2021年6月30日学長ブログ [2021年06月30日(Wed)]

■女性教養講座から報告

 昭和女子大学の「女性教養講座」では、本学独自のプログラムとして、学問の分野にこだわらず、広い領域で活躍している著名人をお招きし、「女性の心を育む」ことを目的とした講演を実施しています。6月16日(水)の女性教養講座では、東大作上智大学教授が「世界平和研究における日本の役割、若者への期待」というタイトルで、オンラインで講演されました。私は、東先生の世界平和に貢献するための日本の役割についてのご意見に共感し、是非学生には世界的課題にも関心を持ってもらいたく、講演をお願いしました。
 世界中で起こっている紛争の多くは内戦であり、2014~2016年には3年連続して10万人を超える犠牲者が、そして2019年には7000万人を超える難民が発生しているとのことです *¹。東先生は、そのような世界中で起こっている紛争を和平に導き、平和を構築するプロセスで、日本はグローバルファシリテータとしての役割を果たせるというご意見を持ち、アフガニスタンや南スーダン、イランなどでの紛争の和平プロセスを例にあげて説明されていました。話の随所に若者へのメッセージが盛り込まれており、大変明解で示唆に富む講演でした。当初、私はこの講演はテーマが大きく深刻であるため、学生は関心を示さないではないかと少々不安でしたが、それは杞憂でした。今回の講演はコロナ禍のため、オンライン開催となりましたが、事前に質問者として応募してくれた3人の1年生以外にも大変多くの質問がチャットに書き込まれ、予定時間を大幅に超えても質問に答えきれないほどでした。質問がしやすいこともオンライン講演のメリットであると実感しました。また、何よりも多くの学生が世界平和に関心をもち、自分に何ができるのかを考えていることがわかり、私はとても嬉しく思いました。
 東先生の講演を受け学生から「将来世界平和に貢献するためには、今はしっかり学び、実力をつけることが重要である」との意見がありました。私も同感です。学生のみなさんには大きな夢を抱いて、しっかり勉強していただきたいと思います。
 本学の創立者人見圓吉は、第一次世界大戦後の荒廃した日本でこれからの平和で新しい文化を担うことができる思慮ある力強い女性の育成を目指しました。創立101年が経った今も建学の精神を引き継ぐこの昭和女子大学から、次世代を担い、世界的課題の解決にも貢献できる力強い女性が多く輩出されることを願います。

*¹ 東大作著「内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか」(中央公論新社、2020年)


東大作先生の著書と望秀海浜学寮で制作されたブーケ

2021年6月7日学長ブログ [2021年06月07日(Mon)]

<教職員インタビュー>
このブログでは本学の教職員や学生のみなさんの活動を紹介したいと思います。今日は、英語コミュニケーション学科の山本史郎教授にお話を伺います。

■プロフィール
小原: まず、山本先生の研究について聞かせてください。
山本: 研究分野は「翻訳論」です。英語の文章をどのように訳すか、日本の翻訳は歴史的にどうであったかを研究する分野ですが、私は主に前者を中心に研究しています。当初は19、20世紀の英文学が専門だったのですが、コンピュータを趣味にしていた私は、大学の改組で言語情報学に方向転換することになりました。そこでコンピュータ言語を教えるようになり、サーバーの管理までしていました。しかし、ようやく英国に留学する機会を得たのを機に、本格的に翻訳を始めました。そういうわけで、東大で「翻訳論」を教え始めたのは20年くらい前からです。翻訳は翻訳経験の蓄積が役に立つので、英語力、文章力は経験を積むほど年々進化しています。だから東大時代より昭和女子大学でのほうが、翻訳能力が高くなっていると思います(笑)。
小原: 先生が翻訳された中でご自慢の本を紹介してください。
山本: トールキンの「ホビット」ですね。この本は原作の絵も入っていてきれいです。これの翻訳は2か月間、毎日十何時間もの時間をかけて改訳したもので、文章が正確でわかりやすく、あいまいさのない訳になっています。「赤毛のアン」も訳しています。サトクリフもいっぱい訳しており、自分でも好きです。最近出版した「翻訳の授業」もなかなかよいですよ。

■昭和女子大学で教壇に立って
小原: 本学で教えられて如何ですか。
山本: 今、研究と授業を熱心にやっていますが、授業は楽しいです。本学の学生は講義に興味をもってよく聞いてくれます。特に1年次のクラスでは、テキストを訳し自分の言葉で内容を紹介することをやっていますが、自分の言葉で説明するところが、単なる訳になってしまい、始めは難しいようです。しかしリアクションもよく、だんだん学生が成長し変わっていくのがよいですね。
小原: 自分が教えた学生が成長するのを見るのは教員冥利につきますね。

