2021年9月13日学長ブログ [2021年09月13日(Mon)]

 ■近代文化研究所について

 昭和女子大学には7つの研究所がありますが、なかでも最も古い伝統をもつ近代文化研究所について紹介したいと思います。近代文化研究所は本学創立50周年を記念して1970年(昭和45年)に設立されました。これを記念して翌年『近代日本食物史』や『近代日本服装史』が刊行されました。また、本学創立者 人見圓吉先生の企画立案で日本近代文化の発展に功績のある394名の文学者の業績を調査研究し収録した『近代文学研究叢書』が光葉会(当時の卒業生・在学生・教職員の全体組織)から刊行されていましたが、これ以降近代文化研究所から発行されるようになりました。この叢書刊行事業は1958年 (昭和33年)に菊池寛賞を受賞しています。現在は、日本の近代文化として文学に留まらず、衣食住の視点も含めて学際的な研究を行う研究所となっており、また、大学紀要の『学苑』を編集発行する等、本学の叡智を社会に発信する役割を担っています。
 本学の教員を主体とする近代文化研究所の研究員は、日本の近代化に寄与した個人・集団、モノ、書籍・雑誌などをテーマとした研究を進め、その成果を『近代文化研究叢書』として刊行しています。また、研究所の研究テーマに関する研究者や専門家を囲み、年に数回「所員勉強会」を開催しています。
 昨年10月には「ブックレット近代文化研究叢書」として「『ドヤ街』から読む『あしたのジョー』」(日本語日本文学科 山田夏樹著)が、そして、今年3月には「国会議事堂の誕生 仮議事堂からの5代にわたる建築史(1886~1936)」(環境デザイン学科 堀内正昭著)が刊行されました。今年7月にオンラインで開催された公開シンポジウム「今なぜ『あしたのジョー』か」では、山田夏樹先生とパネリストとの間でマニアックで深いディスカッションが展開され、一度も原作マンガを読んだことがない私も興味深く視聴しました。また、このテーマについて、自らの知見や考えを語る登壇者の方々の表情から、研究に対する興味や意欲、ワクワク感が視聴するこちら側にも伝わってきたのが楽しく印象的でした。


7月17日に開催されたシンポジウムのポスター
 
 近年、近代文化研究所では本学図書館に保管されている貴重書の調査プロジェクトが本格的に始まり、さらに世田谷に関連のある作家の調査プロジェクトも始まっていると聞いています。
 今まで学内で静かに活動されてきた感のある研究所ですが、「近代文化」のテーマのもと、より多くの学内外の人々の興味を惹きつけるポテンシャルを持つ研究所だと考えています。これからもたくさん情報を発信し、注目を浴びてほしいと願っています。

<関連リンク>
・近代文化研究所の紹介はこちらをご覧ください。

2021年8月11日学長ブログ [2021年08月11日(Wed)]

<教職員インタビュー>
今回は管理栄養学科の飯野久和教授にインタビューさせていただきました。飯野先生は以前「昭和女子大学 飯野教授が開発した乳酸菌でつくったヨーグルト」という先生の個人名称の入ったヨーグルトが市販されたこともあるほど、乳酸菌、腸内細菌の研究で有名な方です。私もスーパーマーケットでこのヨーグルトを見たことがあります。

■研究分野、内容について
小原: まず、飯野先生の研究分野と内容について教えてください。
飯野: 人と微生物の関わりについて研究しています。具体的には、伝統的な食品や食品原料から人に有用な微生物を探索することです。そして、その微生物の生産物あるいは微生物そのものが人にとってどのような有用性があるか調べ、利用していくことです。特にその有用性として腸内細菌叢育種への有用性、排便サイクル以外に肌やストレスと腸内細菌の関連性を探る研究も行っています。腸内細菌と便秘、便秘による血中成分の変化と肌荒れの関係も調べたことがあります。これらには何らかの関係性があるように考えられてきたのですが、実際に証明することが難しくもあります。たとえば、女性のホルモンバランスと便秘の関係なども研究していますが、ホルモンバランスのどういう状態が健康といえるのかが定義しにくいので、難しいですね。定年退職を前にして、今は乳酸菌をはじめとしてこれまで集めた有用微生物を整理しています。
小原: 先生がこの研究を始めたきっかけを教えてください。
飯野: 私は元々免疫学が専門でしたが、大学では条件的にこの分野の研究ができなかったことから、人と微生物の関わりを研究することにしました。本学に来てから3年間で約4000株の微生物を分離・同定したところ、恩師がそれを農林水産省の食品総合研究所(食総研、現在の国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門)に譲渡したことがきっかけとなり、食総研との共同研究がスタートしました。その仕事ではエネルギー0の糖質であるエリスリトールを生産する菌をスクリーニングし、実験室レベルでの生産性検討を経て工業化へ結びつけることができ、大変大きな成果となりました。その後、腸内細菌の権威であった東京大学の光岡知足先生から腸内細菌の研究手法を学び、この研究を続けてきました。

