2017年3月

旅にでかけてみませんか [2017年03月31日(金)]

<日文便り>

春は新しい発見や、出会いの季節です。
―それにしても驚きました。

皆さんは、「自分のルーツを探る」時、何世代前、何時代まで遡りますか。
日文の卒業生、長尾衣里子さんには驚かされました。
何と〈ほ乳類の祖先〉まで遡ってしまったのですから。

長尾衣里子
『ルーツを追って 恐竜時代前に天下をとったほ乳類の祖先たち』
(2017
年3月22日、誠文堂新光社 1,000円+税)

ルーツを追って
著者の許可を得て、掲載

それもそのはず、長尾さんは日文を卒業したあと、サイエンスライターとして活躍なさっているのです。この本の前にも『三つの天窓 アリ・恐竜・ホモサピエンスが見上げた宇宙』(2012年5月16日、誠文堂新光社)を出版なさっています。

さて、『ルーツを追って』「まえがき」にいわく、

古生物学者(パレオントロジスト)には、タイムマシン開発なんて必要ないようだ。なぜなら彼らは、頭の中につちかった自前のタイムマシンで、自由に時間をさかのぼることができるからだ。

このしゃれたフレーズを起点として、時間旅行が始まります。

ところは、南アフリカ共和国の大カルー盆地(グレート・カルー)―南アフリカの半分を占める半砂漠地帯(「日本国土の1.5倍というスケール」だとか!)。ここは、「盤竜類よりほ乳類に近づいた獣弓類(じゅうきゅうるい “獣の特徴をもつもの”の意味)と呼ばれるご先祖様たちの化石の宝庫」(表紙扉より)なのだそうです。
めざす時代は、ペルム紀後期~三畳紀前期。まだ、恐竜もほ乳類も誕生していなかった頃のわれらがご先祖様たちが一世風靡(いっせいふうび)していた世界がくり広げられる。(まえがき)
本には、2億5500万年前、2億5200万年前、1億3000万年前などといった「時」が、ぽんぽん飛び出してきます。
この本は、長尾さんが南アフリカ博物館のロジャー・スミス博士たちとともに実施した、約1週間にわたる発掘調査をもとに書かれたものです。

写真が多用されていて、見応えがあります。楽しい。
何よりさすが日文出身!文章が生きています。ぴちぴちと勢いづいて躍ったり、じっくりと、難しいことをわかりやすく解きほぐしてくれたり……。
この本に乗って、私は一気に「時」を駆け抜け、〈ほ乳類の祖先〉たちに出会ってきました。

―いい旅でした。
長尾さん、今後もますます活躍し、たくさんの人を次なる旅に誘って下さい。

春です。皆さんも旅に出かけませんか。
長尾さんと旅するなら、『ルーツを追って』はAmazonなどでも手に入るそうですよ。

(FE)

 

「みんな」って誰? [2017年03月22日(水)]

<研究室便り>

「みんな言ってる!」
「モテる女/男は、みんな○○をしている」
「みんなが気になる△△」

みなさんも(笑)、一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
「みんな」って誰?と考えたことはありませんか?

このようなちょっと極端な語彙、すなわち、Extreme Case Formulations(ECFs)という概念は、Anita Pomerantzという言語学者が主張した概念だそうです。例えば、all, every, absolutelyなどの表現です。
Pomerantzの論文にある次の例は、Sさんが友人について話している場面の発話で、彼にあった人は「みんな」彼のことが好きになると言っています。証明できるの?と突っ込みたくなりますが。

S : You’d like him. Everybody who meets him likes him.
(Pomerantz 1986:224)

一方、日本語の会話でも、実際の友人同士の会話をビデオ収録して、どのようにこういった表現が使用されているのか、具体的に分析した研究があります。
川上きよ美先生が、2013年のアメリカ応用言語学会で発表されたご研究です。
The use of Extreme Case Formulations for upgrades in non-argumentative Sequences.
(2013 American Association of Applied Linguistics, Dallas, TX, USA, Mar 2013)
関心を持った「みなさん」は、ぜひ、学会のHPにアクセスしてみてください。

