はじめての味噌づくり

〈日文便り〉

友人の家でいただいた手づくり味噌のお味噌汁。

そのあまりの美味しさに感動し、
冬の終わりに生まれてはじめての味噌づくりに挑戦した。

といっても、手づくり味噌キットなるもので中に入っている材料を混ぜるだけなのだが
これがなかなかと大変な作業、、、。

大量の大豆を蒸しては潰し、蒸しては潰し、
そしてそこに大量の塩と麹をまんべんなく混ぜていくのである。

単純な作業ではあるが、普通の鍋では日が暮れてしまうため、
これまでさんざん我慢してきた圧力鍋と、今後、味噌作りでしか使わないような巨大ボウル
(しかも2つ!)を迷わず購入してしまったくらいだ。

ひたすら大豆を蒸し、潰していく作業は、右手が腱鞘炎になるほど大変なものだったが、
そのあとの混ぜて丸める作業は、子どもの頃に遊んだ泥団子作りのようでとても楽しかった。
そして、その味噌玉を味噌樽に勢いよく投げ入れていく作業は、よいストレス発散にもなった。

こうして味噌樽にきっちりと詰められた味噌玉たちは、
ここから約半年、今年の長い梅雨と暑い夏を家の片隅でじっと乗り越えていくことになる。

「夏を越すまで放ったらかしで大丈夫!」
との友人の言葉通り、(サイトによっては途中で天地返しをするとあったが)
一度も蓋を開けることもなくあっという間に9月になり、ついにその日を迎えた。

あまりにも放ったらかしだったので正直不安だったのだが
恐る恐る開けた蓋の中身は思っていたよりきれいで、見た目はちゃんと味噌だった。
約半年の間、部屋の片隅でゆっくりゆっくり発酵が進んでいたのかと思うと、
ただただ感心してしまう。

さて、肝心のお味は。
指先に少しとって舐めてみる。
こういうとき、自分で作ったものの味ってよく分からないものだ。
でもなんだかとても美味しい気がする。

次にシンプルなお味噌汁を作ってみた。
それはとても味わい深く、そして優しい味がした。

人間の肌には常在菌という菌が存在していて、手のひらに存在しているその菌のバランスが人によって異なるため、麹の菌と、手のひらの常在菌と、家の菌との調和が、その家庭にとってぴったりな味噌を育ててくれるのだそう。
そしてそれを身体に取り入れることによって、より免疫力を高め、強い身体を作ってくれるのだ。

そう思うと、これが我が家の味で、自分たちを守ってくれるのかとうれしくなり、
大げさでなく家族のようにとても愛おしく思えてきた。

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こうしてはじめての味噌づくりは無事(?)成功し、毎日、ほっとする我が家の味を楽しんでいる。
そして、すでに次はああしたい、こうしたいという気持ちも湧いてきている。
友人と味くらべもしてみたいし、みんなで集まってコネコネするのも楽しそう!

そんなことを考えつつ、これから寒くなる季節にむけて、我が家の菌にも助けてもらいながら、
食事とともに風邪に負けない健康な身体づくりをしていきたいと思っている。

心にも身体にも優しい味噌づくり、おすすめです。

(IR)