日文の学生のみなさん、昭和女子大学大学院で日本語教育学を専攻する人たちのことを知っていますか。みなさんの中には、すでに日本語教育を進路の一つに考えている方もいるかもしれませんが、これまで関心のなかった方もいるでしょう。そこで、今回は「日本語教師」の職場について、また、昭和女子大学大学院で日本語教育学を専攻した修了生たちについて少しご紹介したいと思います。
大学院教育実習授業:大学内の留学生を対象とした日本語教育実習
今回、私がみなさんに大学院の日本語教育学のことをご紹介しようと思った理由は二つあります。一つは、私は3年間在職した本学をこの3月に退職するからです。日本語教師資格が国家資格となったばかりのこの時期に、ぜひみなさんに日本語教師の仕事に関心をもってほしいと言いたいのです。もう一つの理由は、私自身がかつて国文学科出身者(他大学)で、みなさんと同じように国語学や日本文学を学んでいた学生だったからです。私の場合、学部卒業後は国語教師として小、中、高校で計10年ほど働きました。この途中で、国語教師をしながら日本語教育学にも関心をもち、日本語教師養成機関で勉強し、大学院(他大学)を修了しました。その後、大学で日本語教育学を専門とする日本語教育学研究者となりました。
さて、日文のみなさんは、「国語教師」と「日本語教師」は、それほど違う職業ではないだろうと思いますか。両方を経験してきた私からすると、この二つは意外に違うところが多い仕事だと思います。
たとえば、国語教師と日本語教師の大きな違いの一つは職場です。国語教師は基本的には日本国内の学校現場で働くのでしょう。一方、日本語教師は日本語学校や大学の文学系や外国語教育系、教育学系の他に日本語センターや留学生別科で教えている教師のことはよく知られていますが、これ以外にも様々な職場に日本語教師はいます。企業の中で日本語を教える教師がいますし、大使館、国際交流基金、難民センター、病院の中にも日本語教師がいます。各地域に設置されている「地域日本語教室」、公立や私立の小・中・高校の中にも日本語を母語としない児童生徒のために日本語教師はいます。こうした国内の日本語教師たち以上に多いのは、実は海外の日本語教師たちなのです。海外のあらゆる地域には、さまざまな日本語教育機関があります。海外では、日本語教師は外国語教師として、日本語や日本文化の教育を担当しています(現地の小・中・高校や大学、国際交流基金、JICA日本語教師、日本語学校など)。また、技能実習生やEPA看護師や介護士候補者となる人のための日本語教師もいます。海外で暮らす日本人児童生徒のために現地の補習校で教える日本語教師もいます。両親や祖父母の日本語を継承するための「継承日本語教育」の教師もいます。このように、日本語教師の職場は国内海外ともにさまざまな場所にあるのです。
では、昭和女子大学大学院で日本語教育を専攻した修了生たちは、修了後はどのような職場で仕事に就いているのでしょうか。といっても、私が本学に在職した3年間で得られた情報でしかないのですが、それでも私が出会ってきた修了生たちは多様な職場で活躍していることが分かります。日本語学校の教育事務や留学生相談担当、国際交流基金(浦和日本語センター)には現在3名の本学大学院修了生が働いています。また、昨年修了した留学生の一人は都内の大学の留学生別科でこの4月から勤務することが決まったばかりです。海外でも修了生が活躍しています。家族の赴任先であるイギリスで大使館の日本語教師になった人がいますし、帰国後に中国の大学で日本語教師となった人もいます。つい先日、私がプノンペンでお会いした王立プノンペン大学(本学の海外協定校)日本語学部長のレスミー先生も本学大学院修了生です。先月(2月)、本学大学院の近藤教授と私が講師をしたプノンペンでの「海外日本語教師研修」には、学部時代に本学に交換留学生として1年間留学していたカンボジア人日本語教師2名がこの研修に参加してくれました。二人とも昭和女子大学のことを懐かしく思い、当時のことをいろいろ話してくれました。
左から、王立プノンペン大学のレスミー学部長(本学大学院修了生)、マクナマラさん(本学、国際交流センター職員)、近藤教授(本学大学院)、池田(私)、キム先生(王立プノンペン大学)
このように、3年間の情報だけでも、本学の大学院で日本語教育学を専攻した修了生(日本人、留学生)や交換留学生たちも、国内外で立派に活躍されていることが分かります。このことを私の退職の前に、ぜひみなさんにお知らせしておきたいと思いました。
日文の学生の皆さんが、今後自分自身のキャリアを形成していくプロセスにおいて、この情報もぜひ参考にしてみてください。
(池田玲子)