【本の紹介】大学生アルバイトのおすすめ本を紹介します- 4 –

大学生アルバイトのおすすめの本 第4弾を紹介します。
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タイトル:服従の心理
著者  :S・ミルグラム
訳者  :山形浩生
出版社 :株式会社 河出書房新社
出版年 :2017.5.30
請求番号:361.43/Mil

「組織に属する人はその組織の命令とあらば、通常は考えられない残酷なことをやってしまう…」
 1933年から1945年にかけて何百万人もの罪のない人々が、命令に従って系統的に虐殺されたユダヤ人大量虐殺では、毎日ノルマ通りの死体が生産されていた。毎日たくさんの虐殺を行うにはものすごく大量の人間が命令に従わなくてはならないが、どうしてドイツではこのような非人道的な出来事が起こったのだろうか。人間はたとえ非人道的なことであっても権力のある人に命令されると聞いてしまうのか。これらの疑問を解決するため、スタンレー・ミルグラムはアイヒマン実験を行った。アイヒマン実験は、被験者は被害者が出された問題を間違えるごとに電流を流し、さらに間違えていくごとに流す電流の大きさを大きくしていく。だんだんつらそうになっていく被害者をみて、実験者に実験を中止したいと言い出すことができるのかを調べたものだ。条件を変え18種類の実験を行ったときアイヒマン実験は世界を震撼させた衝撃の結果を示した...。
なぜ人は権力には逆らえないのだろうか。責任が自分にないとどこまでも命令に従ってしまうのか。ぜひこの本を読んで人間の本質にふれてみてください。(Y.Y)


タイトル:『妻を帽子とまちがえた男』
著者  :オリヴァ―・サックス
発行社 :早川書房
発行年 :2009年7月15日
請求番号:493.7/Sac

この本は、脳神経科医のサックス博士が出会った奇妙でふしぎな症状を抱える患者たち、妻を帽子とまちがえて被ろうとする音楽家、からだの感覚を失って姿勢が保てなくなってしまった若い母親、オルゴールのように懐かしい音楽が聞こえ続ける老婦人、ある日突然、犬のように嗅覚が鋭くなった若者―がその障害にもかかわらず、人間として精一杯に生きていく様子を愛情こめて描きあげた、24篇のエッセイの傑作本です。

この本は、「喪失」、「過剰」、「移行」、「純真」の4つの章で成り立っています。
「喪失」では、「発話機能の喪失、言語機能の喪失、記憶の喪失、視覚の喪失、手先を器用にうごかす機能の喪失、アイデンティティの喪失、そのほかにも多くの特定機能(あるいは能力)の欠陥や喪失」(p.21から引用)の症状が現れた患者たちについて述べています。
「過剰」では、ひどい興奮状態が続き、「恐ろしいほどの快調」「病的なすばらしさ」(p.176から引用)と患者自身は感じ、「恩恵と苦悩、喜びと苦痛」(p.176から引用)を同時に感じてしまう状態にあった患者たちを紹介しています。
「移行」では、人間の存在は、「きわめて複雑な、人間的かつ倫理的な思考によって決定される」と考えられているが、「人生には時として器質的な病気が介入する」場合もあり、そのときには「生理学的、神経学的な相関を考慮する必要があり」(p.238から引用)、そのような患者たちを扱っています。
「純真」では、知的障害者の人たちのことを扱っていて、彼らの並外れた才能についてふれ、そして、彼らといると「温かい気持」(p.318から引用)になるエピソードを紹介しています。

サックス博士は、患者たちが必死に自分なりの生き方を模索し懸命に生きている様子に真正面から向き合い、共に生き方やアイデンティティを考えた素晴らしい人であることがこの本を通してひしひしと伝わってきます。脳神経について興味のある方はぜひ、手に取ってみてください。(M.N)
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