえばYouTubeだろうと先人たちの知恵を覗きに行き、どうやら長時間の動画は視聴されにくいことや、音質が重要であることを知ります。そこで、(形から入る人間なので)まずはマイクを購入し、ナレーションソフト等、着々と準備を進めていきました。(買っただけでやった気になる人間なので、講義直前に慌てたことはお察しの通りです。)

講義スライドを作成し、後は講義スライドに音声を吹き込んで完成のはずですが、意気揚々と録音してみたものの、思いのほかスムーズに言葉が出てきません。そして、結構な頻度で噛みます。対面講義やリアルタイム講義形式では、何気なく見逃されていたのかもしれませんが、いざ見る目が肥えている学生に提供する動画となると、言い間違いや変な間は視聴の妨げになること疑いなしです。そのため、まあ聞けるかなあ、という程度まで録音し直していきます。

さらに油断ならないのが生活音です。広大な敷地の大豪邸に住んでいれば良かったのですが、現実は車道が近い住宅街の特に防音設備もない自宅です。普段なら気にも留めないような道行く車の音や、鳥の声、親子喧嘩、時報など多彩なイベントが録音中に発生します。それらのイベントが発生すると、録音し直しです。気が付くと、90分講義のところ2時間以上録音していることも多々あります。結論として、人々が寝静まった夜中に録音をすることが日課になりました。

これで最低限の動画の元が完成するわけですが、ここからもうひと仕事です。講義の説明の中で妙な間が発生していたり、リップノイズなど視聴していて気になる部分が多く残っています。また、動画の時間が長くなってしまっているものは、データダイエットのため10~15分になるように編集していきます。ここからは違和感のある自分の声と向き合う作業になるわけですが、自分の説明を再度確認しながら、気になるノイズや間を1つ1つ取り除いていきます。きっとうまいやり方は何かしらあるのでしょうが、10分の動画を作成するのに、視聴チェックを入れて大体60分ぐらいかかります。これを3~4本作成して完成です。

というわけで、急遽始まったオンライン講義ですが、少なくとも学生の学習が止まらないように講義を提供するため、完成度はともあれ、カメラやパソコンに向かう日々です。学生、教員、お互いに大きなトラブルもなく前期を終えることができることを願っています。

肝心な学生の反応はというと、幸いなことに?「桝田先生、YouTuberだったんですか?」などのコメントをもらうこともあり、YouTuberクオリティーのお墨付きをいただき、動画作成の勉強した甲斐?はあったようです。

それでは、そろそろ、録音と向き合う時間になりましたので、このあたりで。