春に寄せて

<日文便り>

冬ごもり 春さり来れば 朝には 白露置き 夕には 霞たなびく 汙瑞能振 木末が下に うぐひす鳴くも  (萬葉集 巻13・3221)

冬の隠りを経て生命が張り出す春の到来は、万葉人にとっても大きな喜びであったのでしょう。美しく咲いた梅の花に、二羽の鴬を見つけました。陽光を一杯に浴びて花をついばむ姿に、命の輝きが溢れていました。

 

 

 

 

 

先日、日本語日本文学科では学生研究発表会が行われました。上代・中国文学では4年生全員が発表しました。卒業論文を提出し、口頭試問を経て、さらに不足していたところを補って発表を迎えました。ゼミが決まってからの2年間の成長がうかがわれ、嬉しく思いました。3年生のゼミ生も、一生懸命に運営に携わってくれました。

3年生は、ちょうど卒業論文の内容を考える時期です。じっくり時間をかけて取り組んだことはきっといつか花開きます。
自然の中の花や鳥の営みに、ささやかな希望を感じさせてくれる季節が春です。
(KR)