■研究の楽しみ、趣味について
小原: ところで、先生の研究のなかでどんなところが楽しいのでしょうか。
山本: 英語を日本語に訳しかえるプロセスが楽しいです。文章のどこに力点をおくか、センテンスのつなぎ方をどうするかなどを考えるのが楽しいです。そういえば朝日新聞の「朝日ウィークリー」に短い英語の文章を訳すレッスンの記事を書いているのですが、この作業もなかなか楽しいです。翻訳は感性だけではなく、理論的に考えることも必要です。
逆にきつかったことは、人気作品を訳した時、昔の訳本での読者ファンから厳しく批判されたことです。
小原: なぜ英文学の道を選んだのでしょうか。
山本: 高校生時代は京都大学で中国文学を学びたいと思っていたのですが、叔母から東京大学を強く勧められ、東大に入学しました。初めは仏文学をやろうとしたのですが、仏文学をやる学生たちの気質を見て、自分はちょっと違うなと思い英文学にしました。
小原: 先生の趣味、好きな言葉があれば教えてください。
山本: 小さい頃、ヴァイオリンを習っていたのですが、60歳ぐらいから再びヴァイオリンを始めました。こどもが使っていたヴァイオリンが家にあり、この音色がすごくきれいなので気持ちよく弾けるのです。(小原注釈:先生のお子様はヴィオラ奏者で、ときどきオーケストラでアルバイトで弾いているそうです)
好きな言葉は“Don’t take yourself too seriously”、「自分を笑う余裕を持て」と訳しましょうか。(さすが、翻訳家ですね・・小原)それと、「失望することがあっても絶望するな」、原点回帰で何もないところ(たとえば、生きているだけで有難い)から始めようという意味です。実際に私はそう思うようにしています。

■学生へのメッセージ
小原: 昭和女子大学の学生にメッセージをお願いします。
山本: ダブルディグリープログラムについては、こんな良い制度はないと思います。学生は恵まれています。ボストン留学についても、いきなり一人でアメリカ社会に出される前に、ゆるやかな形でトレーニングできるのがよいと思います。できる学生には他の選択肢もあります。また、他の大学と比べ、本学の教員は学生に親身になってサポートしていると思います。
学生に対してのメッセージとして、学生のみなさんは群れたり他の人と同じようにしたがる傾向がありますが、他の人にこだわらずにもっと自由に発想したり、自分自身で物事を考えてほしいと思います。

小原の感想
 実は、山本先生は私と同じ高校の出身でしかも同期です。ベビーブーム末期の当時は1学年12クラスもあり、同じクラスになったことはなく面識もありませんでした。けれどもある時、私の好きな英国の歴史小説家で児童文学者でもあるローズマリ・サトクリフの本の奥付にある訳者紹介から山本先生が高校の同窓生であることを初めて知りました。因みに高校生のころ、学園祭で同じく同窓生の澤和樹氏(ヴァイオリニスト、東京芸術大学学長)とヴァイオリンのデュエットをしたことがあったそうです。私も同じ場所にいたのではないかと思いますが、全く記憶にないです。
 山本先生が翻訳について語られた時、最良の訳を目指して呻吟しながら思考する作業の楽しさが実感として伝わってきました。私がもし学生であったなら、山本先生の授業を一度は受けたかったと思います。山本先生、有難うございました。

2021年5月5日学長ブログ [2021年05月05日(Wed)]

■現代ビジネス研究所の研究報告会・交流会

 4月24日(土)午後、現代ビジネス研究所の研究員による研究報告会がありました。(現代ビジネス研究所の紹介はこちら)今回は5人の研究員が、ペットビジネス、地域連携(地域づくりもしくは地場産業興し)、非常食のアプリ開発、キャッシュレス決済等のテーマで研究成果をオンラインで発表し、これを視聴させていただきました。
 私は現代ビジネス研究所の第一回報告会から、会計ファイナンス学科の教員で現代ビジネス研究所の事務局長でもある小森先生とともに皆勤で参加しています。開所当時から現代ニーズに合った多様なテーマで研究が進められているところが現代ビジネス研究所の持ち味でしたが、最近は研究成果の蓄積とともに内容も発展し、発表も洗練されてきたと思います。研究員のプロジェクトに参加した学生たちも、大いに学ぶことができているようで感謝したいと思います。
 学生が参加するプロジェクトには、研究員と学生との調整やアドバイザー的な立場で本学の教員が関わることになっています。食プロジェクトに長年関わっている健康デザイン学科のある教員は、今ではこのプロジェクトをご自身の研究テーマの一つとして進めておられます。研究員と学生、そして大学の教員が連携して、相互に影響を受けながらプロジェクトを進めている、これはまさに現代ビジネス研究所の目指すところであります。研究員とプロジェクトを進めるなかで、教員は刺激やヒントをもらうとともに専門的見地からそのプロジェクトを支援し、それに関わる学生は専門分野の知識を実践し、社会と繋がることができます。研究員、教員、学生が過度な負担にならないペースで、知的好奇心を膨らませながら活動していただき、研究プロジェクトの輪が徐々に広がっていくことを願っています。
 報告会の後、今年度の新任研究員の紹介を始めとしたオンライン交流会が開催されました。自己紹介をするなかで、研究員同士の質問やコメントが適宜入り、友好的かつ有効なネットワークが広がりそうでした。交流会でも研究員の意欲が感じられ、前向きで積極的に活動しようとする姿勢に私も元気づけられました。土曜の午後の楽しいひと時を有難うございました。