■研究の醍醐味
小原: 先生が長年この研究に興味をもち、継続されている理由とはなんでしょうか。
飯野: 現在は食品に賞味期限がありますが、昔の人は見たり、臭いをかいだり、触ったりして腐って食べられないとか発酵しているとかを判断してきました。人は長年の経験で体によいなどの食品の機能を判断してきましたが、これをヒントにして食品の機能の素(源)を探すことは興味深いし、そのようなヒントは至る所にあります。東京の檜原地域は米ができなくて大麦を主食としていた土地ですが、長寿の村です。そこでは麦麹を使っていましたが、驚いたことにそれと同じ種類の菌が東南アジアのある地域にもあることがわかりました。最初はありえないと思うことでも、何回調べても同じ結果になるとやはり正しいとわかります。また、ある菌を探す中で、今はまだ見つからないがずっと探し続けるといつかは見つかるはずと思って研究を進めます。ここが研究の醍醐味です。
小原: その考えに私も共感できます。研究を進める強い意志ですね。そういう考えだから、大きな研究成果をあげられたのですね。
飯野: 本学は研究設備の限られた環境ですが、私の研究成果は昭和女子大学だからこそあげられたと思います。そして、よい先輩に恵まれたからと思います。40年前、教員は夜に大学に残ってはいけないことになっており電気も消されていたのですが、隣の部屋の先輩はそんな中でも遅くなると電気スタンドをつけて実験器具を洗っていました。そんな先輩の姿を見て、自分も研究にそのような姿勢で臨みたいと考えてやってきました。
小原: 先生がこの分野を選んだきっかけを教えてください。
飯野: 小さいころから植物、特に野の花が好きで、農業をやりたいと思っていました。ところが、中学生の頃、父に「家が農家でないと農業はできない」と言われ、それなら生物学科で植物を学ぶか、農学部に進もうと思いました。生物学科で植物を学べるところは少なかったので、結果として農学部に進学しました。大学生の時、英語の勉強のために英語で書かれた「微生物学の一里塚」という本を読んだのがきっかけで、卒業研究に応用微生物学の研究室を選びました。

■趣味、好きな言葉
小原: 先生の趣味はいっぱいありそうですね。趣味や特技、座右の銘があれば教えてください。
飯野: ものを作ることが好きです。日曜大工です。ただ、片付けは不得意なので、つくることと片付けることが両方得意だったらよかったのにと思います。そして読書と散歩です。景色や草花を見ながら、ただぶらぶら歩くことが好きです。好きな言葉は「流れるままに生きる」です。流れるのも下向きで川底を見るのではなく、周りを眺め、時々寄り道をし、流れていくのがよいと思います。

■学生へのメッセージ
小原: 昭和女子大学の学生にメッセージをいただけますか。
飯野: 私は昭和女子大学が大好きです。中でも自分の所属する学科が一番好きです。だから学生にも大学や自分の学科を好きになってほしいと思っています。また、誰しもやらなければいけないこと、したいこと、どちらでもよいことがありますが、今何が大事か、優先順位を考えて学生生活を送ってほしいと思います。少なくとも4年生になるまでにはそれができるようになってほしいです。低学年から努力している人は必ず何かしらの成果を出している、もしくは、少なくとも何かをつかんでいると思います。だから学生に努力して頑張ってほしいと思っています。