この研究では、日本語では、みんな、いつも、全然~ない、などの表現が収集されたそうです。
(組み合わせる必要もないのですが、例えば、「あの授業、全然おもしろくないって、みんないっつも言ってる~!」なんて表現が考えられるでしょうか。教師としては、「いつも」っていつ?と聞きたくなりますが。)

私自身はこのECFsの研究をしたことがないので受け売りなのですが、Pomerantz(1986)などの先行研究では、議論するような会話の中で、相手の否定的な反応に対して自分の意見の正当性を主張する場合に用いられるとしていたそうです。これに対し、上記の川上先生のご研究では、日本語での友人同士の楽しい会話にもこれらの表現が使用されていていることを、実際の会話データで具体的に示している点におもしろさがあります。

私は、「みんな」と同じでこの表現のおもしろさに「全然気がつかない」で「いつも」使っていたので、川上先生からご研究についてお話を聞き、「みんな」とは違った視点で会話の現象のおもしろさを、会話データから具体的に指摘することができるってすごいなと率直に思いました。

4月から大学生になるみなさん、大学ではみんなといつも一緒に勉強していく時間がたくさんありますが、みんなと一緒に学び合う中からも、みんなとはちょっと違ったことに気が付ける視点も学んでもらえたらと思います。

なお、詳しくは、上記と合わせて、以下の論文も(がんばって)読んでみてもらえたらと思います。
これは、「みんな」で協力して読んでもいいかもしれませんね。
Pomerantz, A. (1986). Extreme Case formulations: A way of legitimizing claims. Human Studies 9 (2-3): 219-229.

さくらちゃん(みんな♪)pptx

(OB)

日本文化発信プロジェクト<狂言> その2 [2017年03月22日(水)]

<日文便り>

日本文化発信プロジェクトの秋桜祭での展示の様子を紹介します。

4月から作製を始めた狂言紹介ガイドブックの情報を、1項目1枚のパネルにまとめ、来場者に「イイネ!」と思った部分に付箋を貼ってもらいました。付箋にコメントを付けてくださった方も多かったです。来場者参加型の展示にしたことにより、展示側にとっては冊子の作成に向けて大変有意義なコメントをいただくことができ、かつ来場者の方にも楽しんでいただけました!

 

会場はこんな感じです。

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来場者が「イイネ!」と思ったところに貼っていただく「イイネ!」ふせんが最も多くついたのは……こちら!!

ふせんの数はなんと111!

ふせんの数はなんと111!

日本の伝統芸能「能」「狂言」「歌舞伎」の違いを分かりやすく説明するために、マンガに例えた部分です。

このあたりの柔軟な発想は、やはり学生ならでは。

この部分には、こんなコメントが寄せられました。

<漫画に例えることで、古典芸能を知らない人にも伝わりやすいです>

<狂言を分かりやすくまとめてると思います。例えが良い!>

秋桜祭でのアンケート結果をもとにさらに検討を重ね、1月に最終版を作製。

そしてついに…!今年度版の冊子が出来上がりました!!

 

来年度も本プロジェクトは開講されます。

「狂言」に興味がある方、日本語教育(「やさしい日本語」)に興味がある方、留学生との交流に興味がある方、サークル感覚で打ち込む何かを探している方、是非一緒に【今までにない狂言紹介ガイド】を作りましょう!

メンバー一同、心よりお待ちしています☆

 

(植松容子、山本晶子)

日本文化発信プロジェクト<狂言> その1 [2017年03月21日(火)]

皆さんは「狂言」を見たことがありますか?

「狂言」について海外の方から質問を受けたら、説明できますか?

知っているようで知らない「狂言」、その面白さを伝えて少しでも多くの方に興味を持ってもらうために、今年度日文プロジェクトではこんな冊子を作製しました!

それが、こちら!

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「学生がオススメする楽しい狂言―「附子」・「蝸牛」-」です!

表紙は日文の4年生がデザインしてくれました!