↑ 現代ビジネス研究所の室内です。研究員や研究所員などが主に会議や打ち合わせなどでこの部屋を利用します。

↑ 現代ビジネス研究所の入り口で、ロゴマークをはさんで事務局長(右)とスタッフ(左)がポーズをしてくれました。

2021年4月9日学長ブログ [2021年04月09日(Fri)]

■「人生100年時代の社会人基礎力育成グランプリ」優秀賞(地区予選)受賞学生の報告

 先日、「人生100年時代の社会人基礎力育成グランプリ」の地区予選で優秀賞を獲得したビジネスデザイン学科の学生3名が報告に来てくれました。このコンテストは経済産業省がとりまとめ定義した人生100年時代の社会人基礎力の向上に向けた大学での取り組みと、その取り組みによって得た成長や成果の実例を各大学の学生チームが発表し合うものです。学生たちがプレゼンテーションを行った内容は「学部3年生が1年生の課題解決を助ける『ティーチング・アシスタント』制度」について。 1年次の授業「グローバルビジネス基礎演習」(基礎ゼミ)のグループワーク型PBL(Project Based Learning)で、上級生がファシリテーターのような役割で1年次をサポートするティーチング・アシスタント(TA)として参加し、そのTA活動のなかで自分たち自身も社会人基礎力を磨くことができたことを発表しました。
 「この活動のなかで自分が最も成長できたと思うことは何でしたか」という私の質問に対し、次のような答えがありました。
・1年次の反応を見ながら、自分の意見をうまく伝えられるようになった。
・以前は相手に否定されるのがいやで自分の意見を言いにくかったが、自分の意見を主張することによって1年次も成長することを知ることができた。
・授業を学生にとって最適なものにするためにどうすればよいのかを主体的に考えることができた。
・複数のメンバーで考えることによって自分にはなかった気づきも得られた。
確かにこのTA活動は1年次だけでなく、支援する上級生も成長できる経験だったようです。もう一つ、私から「ビジネスデザイン学科に入学して良かったこと」を質問しました。答えは次のとおりです。
・学びが充実しており、日々の生活にも学習したことを活かすことができる。
・経営と経済の両方を学ぶことができる、そしてゼミ活動が活発で、学んだことをアウトプットできる機会となっている。
・経済、経営、英語と、幅広く深く学べる。
・留学によって、それまでとは違う観点で学ぶことができて実際に興味の方向も変化している。ICTの可能性にも興味が湧いた。
今回報告に来てくれた学生たちは、はきはきしていて、前向きで、話を聞いていると私も嬉しくなり、学科の教員の皆さんにお聞かせしたいほどでした。
 彼女たちは最終選考まで勝ち残るつもりだったそうですが、地区予選であえなく終わってしまい大変悔しかったそうです。しかしその一方で、このチャレンジからさらに学ぶこともあったとのことです。私は結果より大事なことは、チャレンジするプロセスのなかでどれだけのことを学べたかということだと思います。多くの学生が色々な方面で知識、スキルを磨き、学外の他流試合にも果敢に挑戦してほしいと思います。頑張った末の結果はどうであれ、そこから得るものはあっても失うものはほぼないと思います。「みんな頑張れー!」とエールを送りたい気持ちです。

2021年3月10日学長ブログ [2021年03月10日(Wed)]