小原の感想
飯野先生の研究の話は特に共感することが多くありました。私も研究が思うように進まないことが多いのですが、飯野先生が「今見つからなくとも、いつか必ず見つかる」という気持ちで、「予想外の結果でも繰り返し試しても結果が変わらない(再現性がある)なら、それが事実だ」という考えで、有用微生物をずっと研究され、多くの成果を出してこられたことを伺い、私も元気が湧きました。また、これまで大学教員として研究する中で、尊敬できる先輩教員がおられたことにも感謝していると伺い、心が温まる思いでした。飯野先生にはこれまで一緒に仕事をする過程で色々なことを教えていただき、私も先輩教員である飯野先生に感謝したいと思います。

2021年6月30日学長ブログ [2021年06月30日(Wed)]

■女性教養講座から報告

 昭和女子大学の「女性教養講座」では、本学独自のプログラムとして、学問の分野にこだわらず、広い領域で活躍している著名人をお招きし、「女性の心を育む」ことを目的とした講演を実施しています。6月16日(水)の女性教養講座では、東大作上智大学教授が「世界平和研究における日本の役割、若者への期待」というタイトルで、オンラインで講演されました。私は、東先生の世界平和に貢献するための日本の役割についてのご意見に共感し、是非学生には世界的課題にも関心を持ってもらいたく、講演をお願いしました。
 世界中で起こっている紛争の多くは内戦であり、2014~2016年には3年連続して10万人を超える犠牲者が、そして2019年には7000万人を超える難民が発生しているとのことです *¹。東先生は、そのような世界中で起こっている紛争を和平に導き、平和を構築するプロセスで、日本はグローバルファシリテータとしての役割を果たせるというご意見を持ち、アフガニスタンや南スーダン、イランなどでの紛争の和平プロセスを例にあげて説明されていました。話の随所に若者へのメッセージが盛り込まれており、大変明解で示唆に富む講演でした。当初、私はこの講演はテーマが大きく深刻であるため、学生は関心を示さないではないかと少々不安でしたが、それは杞憂でした。今回の講演はコロナ禍のため、オンライン開催となりましたが、事前に質問者として応募してくれた3人の1年生以外にも大変多くの質問がチャットに書き込まれ、予定時間を大幅に超えても質問に答えきれないほどでした。質問がしやすいこともオンライン講演のメリットであると実感しました。また、何よりも多くの学生が世界平和に関心をもち、自分に何ができるのかを考えていることがわかり、私はとても嬉しく思いました。
 東先生の講演を受け学生から「将来世界平和に貢献するためには、今はしっかり学び、実力をつけることが重要である」との意見がありました。私も同感です。学生のみなさんには大きな夢を抱いて、しっかり勉強していただきたいと思います。
 本学の創立者人見圓吉は、第一次世界大戦後の荒廃した日本でこれからの平和で新しい文化を担うことができる思慮ある力強い女性の育成を目指しました。創立101年が経った今も建学の精神を引き継ぐこの昭和女子大学から、次世代を担い、世界的課題の解決にも貢献できる力強い女性が多く輩出されることを願います。

*¹ 東大作著「内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか」(中央公論新社、2020年)


東大作先生の著書と望秀海浜学寮で制作されたブーケ

2021年6月7日学長ブログ [2021年06月07日(Mon)]

<教職員インタビュー>
このブログでは本学の教職員や学生のみなさんの活動を紹介したいと思います。今日は、英語コミュニケーション学科の山本史郎教授にお話を伺います。

■プロフィール
小原: まず、山本先生の研究について聞かせてください。
山本: 研究分野は「翻訳論」です。英語の文章をどのように訳すか、日本の翻訳は歴史的にどうであったかを研究する分野ですが、私は主に前者を中心に研究しています。当初は19、20世紀の英文学が専門だったのですが、コンピュータを趣味にしていた私は、大学の改組で言語情報学に方向転換することになりました。そこでコンピュータ言語を教えるようになり、サーバーの管理までしていました。しかし、ようやく英国に留学する機会を得たのを機に、本格的に翻訳を始めました。そういうわけで、東大で「翻訳論」を教え始めたのは20年くらい前からです。翻訳は翻訳経験の蓄積が役に立つので、英語力、文章力は経験を積むほど年々進化しています。だから東大時代より昭和女子大学でのほうが、翻訳能力が高くなっていると思います(笑)。
小原: 先生が翻訳された中でご自慢の本を紹介してください。
山本: トールキンの「ホビット」ですね。この本は原作の絵も入っていてきれいです。これの翻訳は2か月間、毎日十何時間もの時間をかけて改訳したもので、文章が正確でわかりやすく、あいまいさのない訳になっています。「赤毛のアン」も訳しています。サトクリフもいっぱい訳しており、自分でも好きです。最近出版した「翻訳の授業」もなかなかよいですよ。

