日文新春落語会~林家きく麿師匠をお迎えして~

〈授業風景〉

日文の開講科目「日本語学入門A・B」の授業で
落語家の林家きく麿師匠をお迎えし、「日文新春落語会」が開催されました。

これまでに落語を聞いたことがあるという学生はたくさんいたものの
実際に寄席に出かけたことがあるという人はほとんどいません。

今回は、TUJの学生の参加もあり、「初天神」「時そば」の二席を共に楽しみました。

教室につくられた即席高座を目の前に
皆、きく麿師匠の語りに知らず知らずのうちに引き込まれていきました!

以下、参加した学生の感想です。

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*私たちの反応を見て素早く対応して話してくださったのがすごいと思いました。教室中が一体となって笑い、夢中になって聞いていた様子が印象に残っています。また機会があったら自分でチケットを取って行ってみたいです。

*間の取り方や、人物のキャラクター付け、そばのすすり方、、、以前聞いた「時そば」と大分違う点があり感心しました。様々な人の同じ演目を集めて違いを分析などしてみたら、師匠の教えなどがわかって楽しそうだと思いました。

*聞く人に笑ってもらう、すなわち面白く話をするということは私たちが想像している以上に難しいことだと知りました。何気なく聞いていて複数の登場人物が出てきても、違和感なく話の展開についていくのに多くの工夫がされているのだと感じました。落語はもちろん、他の古典芸能でも間は重要であり、間は日々の鍛錬や経験によって身につくものだということを感じました。これを機に古典芸能の奥深さに触れる機会を増やそうと思いました。

*「時そば」は昔何度も見たものだったのですが、久しぶりに見てオチがわかっていてもやっぱり面白いものだなと感じました。子ども心ながらに、なんで2人目の人はもっと遅い時間にしなかったんだろうと思ったりもしていましたが、そういう少し抜けた人間味のある登場人物や「初天神」の子どものようなちょっとずる賢い人がいるから面白いのかなと思いました。

*きく麿師匠は、自分が見えない語りがよい語りであり背景と同化するのがよいと話していましたが、私は一つ目の話はすぐに親子が、二つ目は蕎麦屋と男性が思い浮かんだので、きく麿さんの良い語りが見えてきけたので大満足でした。

*質問の時間に、きく麿師匠がおっしゃっていた「笑わせようとすると自分が出てきてしまう」というのが印象に残りました。私が大好きな漫才、コントにも当てはまる部分があると思い、深い世界だと思いました。

*世間話のようなお話が始まると、話の節々で笑いが起き、お笑いのような「笑わせてやろう」と身構える笑い話とは違い、リラックスして聞くことができました。世間話から物語に入っていく入りが流れるようで、噺家さんの影がすーっと薄くなっていくのを体感して不思議な気分になりました。

*「初天神」で、親よりも子供の声が高く、無邪気で、細かなところまで伝わってきてすごいと思いました。子供が飴玉を口の中で転がしている様子や、親が団子の密をなめている様子は本当に目の前に本物があるのではないかと錯覚してしまうほど、言葉の調子や体の一部を使用した表現が上手でした。

*一人でたくさんの役をこなすうえで、誰がしゃべっているのかを客にわかってもらうための様々な技巧が見えました。例えば幼い子が話してるときは指を組んでもじもじしながら舌足らずで話すなど、話している人は同じでも、話し方、体の動きを変えるだけで全く印象が違って見えることに驚きました。

*私は落語を難しいものだと思い込み、毛嫌いしていたのですが、ストーリーが面白く、つい真剣に聞いてしまいました。食べず嫌いのものが本当に単なる食べず嫌いだったときと同じ感覚です。落語について説明をしていたのに突然ストーリーが始まっている現象、切り替えの早さに驚き、聞いている側は油断できないと思いました。人を自分の話に吸い寄せる力が私にもあればいいのにと思ってしまいました。

*今回の落語はどちらも内容は江戸時代あたりの出来事を描いており、出てくる基本的な言葉や口調に時代がにじみ出ていたと同時に、明らかに現代の言葉でアレンジされている部分も存在していて面白いなと思いました。

*扇子一つが箸になったりおいしい水あめになったり、見ていて錯覚を起こしそうになりました。小さな子がお父さんに一生懸命おねだりをする姿が、落語家さんを通して浮かんできました。子が父に話しかけるとき、父が子に話しかけるとき、父が店主に話しかけるときで顔の方向が決まっていたり、扇子をところどころ活用したりと、じっくり見ると気づくことが多くありました。そばをすする咀嚼音は上手すぎて苦手なくらいでした。噺の後にうかがったように、弟子、師匠という関係を大事にしているこの芸能はすごく面白くて、これからも残されていくべきものであると強く感じました。

*落語家を目指してから一体何杯のそばを食べたのだろうか。落語を見終わった後、ただただそばをすする動作のリアリティに驚かされました。一体舌をどう動かしたらまるで口の中にそばがあるかのようにすすることができるのか気になり、正面の席に座れなかったことを後悔しました。

*落語会のあと、「初天神」の台本をネットで検索して読んでみました。落語を聞いた時は面白かったのに、台本を読んだだけでは面白味を感じませんでした。そんなことからも噺家さんはすごいと感じました。

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落語のあとも、TUJの学生も含めたくさんの学生からきく麿師匠への質問が飛び交い、
皆が落語に魅了された大変充実した時間になりました。

林家きく麿師匠、ありがとうございました!

(IR)