■「こどもホスピスの奇跡-短い人生の「最後」をつくる」(石井光太著、新潮社)を読んで

 先日、「こどもホスピスの奇跡-短い人生の「最後」をつくる」(石井光太著、新潮社)という本を読みました。この本を本学の図書館の推薦書に選びたいと思っていますので、興味をもった人は来年度から図書館で読むことができると思います。ホスピスといえば、不治の病にかかった人が残りの人生を治療ではなく、痛み苦しみを緩和しつつ、その人らしく人生を終えることのできる施設、と認識されていると思います。しかし、実は、ホスピスが日本よりかなり進んでいるイギリスでは、必ずしも死を看取る場所ではなく、家族を介護から一時的に離してリフレッシュさせる目的としてつくられた有名な施設もあるそうです。日本でつくられたこどもホスピスも、難病の子どもとその家族のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指して活動されています。この本では、こどもホスピスをつくる活動を起こした人々と、ホスピスの開設活動のきっかけとなった子どもたち、またホスピスを利用した子どもたちとその家族について述べられています。医師だけでなく、難病で亡くなった子どもの親や保育士、看護師、医療事務のスタッフなどもこのホスピスの開設に関わっています。彼らは、難病で不治の子どもが延命措置によって生かされ苦しみながら死を迎えるより、残された短い時間を充実した幸福な時間として送れるようにサポートできる場所が必要と考え、その目的に向かって行動を起こしました。これらの人々の高い使命感と思いに共感し、これこそが仕事に対してあるべき姿勢であり、持つべき価値観だと感動しました。また、難病を患った子どもたち一人ひとりがどのように感じ、考えたのかが述べられていますが、純真な子どもたちの言葉や行動、親の思いなどは、涙なしでは読み進めませんでした。このホスピスの開設に関わった人々の志の高さから、仕事する者にとって何が大切かを改めて考えさせられる一冊でした。

2021年2月2日学長ブログ [2021年02月02日(Tue)]

■学長会議に参加して

 先日、私立大学連盟の会議で、慶應義塾大学の中室牧子教授の講演を聴きました。主旨は、日本では教育政策を経験や特定の事例から論じることが多いが、科学的な根拠に基づいて考えるべきであるということです。講演では、科学的根拠すなわち、社会実験等による客観的データの比較に基づいて、教育効果の測定や検証が行われた例が説明されていました。そのなかで、
・埼玉県学力学習状況調査から、コロナ禍での小学校の休校の影響により、低学年で国語より算数で学力が低下した可能性が指摘された
・米国の公立小中学校の臨時休校はコロナ感染の抑止に効果はなかった
・大学でオンライン授業のみ、対面授業のみ、オンライン+対面のハイブリッド授業の3種を比較実験した結果、オンライン授業のみは対面のみの場合より期末試験で4~5ポイント低く、ハイブリッド授業と対面では差はない
・オンライン教育はもともと成績の悪い学生に負の影響がある。(厳密な比較実験では、対面授業とオンライン授業の教育効果の差は全体的には決して大きくない結果が出ているとのこと)
・成績不振の学生集団の一部に「目標設定を行うオンライン演習(目標を列挙し、目標達成に生じうる課題を解決するための具体的な戦略も考えさせる)」を予め受けさせてからオンライン授業を実施し、この演習を受けずにオンライン授業を受けた同集団の学生と比較すると、前者の学生のGPAが大幅に高かったという実験結果が示された、などの多くの興味ある研究報告が引用されていました。

 さて、本学においては、今年度は全教員がオンライン授業のメリット、デメリットを実感した年でしたが、次年度からは、オンラインを活用しつつ対面授業も効果的に展開できるような状況になっていることを願っています。どのような状況でも本学の教育をストップさせないように、構内のネット環境の強化やオンライン授業に関わる設備の充実について段階的にではありますが、可能な限りの改善が進められようとしています。コロナ禍でも、昭和女子大学は前進あるのみです。


↑ 学園本部館の梅の木
既にたくさんのつぼみを膨らませています。春は近いです。

2021年1月15日 学長ブログ [2021年01月15日(Fri)]

<SHOWAトピックスの紹介>

■学生の「キャリアインカレ2020」へのチャレンジ
 ビジネスデザイン学科3年生の3名の学生たちがマイナビの「キャリアインカレ2020」に出場しました。キャリアインカレは、企業5社が出した課題に対してビジネス提案をするコンテストで、今年は全体で720チームが出場し、本学のチーム(チーム名:「よしこ」)がセコムの部で優勝しました。1月9日に、5社それぞれの優勝者の中から最優秀を選ぶ決勝大会がありましたが、この決勝で惜しくも敗れました。チーム「よしこ」の提案は、10代20代を対象にした、SNSでのいじめや炎上から身を守るためのビジネスアイデアでした。セコムからは、SNSを安心して使える空間にすべきだと提言する公共性と、表現の自由とプライバシーのバランスをAI等のデジタル技術で克服しようとしている点、ビジネスとしての持続性と実現性が高く評価されたとのことです。私もPCで決勝大会を視聴していましたが、チーム「よしこ」は優勝チームに劣らず堂々とした素晴らしい発表で善戦したと思います。最優秀こそ獲得できませんでしたが、チームメンバーはそれ以上に大きな学びや気づきを得、成長できたことと思います。メンバーには悔しかったことをバネにして、ここで得たことを次のチャレンジに活かしてほしいと思います。
 他の学科の学生でもこのようなチャレンジャーが多数いると思いますが、学生のみなさんには大学内の活動に留まらず。是非、学外のコンペやコンテストなどの他流試合に臨んでほしいと思います。もちろん、賞をいただいたり、勝つことは素晴らしいことですが、これに挑戦する過程で得られるもののほうがより重要と思います。失敗してもこの経験を次に活かすという気持ちで、色々なことにチャレンジしてみてほしいと思います。
 大人の私たちも学生の皆さんと同じです。私の場合、コンテストに出場するわけではないですが、事の大小に関わらずチャレンジ精神でやってみること、これが日々の生活や人生に刺激を与え、楽しくするコツだと思っています。


