〈受験生の方へ〉
みなさんは「会話データ分析」という研究を聞いたことがあるでしょうか。
高校までの国語などの授業ではなかったと思います。
毎日、みなさんは色々な人と色々な会話をしていると思いますが、その会話をデータとして収集し、やりとりにどのような特徴があるのかを明らかにする研究です。
私の専門は日本語教育なのですが、会話でのやりとりの特徴が明らかになると、その特徴をふまえた教育を行うことができます。
研究成果を教育などの実践現場へつなげるというのは、具体的にどういうことなのか、想像できますか?
実は、昨年、共同研究で『文献・インタビュー調査から学ぶ会話データ分析の広がりと軌跡―研究から実践まで―』という本を出版しました。
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b313405.html
詳しくはぜひこの本を手に取って読んでみてください(笑)。
この本では、これまでどのような会話データ分析の研究が行われてきて、実践現場へどのように還元されてきたのかを、文献調査とインタビュー調査から明らかにしています。
私は日本国内の調査の担当だったのですが、1980年代の日本語学習者の増加に伴い、日本語母語話者と学習者のやりとりの特徴を明らかにする研究が行われ、その結果を教材作成やカリキュラムデザインに活用していることがみえてきました。
出版までのプロセスでは、共同研究者と何度も話し合い、学会で発表を行って論文を執筆し、著書としてまとめました。
そして、出版されてからは、さらに様々なコメントをいただきました。
本に付箋をはって読んでくれたのは友人です。
大学の授業では、受講生同士が小グループで話し合って課題にとりくみ、明らかになった結果を授業で発表し、発表に対するコメントをもとにレポートを書くというプロセスを体験します。
私の調査から出版、コメントまでのプロセスは、実は、大学の授業でみなさんが経験することと同じです。
私自身が学部生の時に学んだプロセスが、今でも大いに役立っているといえます。
これから、大学で、みなさんと一緒にこのプロセスを経験できることを楽しみにしています。
そして、みなさんが、会話データ分析に関心を持ってもらえたらさらに嬉しく思います。
(OB)