第12回学生選書ツアー 購入図書紹介-1

第12回学生選書ツアーで選ばれた本を、推薦した方の文章でご紹介します。

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『アルジャーノンに花束を』
(請求記号: 933.7/Key)
著者: ダニエル・キイス 小尾芙佐訳
早川書房 1999年10月発行

この話は、精神遅滞(白痴)の青年チャーリイの目線から「経過報告」として書かれた話です。そのため、最初の方は平仮名や誤字ばかりで、子どもの書いたような文章が続きますが、その後手術を受け、次第に変化していくチャーリイの様子を、目でも感じることのできる面白い構造になっています。
私がこの本を知ったのは、某動画サイトに投稿されていた歌からでした。その歌は、本作と同じタイトルで、他にも数人が同じように、いわゆるイメージソングを作っていました。それを見て、私は「なぜこの作品に対してこんなにもイメージソングが作られたのだろう?」と感じました。そこで、読んでみようと思い、近所の図書館で予約したのです。最初に手元に来たとき、思っていたより厚い本だったため、躊躇いもしましたが、読んでいくと大変読みやすく、通学途中、授業と授業の空き時間など、ちょっとした時間を使って読んでいきました。そして、読み終った後、想像していた結末でしたが、電車内でほう、と息をついた瞬間、たまらなくチャーリイが愛おしく感じられました。
大学の図書館で確認してみたところ、入っていないようだったので、選書ツアーで真っ先に探し、購入しました。学生のみなさんにも読んで、そして読後何を思い、チャーリイをどう感じるか、味わっていただきたい作品です。(カモタス)

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『シーラという子 : 虐待されたある少女の物語』
(請求記号: 493.93/Hay)
著者: トリイ・L.ヘイデン著 ; 入江真佐子訳
早川書房 1996年3月発行

この本は立場の違う人間を理解することの大切さ、同情でなく尊重することの大切さを教えてくれます。
障碍者のクラスを受け持つ教師と、シーラという6歳の少女の物語です。シーラは貧困や虐待など沢山の問題を抱えて、3歳の男の子に火をつけるという事件を起こしてしまいます。私たちは問題を起こした子どもに対してつい本人や親を責めてしまいがちではないでしょうか。子どもの持つ背景を考えなければ第2、第3の問題が生じるだけです。トリイは時に感情に流されそうになりながらも教師の知識と指導力で的確な判断をして生徒達を導いていきます。暴力や性という答えにくい問題にも逃げることなく正面から話し合います。
トリイの言葉は本質を簡潔に、正直に表していています。彼女の言葉は、私たちが大切な人に気持ちを伝えたいときに参考になるでしょう。(N・S)

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紹介された本は、図書館入り口右手の「選書ツアーコーナー」に並んでいます。黄緑色の椅子が目印です。
皆さんの先輩やお友達が感動した、読み応えのある本が沢山あります。
長い休みの前には殆ど貸出中になるので、気になる本がある方はお早目にどうぞ!