決勝大会:セコムの部の扉画面

次回も、気になるトピックスを取り上げて紹介していきます。是非、ご期待ください。

2020年12月21日 学長ブログ [2020年12月21日(Mon)]

<SHOWAトピックスの紹介>
今回からは、学内イベントや学生プロジェクトなど、様々なトピックスをいくつか取り上げて紹介していきます。初回は、昭和女子大学創立100周年記念となるオリジナル和菓子の製作に挑戦した「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクト、またテンプル大学ジャパンキャンパス(以下、TUJ)と本学との共同開設科目である「コミュニティアート」の活動報告会の様子を紹介します。

■「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクト
少し前になりますが、11月末に「輝け☆健康『美』プロジェクト」、通称H&B(Health&Beauty)のメンバーが指導教員とともに学長室を訪れてくれました。

本学附属高等部のOGの店でもある三軒茶屋の大黒屋さんとのコラボで、本学創立100周年記念バージョンのあられ・おかきの詰め合わせを企画して製品化されたことを報告してくれました。本学の校章にもなっている桜の形の2色あられと、100周年記念ロゴで描かれている船や学寮研修の「灯の集い」、そして建学の精神の「世の光となろう」を連想させるロウソクなど本学ゆかりの絵が描かれている丸形の煎餅などが入っています。デザインだけでなく、使用された色素や素材も吟味されているようです。わたしもいただきましたが、形がかわいいだけでなく味もなかなかおいしいです。この商品は、本学ではプレリュードで販売され、キャロットタワー地下1階の大黒屋さんでも販売中だそうです。冬休みに帰省する皆さんのお土産にお勧めしたいと思います。このコラボに関わった学生のみなさんの感想を聞き損ねたのですが、このようなプロジェクトを通して、大学で学んだ知識を実際に使ったり、企画を練ったり、学外の人たちと交渉するなかで学ぶことは多かったのではないでしょうか。

■TUJとの初の合同授業「コミュニティアート」の活動報告会
11月30日(月)に、TUJと本学との共同開設科目の「コミュニティアート」の活動報告会が開催され、参観しました。コミュニティ(地域住民)にアートに近づき親しんでもらうことを目的として、芸術普及・教育活動のイベントを企画し開催するまでを行うPBL形式の授業です。

指導は、本学の歴史文化学科の教員とTUJのアート学科の教員の協働でなされました。「アートドキュメンテーション 授業の軌跡」「世田谷美術館へのワークショップ提案」「チョークアート制作とアートマネジメント」の3つのプロジェクトは、TUJと本学の学生の合同で編成され、それぞれのグループがパワーポイント資料や動画を使って報告しました。発表は、学生が分担して英語と日本語で、司会の英語コミュニケーション学科の学生は2か国語で説明していました。どれも通り一遍でなく、オリジナルの楽しそうな企画であり、また多くの学生が分担しながら発表し、みんなが協働できている感じが大変よかったと思います。今回のように、英語が得意でなくても学生は十分に授業内容を学ぶことができ、協働作業を通してTUJも本学の学生も互いに刺激を受けたのではないでしょうか。
初めての企画なのでご指導の先生方には色々ご苦労があったかと思いますが、学生にとっては大変貴重な経験だったと思います。今後もこのような企画が他の学科でも実施されることを期待します。

次回も、学内イベントや学生プロジェクトなど、気になるトピックスを取り上げて紹介していきます。是非、ご期待ください。

2020年12月4日 学長ブログ [2020年12月04日(Fri)]

<総合教育センター長インタビュー>
先回は、学生のプロジェクトを取り上げる予告をしていたのですが、その前に学部長シリーズの番外編として、総合教育センター長の井原奉明先生に話を聴くことにしました。総合教育センターは一般教養科目、語学、教職科目を管轄し、全学生が必ずお世話になっているところです。

