管理栄養学科の学生有志によるPlanetary Health Diet(PHD)プロジェクトの活動として、この度、学生食堂でPHDメニューの提供が行われています。PHDプロジェクトメンバーをインタビューしたので、メニュー提供の裏側をご紹介します。
※以前、国際学会にて本PHDの活動を報告したブログも合わせてご覧ください。
Planetary Health Dietとは、2019年に発表されたEATランセット委員会が出した報告書の中で、地球にやさしい食生活として提唱され、この食事法は『地球の持続可能性』と『人の健康』とを両立させるための目安となる食事とされています。これまでPHDプロジェクトでは、PHDの概念などについて学んできましたが、知識に終わらず行動することも重要であることを、アドバイザーの先生方※からアドバイスを頂いていました。
理論を理解するだけでなく、社会に向けてメリットのある行動を起こすことが重要であるとメンバーで思いを一つにする中で、健康や栄養を学ぶ大学生にできることは何かを考えてきました。その結論が、(1)同世代の学生たちにまずはPHDの考え方を知ってもらうこと、そして、(2)日常的に実践しやすい食事法を具体的に提案することでした。
活動メンバーの一人が、学生食堂で健康的なメニュー提供する「H&Bプロジェクト」のリーダーを務めていたこともあり、7月の学食献立にPHDメニューを提供するということが可能になりました。しかし、メニュー提供の予定は決まったものの、そこからが活動メンバーのPHDメニュー開発における試行錯誤の始まりでもありました。
メニューを皆で考える中で、以下のコンセプトを考えました。
【PHDメニューのコンセプト】
・手軽である、美味しい、健康的あること
・選択食材は、完全なプラントベース(植物性食品)にこだわらず、少しでも動物性食材を植物性に変えるだけでもOKとし、PHDに近づけるようにすること
・主菜のたんぱく源は、植物性たんぱく質にすること
・食選択の行動変容として、対象者が日常的に少しずつ取り入れやすいこと
メンバーの思いとして、多くの人にPHDを知っていただき、日々の身近な食材を通じてPHDの実践ができ、地球の持続可能性に貢献できることを伝えたいため、以上のコンセプトに決めました。
最も苦労したのは、主菜の植物性たんぱく源の食材を何にするかでした。当初は、高野豆腐や豆腐を考え、高野豆腐カツ、豆腐ハンバーグなどを試作しましたが、日常的に簡単に作っていただける手軽さは無いことに気が付きました。
「日本の伝統的なたんぱく源である大豆製品を用いたい」との思いも強く、試行錯誤を続けていました。そのような中、ふと立ち寄った地元のお豆腐屋さんの「大きながんもどき」がとても美味しく、野菜を混ぜて揚げているため、それだけでボリュームと満足感があることに気が付きました。そこで主菜の食材を「がんもどき」に絞り、学食の委託給食会社さんへのプレゼンなどの結果、見た目もきれいで美味しそうとの講評を頂いた「照り焼きがんもどきのサラダボール」に決まりました。
私たちの願いは、リサイクル、SDGs、エシカル消費など、「環境への配慮」のライフスタイルとして、日々の食選択でも貢献できるPHDを知っていただき、手軽に身近な食材で実践していただくことです。現在、学食「ソフィア」で提供されているH&Bメニュー「照り焼きがんもどきのサラダボール」を是非ご賞味いただき、PHDについて多くの方々に身近に感じて頂けましたら幸いです。
今後は、秋から米国アリゾナの大学に短期留学に行くメンバーがいるので、米国のPHDやヴィーガンなどの『持続可能な食』の現状を吸収して、今後の活動に活かしていきたいと考えています。
最後に、共に活動をしてくれる仲間を絶賛募集中です!!
筆者コメント:
本日、「照り焼きがんもどきのサラダボール」を食べてきた先生方から、「野菜のスパイシーな味わいとカポナータの夏らしい酸味が、とても美味しかった!」との声を聞きました。学食の運営をしている委託給食会社さんからも、大好評のためすぐ”完売”となってしまうとの声が聞こえてきております。
※「科学英語」を教えてくださっている増野華菜子先生、開発コンサルタントとしてアフリカ・アジア地域の栄養課題解決に従事している手島祐子先生