■昭和女子大学で教壇に立って
小原: 本学で教えられて如何ですか。
山本: 今、研究と授業を熱心にやっていますが、授業は楽しいです。本学の学生は講義に興味をもってよく聞いてくれます。特に1年次のクラスでは、テキストを訳し自分の言葉で内容を紹介することをやっていますが、自分の言葉で説明するところが、単なる訳になってしまい、始めは難しいようです。しかしリアクションもよく、だんだん学生が成長し変わっていくのがよいですね。
小原: 自分が教えた学生が成長するのを見るのは教員冥利につきますね。

■研究の楽しみ、趣味について
小原: ところで、先生の研究のなかでどんなところが楽しいのでしょうか。
山本: 英語を日本語に訳しかえるプロセスが楽しいです。文章のどこに力点をおくか、センテンスのつなぎ方をどうするかなどを考えるのが楽しいです。そういえば朝日新聞の「朝日ウィークリー」に短い英語の文章を訳すレッスンの記事を書いているのですが、この作業もなかなか楽しいです。翻訳は感性だけではなく、理論的に考えることも必要です。
逆にきつかったことは、人気作品を訳した時、昔の訳本での読者ファンから厳しく批判されたことです。
小原: なぜ英文学の道を選んだのでしょうか。
山本: 高校生時代は京都大学で中国文学を学びたいと思っていたのですが、叔母から東京大学を強く勧められ、東大に入学しました。初めは仏文学をやろうとしたのですが、仏文学をやる学生たちの気質を見て、自分はちょっと違うなと思い英文学にしました。
小原: 先生の趣味、好きな言葉があれば教えてください。
山本: 小さい頃、ヴァイオリンを習っていたのですが、60歳ぐらいから再びヴァイオリンを始めました。こどもが使っていたヴァイオリンが家にあり、この音色がすごくきれいなので気持ちよく弾けるのです。(小原注釈:先生のお子様はヴィオラ奏者で、ときどきオーケストラでアルバイトで弾いているそうです)
好きな言葉は“Don’t take yourself too seriously”、「自分を笑う余裕を持て」と訳しましょうか。(さすが、翻訳家ですね・・小原)それと、「失望することがあっても絶望するな」、原点回帰で何もないところ(たとえば、生きているだけで有難い)から始めようという意味です。実際に私はそう思うようにしています。

■学生へのメッセージ
小原: 昭和女子大学の学生にメッセージをお願いします。
山本: ダブルディグリープログラムについては、こんな良い制度はないと思います。学生は恵まれています。ボストン留学についても、いきなり一人でアメリカ社会に出される前に、ゆるやかな形でトレーニングできるのがよいと思います。できる学生には他の選択肢もあります。また、他の大学と比べ、本学の教員は学生に親身になってサポートしていると思います。
学生に対してのメッセージとして、学生のみなさんは群れたり他の人と同じようにしたがる傾向がありますが、他の人にこだわらずにもっと自由に発想したり、自分自身で物事を考えてほしいと思います。

小原の感想
 実は、山本先生は私と同じ高校の出身でしかも同期です。ベビーブーム末期の当時は1学年12クラスもあり、同じクラスになったことはなく面識もありませんでした。けれどもある時、私の好きな英国の歴史小説家で児童文学者でもあるローズマリ・サトクリフの本の奥付にある訳者紹介から山本先生が高校の同窓生であることを初めて知りました。因みに高校生のころ、学園祭で同じく同窓生の澤和樹氏(ヴァイオリニスト、東京芸術大学学長)とヴァイオリンのデュエットをしたことがあったそうです。私も同じ場所にいたのではないかと思いますが、全く記憶にないです。
 山本先生が翻訳について語られた時、最良の訳を目指して呻吟しながら思考する作業の楽しさが実感として伝わってきました。私がもし学生であったなら、山本先生の授業を一度は受けたかったと思います。山本先生、有難うございました。