■プロフィール
小原: 恒例になっていますが、まず先生の専門分野と研究について教えてください。
井原: 私は哲学のなかでも、言語哲学を専門に研究しています。日本の哲学研究では、一般的には過去の高名な哲学者について研究することが多いのですが、一方で過去の哲学者を師として、その人の追究した道をたどりながら、自分も思考し研究を進める手法もあります。私は後者の手法によって研究を進めています。私の場合、哲学者のウィトゲンシュタインを師としています。この人は元来、「素人」哲学者として独自な研究を進めた人ですが、その説は多くの研究者に影響を与えています。
私は、昔から「私」「他者」「世界」「言語」などに関心があったのですが、現在は「私」についてウィトゲンシュタインの考えた道をたどりなら、研究しています。今まで、言語学、現象学、日本の哲学、そして仏教思想など色々なものに関心を持ってきましたが、現在の研究対象にこれらの異なる知見をぶつけるとまた新しいものが見えてくることがあり、これまでずっとこの研究手法を続けています。

小原: 私はウィトゲンシュタインの名前を聞いたことがある程度の知識しかないのですが、哲学にも色々あるのですね。論文や著書を読み、それについて深く思索するというスタイルの研究ですね。先生の研究の醍醐味はどういったところにありますか。
井原: 研究のなかで色々考えたり、調べたりしているうちに、ふっと気づく、わかった!と実感することが時々あります。突然サーッと靄が晴れていく感じなのですが、そこがおもしろいところです。一生懸命考えている時に何気なく手に取った本を読むと、思いがけないヒントに出会う瞬間があります。「天使が降りてくる」や「天使のご褒美」という表現をすることもありますが、これが研究の醍醐味です。また、世界に同じ手法で研究している人がいますが、同じ部分を基に考察しながら異なる結論を出すことがあります。若い頃にはこういうこともよいなと思いました。
小原: わかる気がします。科学の分野でも、似たようなことがあります。いずれにしても、あることを一生懸命に深く考えたり、真剣に取り組んでいないと天使はご褒美をくれないですね。
 先生がこの言語哲学の分野を選ばれたきっかけはどのようなことでしょうか。
井原: 小さい時から言葉、詩、小説、まんが、作曲など自分の気持ちを創造的に表現することが好きでした。英語も好きな科目でしたので、上智大学で英語学科を選びました。それと、学生時代のアルバイト先で、現代思想のトップランナーの研究者の弟子であった二人が先輩にいて、その二人の話を聴いて哲学に興味をもつようになりました。そして、自分の大学にもこの分野の立派な先生がいることを知り、大学院では言語学課程で言語哲学を学びました。
小原: 井原先生は特技や趣味をたくさんもっていそうですが、これについて教えてください。
井原: 趣味はたくさんありますが、いくつか選ぶとすれば、まず、旅行と旅先での食べ歩きです。知らないところに行ってその土地の名物を食べるのが好きです。あと、海外でも国内でも旅先では必ずコーヒーを飲み、コーヒー豆を買って帰る程のコーヒー好きです。次に体を動かすことが昔から好きですが、今ではジムに行く程度で、もっぱらスポーツ観戦を好んでいます。スポーツは球技でもスキーでも何でも観ます。読書も小さいころから好きなので、本を読みながらテレビでスポーツ観戦をすることもあります。どちらかにすれば?と言われますが、どちらも並行してやれます。また、高校、大学生のころからロックバンドを組んでいまして、今でも時々当時の仲間と演奏します。ギターやキーボードを弾きます。オリジナルの曲も演奏していました。特技は、この楽器演奏と、かつては人のものまねも得意でした。
小原: 井原先生がロックバンドとは・・・楽しいですね。そういえば、井原先生が「X先生が・・・とおっしゃった」と、X先生にそっくりの言い方で再現されているのを聞いたことがあります。確かに、ものまねがうまいと思います。
 先生の好きな言葉や座右の銘があれば教えてください。
井原: 自分の転換期に「意志あるところに道はある」という言葉によく思い至ることがあります。もう一つはサルトルの「約束は言葉ではなく、行動だ」という言葉です。何かトラブルがあったり、みんなで何かに向かってやらなければならない場面にぶつかった時、自分も口だけでなく誠実に行動する、関わることが大事だと自分自身に言い聞かせています。

■総合教育センターについて
小原: 本学の総合教育センターの特徴はどのようなことでしょうか。
井原: グローバル教育には外国語教育がもちろん必須ですが、一方でグローバルマインドや国際的に通用する思考力を育てることも必要です。今は、一般教養科目では理系科目はやや少ないですが、数学などの理系科目も充実させようとしています。数学をはじめとしてロジック(論理)を学ぶ学問は言語に関係なく、高い国際通用性をもち、このようなロジックおよび論理の展開を学ぶことは国際的に共通する武器となるものです。従って、自分の専門分野以外でも体系だった考え方や論理を学ぶことはグローバルな力をつけることにつながります。今の一般教養のカリキュラムは、この方向性で再編成しようとしています。学生には色々な科目を履修し、それらを自分のなかでつなげて理解してほしいと思っています。また、それができる教育環境を整えていきたいと思っています。

