本日ご紹介する卒業生は、読売巨人軍に専属スポーツ栄養士としてお勤めの田中愛子さんです。
田中さんは、本学管理栄養学科の魅力を「管理栄養士の国家試験に合格できるよう、様々な分野の先生方がサポートしてくださる。また、同じ志をもった仲間が集まっており、グループで実習・実験を行うことも多く、一緒に問題解決をしたり、共に高め合っていける環境。卒業後も仕事や家庭のことも相談しあえる一生の仲間ができる。」と語ってくれました。
卒業後の経歴
新卒でチョーヤ梅酒株式会社にて2年間法人営業を行いました。その後、給食委託会社3社、調剤薬局での栄養指導、アスリートサポートを行うベンチャー企業などに勤めた後、現在は個人事業主として読売巨人軍と専属契約をしてプロ野球選手の栄養サポート業務を行っています。
現在の仕事内容
プロ野球チームにて、選手のパフォーマンス向上やフィジカル強化をサポートする部門に所属しています。寮や遠征先で提供される全てのメニューの調整及び食環境整備や、各選手が抱えるコンディション課題の解決やフィジカル強化を目指して、栄養を活用した選手サポートを行うのが仕事です。
管理栄養士として働く上でやりがいを感じるのはどんな時ですか?
食はすごくプライベートなことであり、なかなか踏み込んでほしくない、変えたくないと思う方が普通だと思っています。そのような中で、対象者(スポーツ分野なので対象者は選手)がこちらの話を聞き入れてくれ、行動変容していく姿がみられ、今までよりもコンディションが良い状態で試合に臨めている姿であったり、競技パフォーマンスの結果が良くなって活躍していく姿が見られたときにはすごくやりがいを感じます。
本学の管理栄養学科で学んだ知識やスキルは、現在の仕事でどのように活かされていますか?
特に生理学実験や臨床栄養学で学んだことが活用できていると感じています。プロ野球選手は日本のプロスポーツの中でも最も年間試合数が多い競技であるため、試合に出続けられる体調管理や体力、ケガをしにくい強い体づくりも並行して行っていく必要があります。免疫機能が落ちていないか、貧血になっていないか、疲労骨折のリスクがないかなども定期的に確認しながら栄養補給計画を立てているため、日頃の食事内容やトレーニング内容と血液や尿検査の数値などから総合的にみて食事改善の可能性を探る力や、ドクターやトレーナーと課題解決に向けてディスカッションしていく力などが求められるため、その基礎として学生時代に学んだことをベースとして新しい知見も取り入れながら活用しています。
大学時代に最も印象に残っている授業や学びは何ですか?
ゼミの仲間と卒論に向けて大量の食事調査を行ったり、国家試験に合格するためにお互いの苦手分野を教え合ったりしたことです。一緒に大変な作業や勉強を乗り越えたからこそ、卒業してそれぞれライフスタイルが変わった今も定期的に集まり、プライベートや仕事のことなど、何でも相談し合える関係が続いています。
大学時代に経験したことが、今の自分にどのように影響を与えていますか?
高校時代から憧れていたスターバックスで大学入学後から国家試験前までアルバイトをしていました。細かな接客ルールがないため、一人ひとりが想像力を働かせて、ご来店されたお客様がまたこの店に来店したいと思っていただけるように、オーダーメイドの接客を心がけていました。今のアスリートサポートを行う上でも、選手との信頼関係を築く過程で、相手の置かれている立場や悩んでいることなどを想像して最適なプランを立て、ともに伴走していく力が必要なため、学生時代の接客業の経験はとても役立っています。
今後、管理栄養士(スポーツ栄養士)としてどのように社会に貢献していきたいですか?
プロアスリートが厳しいプレッシャーや環境の中で日々コンディションを整えていく食事法は、働くビジネスマンの方々にも応用できると考えています。また、プロに入ってから正しい知識を学ぶのではなく、ジュニア世代のうちから食事の力をもっと活用できていれば、ケガなくもっと彼らの可能性を引き出せるのではないかとも思っているため、ジュニア世代のアスリートや保護者の方に向けたスポーツ栄養学を活用したサポートも行っていきたいと思っています。また、スポーツ栄養学を活用してもらえる場を増やし、スポーツ栄養士が職業として認知、確立されていくように、日々の自分の仕事を分析したり、評価していただけるようなアウトプットをしていきたいと考えています。
田中さんは、管理栄養士としての基盤を土台に、スポーツ栄養士としてプロアスリートを支える最前線で活躍されています。本学で培った学びや仲間との経験が、今も仕事や人生に生かされている姿は、在学生・受験生の皆さんにとって大きな励みになるのではないでしょうか。