2021年5月5日学長ブログ [2021年05月05日(Wed)]

■現代ビジネス研究所の研究報告会・交流会

 4月24日(土)午後、現代ビジネス研究所の研究員による研究報告会がありました。(現代ビジネス研究所の紹介はこちら)今回は5人の研究員が、ペットビジネス、地域連携(地域づくりもしくは地場産業興し)、非常食のアプリ開発、キャッシュレス決済等のテーマで研究成果をオンラインで発表し、これを視聴させていただきました。
 私は現代ビジネス研究所の第一回報告会から、会計ファイナンス学科の教員で現代ビジネス研究所の事務局長でもある小森先生とともに皆勤で参加しています。開所当時から現代ニーズに合った多様なテーマで研究が進められているところが現代ビジネス研究所の持ち味でしたが、最近は研究成果の蓄積とともに内容も発展し、発表も洗練されてきたと思います。研究員のプロジェクトに参加した学生たちも、大いに学ぶことができているようで感謝したいと思います。
 学生が参加するプロジェクトには、研究員と学生との調整やアドバイザー的な立場で本学の教員が関わることになっています。食プロジェクトに長年関わっている健康デザイン学科のある教員は、今ではこのプロジェクトをご自身の研究テーマの一つとして進めておられます。研究員と学生、そして大学の教員が連携して、相互に影響を受けながらプロジェクトを進めている、これはまさに現代ビジネス研究所の目指すところであります。研究員とプロジェクトを進めるなかで、教員は刺激やヒントをもらうとともに専門的見地からそのプロジェクトを支援し、それに関わる学生は専門分野の知識を実践し、社会と繋がることができます。研究員、教員、学生が過度な負担にならないペースで、知的好奇心を膨らませながら活動していただき、研究プロジェクトの輪が徐々に広がっていくことを願っています。
 報告会の後、今年度の新任研究員の紹介を始めとしたオンライン交流会が開催されました。自己紹介をするなかで、研究員同士の質問やコメントが適宜入り、友好的かつ有効なネットワークが広がりそうでした。交流会でも研究員の意欲が感じられ、前向きで積極的に活動しようとする姿勢に私も元気づけられました。土曜の午後の楽しいひと時を有難うございました。


↑ 現代ビジネス研究所の室内です。研究員や研究所員などが主に会議や打ち合わせなどでこの部屋を利用します。

↑ 現代ビジネス研究所の入り口で、ロゴマークをはさんで事務局長(右)とスタッフ(左)がポーズをしてくれました。

2021年4月9日学長ブログ [2021年04月09日(Fri)]

■「人生100年時代の社会人基礎力育成グランプリ」優秀賞(地区予選)受賞学生の報告

 先日、「人生100年時代の社会人基礎力育成グランプリ」の地区予選で優秀賞を獲得したビジネスデザイン学科の学生3名が報告に来てくれました。このコンテストは経済産業省がとりまとめ定義した人生100年時代の社会人基礎力の向上に向けた大学での取り組みと、その取り組みによって得た成長や成果の実例を各大学の学生チームが発表し合うものです。学生たちがプレゼンテーションを行った内容は「学部3年生が1年生の課題解決を助ける『ティーチング・アシスタント』制度」について。 1年次の授業「グローバルビジネス基礎演習」(基礎ゼミ)のグループワーク型PBL(Project Based Learning)で、上級生がファシリテーターのような役割で1年次をサポートするティーチング・アシスタント(TA)として参加し、そのTA活動のなかで自分たち自身も社会人基礎力を磨くことができたことを発表しました。
 「この活動のなかで自分が最も成長できたと思うことは何でしたか」という私の質問に対し、次のような答えがありました。
・1年次の反応を見ながら、自分の意見をうまく伝えられるようになった。
・以前は相手に否定されるのがいやで自分の意見を言いにくかったが、自分の意見を主張することによって1年次も成長することを知ることができた。
・授業を学生にとって最適なものにするためにどうすればよいのかを主体的に考えることができた。
・複数のメンバーで考えることによって自分にはなかった気づきも得られた。
確かにこのTA活動は1年次だけでなく、支援する上級生も成長できる経験だったようです。もう一つ、私から「ビジネスデザイン学科に入学して良かったこと」を質問しました。答えは次のとおりです。
・学びが充実しており、日々の生活にも学習したことを活かすことができる。
・経営と経済の両方を学ぶことができる、そしてゼミ活動が活発で、学んだことをアウトプットできる機会となっている。
・経済、経営、英語と、幅広く深く学べる。
・留学によって、それまでとは違う観点で学ぶことができて実際に興味の方向も変化している。ICTの可能性にも興味が湧いた。
今回報告に来てくれた学生たちは、はきはきしていて、前向きで、話を聞いていると私も嬉しくなり、学科の教員の皆さんにお聞かせしたいほどでした。
 彼女たちは最終選考まで勝ち残るつもりだったそうですが、地区予選であえなく終わってしまい大変悔しかったそうです。しかしその一方で、このチャレンジからさらに学ぶこともあったとのことです。私は結果より大事なことは、チャレンジするプロセスのなかでどれだけのことを学べたかということだと思います。多くの学生が色々な方面で知識、スキルを磨き、学外の他流試合にも果敢に挑戦してほしいと思います。頑張った末の結果はどうであれ、そこから得るものはあっても失うものはほぼないと思います。「みんな頑張れー!」とエールを送りたい気持ちです。

