<授業風景>
今回は、日本語教育Ⅰ(会話データの分析)についてご紹介します。
日常生活の様々な会話を通して、私たちは、相手に対して、おもしろい人、おとなしい人、うるさい人などと様々な印象を持つことがあると思います。
このような印象が生じる背景には、実際の会話においてどのようなやりとりが行われているのか、会話データから具体的に探る可能性があります。
私の専門は日本語教育なので、授業では、主に、異文化接触場面の会話データを検討しています。
日本人とアメリカ人のあいづちの頻度、日本人と中国人の話題の転換のしかた、日本人と韓国人の議論のしかた、などには具体的にどのような違いがあると思いますか。
そして、これらの違いを知らないままやりとりを行った場合、どのような問題が起こると考えられるでしょうか。
異文化間でやりとりがうまくいかない場合、「まだうまく話せないから」と単純に言語能力の問題にしたり、「〇〇人はやっぱり…」とステレオタイプを強化してしまったりすることがあります。
授業では会話データをみながら、どのようなやりとりが問題を引き起こしているのか、そして自分はどのようにその問題に対応するのかについてディスカッションをしています。
これにより、問題を単純にとらえるのではなく、ある現象をデータから冷静に分析し、根拠をもとに意見を述べることにつなげたいと考えています。
会話データを見る目を養うことにより、実際の日常生活の会話でも、問題を事前に防いだり、問題が発生してしまった場合にもどのように対応したらいいかを柔軟に考えたりすることができるようになると思っています。
私自身は、学生時の授業で会話データ分析に出会い、会話を文字化して分析することで、普段は一瞬にして消えてしまう会話で何が起こっているのかが具体的に見えてくることに衝撃を覚えました。そして、現在までこの会話データ分析にとりくんでいます。
(OB)