 

内容については実際に手に取って見ていただくことにして、今回はこの冊子が完成するまでのプロジェクト活動の過程を2回に分けて紹介したいと思います。

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2016年度から日文ではプロジェクト科目がスタートしました。

プロジェクト科目とは、【日文で学んだ「知」を外へと発信することで学びを深める】こと、【日文で学んだ「知」で社会貢献をする】ことを目的として新たに設置された科目です。

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今年度メンバーはこの5名!!

4月からスタートした本プロジェクトは、まず狂言についての講義を受け、ビデオやDVDで実際に狂言を鑑賞し、参考資料や日本文化ガイドブックの記述を分析するところから始めました。

既存のものはどのような情報がどのように書かれているのか?

日本の若者に、さらには海外の方に狂言の魅力を伝えるためにはどうしたらいいのか?

学生たちは試行錯誤しながら、より良いものを目指して資料の改訂を重ねていきました。

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「これは?」 「動きがあってストーリーが分かりやすいね」

今年度は「若者向け」の冊子を作製することをゴールとしましたが、本学の留学生を招いて留学生対象のプレゼンテーションも2回行い、留学生版の試作も行いました。

「附子」を鑑賞中!

「附子」を鑑賞中!

お茶を飲みながらディスカッション

お茶を飲みながらディスカッション

これらの成果を11月に行われた秋桜祭で発表しました。

発表の様子は、その2に続きます!!

(植松容子、山本晶子)

 

 

 

卒業おめでとうございます!! [2017年03月16日(木)]

<日文便り>

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます♪

本日、3月16日(木)に卒業式が行われました。

少し寒さは残っていますが、
卒業式にふさわしく、いいお天気に恵まれました(*^^)

卒業生の皆さん!

その素敵な笑顔を絶やさずに、
これからも頑張って下さいね!応援しています。

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(YD)

 

吉田昌志先生が「樋口一葉記念第二十五回やまなし文学賞」を受賞されました [2017年03月15日(水)]

<日文便り>

本学教授・吉田昌志先生が御著書『泉鏡花素描』で、
「樋口一葉記念第二十五回やまなし文学賞(研究・評論部門)」
を受賞されました。

やまなし文学賞は山梨県と深いゆかりを持つ樋口一葉の生誕百二十年を記念して、平成四年四月に制定されたものです。吉田先生の受賞コメントをご紹介致します。

○受賞コメント
「このたび、二十五回の節目となる機会に賞を賜りましたのは、思いもかけぬ慶びです。とりわけ本文学賞が「樋口一葉記念」と冠のあることに感慨を禁じえません。というのも、泉鏡花と同じく日清戦争後の文壇に一躍脚光を浴び、その高評の頂点で斃れた一葉は、以後鏡花が亡母に劣らぬ憧憬と追慕の情を捧げつづけた稀有の存在だったからです。(中略)
明治三十年代から「天才」の名をほしいままにして、怪奇・幻想の神秘的な妖美を現出し、熱烈な愛読者をもっていた鏡花の世界ですが、わたくしの探求したのは、自らを取りまく現実と厳しく真摯に対峙し、前代文芸の伝統や同時代の情況と深く相渉ることによって独自な世界を切り拓いていった一人の文学者の姿でした。鏡花の生きた時代を、再び彼とともに歩んでみることをこころざしたのが、この『泉鏡花素描』です。(後略)」
(「やまなし文学賞 研究・評論部門受賞作・受賞者」コメントより)

 

今回、吉田先生が受賞なさった御著書をご紹介致します。

★『泉鏡花素描』(平成二十八年七月二十五日・和泉書院)泉鏡花素描

Ⅰ 観念小説期の泉鏡花 ほか

Ⅱ 「歌行燈」覚書 ほか

Ⅲ 「由縁の女」成立をめぐって ほか

Ⅳ 鏡花のなかの一葉/泉鏡花と演劇 ほか

 

 

また、山梨日日新聞にも記事が掲載されています。

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山梨県日日新聞(2017年(平成29年)3月10日金)

※記事はクリックで拡大できます

(YD)

研究発表会が実施されました。 [2017年03月13日(月)]

<日文便り>

研究発表会が実施されました。
4年間の集大成、卒業論文が完成し、その研究発表会が2月末に実施されました。
演習ⅢBからは4名の4年生が発表しました。そのうちの、二人から、次のような感想がありました。画像は、二人が研究発表に使ったPowerPointの中の2枚です。