■大学について
小原: 最後に、昭和女子大学のセールスポイントはどんなところでしょうか。
井原: たとえば、女性教養講座や文化研究講座などのように、在学中に面倒くさいと思っている人がいるようなものでも、即効性というよりむしろ卒業してから効いてくるプログラムが本学には多くあります。自分に関心のない類の講演や芸術鑑賞でも、それに触れることよって自分の世界を拡げる機会になることもあります。この他、留学、学寮研修、プロジェクト活動など、自分の視野や器を広げ、感性のアンテナを磨く機会が多くあり、 それらの経験が後々の役に立つと思います。自分の枠を一回り大きくするための土壌作りをするものが、本学ではたくさん提供されています。
さらに、教員と学生の距離が近いところが良い点です。クラスアドバイザー制をとり、クラスの人数が少ないので、学生と教員が話す機会がたくさんあり、教員が学生の背中を押しやすい環境がここにあります。そのため、 他の大学に比べて卒業後もOGと長く関係を保っている教員も多いです。

小原の感想:
井原先生に楽しく話を聞かせていただきました。私の場合、実験が主体の研究をしているので、実験しながら得られた結果を考えるという研究手法ですが、先生のように論文を読んで深く思索するという、まさに学者らしい手法を取る方とは脳の使い方が少し違っているのではないかと感じました(実際はどうなのでしょうか?)。そして、先生はなんとなくマニアックな雰囲気を醸し出されているので趣味が多いことは予想していましたが、ロックバンドとは私の予想を超えていました。先生が一番気に入った食べ物はどこのどんな食べ物だったのかが後になってから気になりお聞きしたところ、ウィーンの「シンケンフレッカール」という料理だそうです。ハムとパスタで作るオーストリアの郷土料理のようですが、気になる人は調べてみては如何でしょうか。

次回からは、学内イベントや学生プロジェクトなど、様々なトピックスの中から1つを取り上げて紹介していきます。初回は、昭和女子大学創立100周年記念となるオリジナル和菓子の製作に挑戦した「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクトを紹介する予定です。ご期待ください。

<関連リンク>
井原奉明教授の教員紹介ページ
総合教育センターの紹介ページ

2020年11月20日 学長ブログ [2020年11月20日(Fri)]

<学部長インタビュー>
今回は、生活科学部長の高尾哲也教授に話を伺います。なお、生活科学部は2021年度から「食健康科学部」に名称が変わります。

■プロフィール
小原: まず、先生がどんな研究をされているのか伺いたいと思います。
高尾: 研究テーマは二つあります。一つ目は「唾液を出したい」がキーワードです。唾液を適度に出すために、まずは唾液を出せる食品成分や唾液を出す方法を探すための指標をつくろうとしています。現段階は、指標そのものを検証してより良い指標をつくる、もしくは評価法を探ることから始めています。現在、指標には細胞を利用しようとしています。
小原: そもそもなぜ「唾液を出したい」なのでしょうか?
高尾: 高齢者は唾液が少なくなりがちですが、唾液が少なくなると食べるのが苦痛になります。そうすると、低栄養になることもあります。また、唾液が少なくなると、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。ですから唾液が出しやすくすることは、特に高齢者にとって生活の質(QOL:Quality of life)の向上につながります。
小原: なるほど、梅干しを食べるとか、そんな単純な話ではないのですね。
高尾: もう一つのテーマは、「炎症を抑える食品成分を探る」です。たとえば、腸の炎症を抑えられれば、下痢などを軽減することができます。炎症を抑える食品成分を見つけられば、これもQOLの向上につながるだろうと思います。近年、医学や薬学ばかりでなく、食品や栄養の分野でも、主に装置や試薬の価格の問題ですが、細胞の利用や細胞内の情報伝達、遺伝子発現の測定や解析ができるようになってきました。ゴールははっきりしていますが、その道のりはまだ長いです。
小原: 両方の研究は、ともにQOLの改善につながるのですね。

小原: 次に、先生の研究のなかでおもしろいと思う点はどんなところでしょうか。
高尾: まず、自分の研究で他の人が知らないような、初めてのことを知ることができるのはおもしろく楽しいです。たとえば、学生は自分の卒業研究で今までになかった初めてのデータを得ることになります。そのデータから得られる知見は小さな一歩ですが、卒業研究を進める上でのおもしろさにつながります。
小原: 研究は、今までに明らかにされていないオリジナルなことを追求するのでなければならないですが、確かに誰も知らなかったことを明らかにするのはワクワクしますね。
小原: 次に、先生が食品加工学でこの様な研究の分野を選んだきっかけを教えてください。
高尾: 私は食品会社で食品の研究開発をしていましたが、私の教授から昭和女子大学を紹介されて本学の教員になりました。ちょうどその2000年ごろ、味覚を分子生物学的に追及する研究の成果が上がり始めたのです。私は食品の大きな機能の一つに「味」があると思っています。そして当時はこの分野の研究者は少なく、世界に100人もいませんでした。ということは、この分野では私は世界で100位以内の研究者になれるかもしれない・・・そうだったらやろう!と思って、この分野を研究テーマとしました。その後、あっという間にこの分野の研究者は増えてしまいましたが(笑)。
小原: 私の高校生の頃は生物学と化学の境界領域の「生化学」という学問分野が始まったばかりの時代でしたので、私もこれに憧れて化学科に進学しました。少し似ていますね。
小原: ところで、先生の趣味や座右の銘にしている言葉があれば教えてください。
高尾: 趣味はぶらぶら歩きです。途中で写真を撮ることもあります。ちょっとした風景や身近なものを撮るのが好きで、おもしろいマンホールとかを見つけたら撮ったりします。座右の銘は「楽」です。「楽しい」とか「らく」なのは好きです。ですが、「らくをする」のはなかなか大変です。「らく」をしたいけれども、「らく」に至るには苦労します。「らく」は探さないと「らく」になれないわけです。
小原: なるほど、確かに。簡単には「らく」になれないということですか・・・肝に銘じます。

■学部について
小原: 先生の学部は来年度から名称を変更して食健康科学部になりますが、この学部の特徴・強みを教えてください。
高尾: 当学部では、食品の川上から川下まで、つまり食品の製造、供給、流通、食事の設計などまで総合的に扱っているところが、他にはない特長です。食安全マネジメント学科が開設されて、それまで欠けていた流通マネジメント分野も学べることになり、食をトータルに捉え、学部全体でFood Systemを考え、理解することができるようになったと思います。また、食安全マネジメント学科では2022年度から卒業に必要な専門の単位数を現在の76から90程度に増やして科目を充実させる予定であり、健康デザイン学科でも特色を生かしたカリキュラムで教員が学生の能力をより伸ばせるようになります。今後も各学科の強みをもっと強化していく計画です。
小原: 学部ではどのような人材を育成したいですか。
高尾: 学生にはどんな分野に進んでも、大学で得た知識や技術を使って様々な場で応用・展開できる力を身につけてほしいと思います。そのために、在学中は自分の分野と違う分野も学んでほしいと思います。大学時代は、受動的であっても情報が降ってくる、最後の期間です。この期間を活用してほしいと思います。大学2年生の前期までは、学んだことを信じなさいと言いますが、それ以降は安易に信じるばかりでなく、むしろ情報や学んだことを疑え、信じないでと言いたいです。
小原: 知識・理論を一方的に理解するだけでなく、疑ったり批判的な捉え方をしてみると新しい事が見えてくるかもしれませんね。

■大学について
小原: 昭和女子大学で学ぶメリットはどんなところにあると考えますか。
高尾: 本学は、100年前に創立した女子大学ですが、創立当初から良妻賢母を掲げていないところが良いなと思います。また、学生と教員の距離が近すぎず、遠すぎずで、教員は学生の話をきちんと聞けるところが良いと思っています。そして、教員は学生のことをよく考える親切な大学だと思います。最後に、学生へのメッセージとして言いたいことがあります。大学や研究室では皆が互いに近しいですが、外の社会では違います。社会に出ると、概ねどこも自分の思っているような環境ではなく、変だなと感じることがあるのが普通です。また、そういうことに驚いてもよいけれど、怖気づかないで力強く進んでほしいです。 

小原の感想:
高尾先生は、生活科学部の健康デザイン学科および食安全マネジメント学科の両方の開設に関わってこられたので、その分、この学部で学ぶ学生たちへの思いや期待する気持ちには熱いものがありました。生活科学部でしっかり、そしてのびのびと学んでいる学生の卒業後の活躍に期待したいと思います。

今回で学部長インタビューは終わります。次回からは、学内イベントや学生プロジェクトなど、様々なトピックスの中から1つを取り上げて紹介していきます。初回は、昭和女子大学創立100周年記念となるオリジナル和菓子の製作に挑戦した「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクトを紹介します。ご期待ください。

<関連リンク>
高尾哲也教授の教員紹介ページ
学科紹介ページ(健康デザイン学科)
学科紹介ページ(管理栄養学科)
学科紹介ページ(食安全マネジメント学科)