 

女性ファッション雑誌の表紙の表記や文体を研究したSHさん・・・
研究発表会で自分の研究成果を発表することを通して、自分の研究を改めて振り返ることができました。また、質疑応答の時間を通して、研究への改善点や自分とは違った見方を知ることができ、有意義な時間でした。(
4年 SH)

女性ファッション誌①

女性ファッション誌①

女性ファッション誌②

女性ファッション誌②

 

 

 

 

 

 

 

出身地の山形県旧鶴岡方言の文末の表現研究をしたIYさん・・・
1
年をかけた研究を発表する機会はなかなかないので、自分の研究の集大成となりとてもよい経験となりました。今回の研究発表会を通して私の研究が後輩のみなさんの卒業論文の参考になったら嬉しいです。(4年 IY

山形県旧鶴岡市方言①

山形県旧鶴岡市方言①

山形県旧鶴岡市方言②

山形県旧鶴岡市方言②

 

 

 

 

 

 

 

 

また、司会をした3年生は以下のような感想をもったようです。

 

先輩方の卒論発表を聴き、卒論のテーマ決めは最も重要であると感じました。本当に自分が興味があるものでなければ、卒論を書き続けることはできないと思います。また先輩方の卒論発表から新たな研究テーマを見つけることができました。(3年 TC

 

こつこつとデータを取り、それを整理分析して文章にする、そしてそれを、初めてその研究を見聞きする1年生から3年生に向けて、わかりやすく発表する・・・、一連の流れを通して、ますます研究が深まるのだと思います。

 

 

(MN)

日本語を教える~「日本語教育指導方法論」授業紹介 [2017年03月09日(木)]

<授業風景>

皆さんは外国の方に日本語を教えたことがありますか?

今日は日本語教育の授業の1つ、「日本語教育指導方法論」(日本語を母語としない人に日本語を教える教育実習)を紹介したいと思います!

 

この授業では、3人1組となってチームを結成し、1チームで45分の授業をしてもらいます。

教える相手は、今まさに日本語習得中の、初級学習者の方です。

今年度前期はベトナムの方2名、後期は台湾の方2名に来ていただきました。

15回の授業のうち、後半の約5回を実習授業とし、それまでは日本語を教えるための基礎知識や授業デザインに関する講義を受け、グループで準備をします。

日本語を教えるのは全く初めて!という方ばかりです。

 

こちらは、図書館のグループスタディールームを使った準備の様子です。

グループで、担当する文型(文法項目)が教科書の中でどのように扱われているかを見て、例文を作ったり、どのように練習させるかディスカッションします。

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この授業では、直接法(日本語だけで日本語を教える)で授業をすることになるので、理解の助けとなる絵教材は必須です!教科書からコピーして拡大して使うこともできますが、絵が得意な方ならこんなオリジナルの教材を作ることもできます!!絵心があるっていいなぁ…(←日本語学校勤務時代、ホワイトボードに「やぎ」を書いたら「犬」と言われた経験あり)

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さて、いよいよ授業です。

授業では、教師役の3名が教室前方で授業を行います。

その他の受講生は、教室の後方で見学し、授業観察シートに記入します。

他人の授業を見て「気づく」ことは、自分の授業技術を磨くことに大いに役立ちます。

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課題が多く、大変ハードな授業ですが、学内にいながら直接法で実際に日本語を教える経験ができるのは貴重なことだと思います。学習者は、教師が予想しない反応をして、「指導案どおりに進まない!」ということも多々ありますが、学習者の理解に合わせて臨機応変に対応することは、コミュニケーション力を磨く良い訓練になります。

ちなみに、後期に開講される「日本語指導の実践」という授業は、今回紹介した授業の中級バージョンです。1グループあたり2回(!)実習を行います。さらにハードですが、1度目の反省にもとづき、記憶の新しいうちに再度チャレンジできる点が魅力です。日本語教師を目指したい学生、いずれ何らかの形で日本語教育に携わりたいと思う学生は是非☆

(植松容子)