2021年3月10日学長ブログ [2021年03月10日(Wed)]

■「こどもホスピスの奇跡-短い人生の「最後」をつくる」(石井光太著、新潮社)を読んで

 先日、「こどもホスピスの奇跡-短い人生の「最後」をつくる」(石井光太著、新潮社)という本を読みました。この本を本学の図書館の推薦書に選びたいと思っていますので、興味をもった人は来年度から図書館で読むことができると思います。ホスピスといえば、不治の病にかかった人が残りの人生を治療ではなく、痛み苦しみを緩和しつつ、その人らしく人生を終えることのできる施設、と認識されていると思います。しかし、実は、ホスピスが日本よりかなり進んでいるイギリスでは、必ずしも死を看取る場所ではなく、家族を介護から一時的に離してリフレッシュさせる目的としてつくられた有名な施設もあるそうです。日本でつくられたこどもホスピスも、難病の子どもとその家族のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指して活動されています。この本では、こどもホスピスをつくる活動を起こした人々と、ホスピスの開設活動のきっかけとなった子どもたち、またホスピスを利用した子どもたちとその家族について述べられています。医師だけでなく、難病で亡くなった子どもの親や保育士、看護師、医療事務のスタッフなどもこのホスピスの開設に関わっています。彼らは、難病で不治の子どもが延命措置によって生かされ苦しみながら死を迎えるより、残された短い時間を充実した幸福な時間として送れるようにサポートできる場所が必要と考え、その目的に向かって行動を起こしました。これらの人々の高い使命感と思いに共感し、これこそが仕事に対してあるべき姿勢であり、持つべき価値観だと感動しました。また、難病を患った子どもたち一人ひとりがどのように感じ、考えたのかが述べられていますが、純真な子どもたちの言葉や行動、親の思いなどは、涙なしでは読み進めませんでした。このホスピスの開設に関わった人々の志の高さから、仕事する者にとって何が大切かを改めて考えさせられる一冊でした。

2021年2月2日学長ブログ [2021年02月02日(Tue)]

■学長会議に参加して

 先日、私立大学連盟の会議で、慶應義塾大学の中室牧子教授の講演を聴きました。主旨は、日本では教育政策を経験や特定の事例から論じることが多いが、科学的な根拠に基づいて考えるべきであるということです。講演では、科学的根拠すなわち、社会実験等による客観的データの比較に基づいて、教育効果の測定や検証が行われた例が説明されていました。そのなかで、
・埼玉県学力学習状況調査から、コロナ禍での小学校の休校の影響により、低学年で国語より算数で学力が低下した可能性が指摘された
・米国の公立小中学校の臨時休校はコロナ感染の抑止に効果はなかった
・大学でオンライン授業のみ、対面授業のみ、オンライン+対面のハイブリッド授業の3種を比較実験した結果、オンライン授業のみは対面のみの場合より期末試験で4~5ポイント低く、ハイブリッド授業と対面では差はない
・オンライン教育はもともと成績の悪い学生に負の影響がある。(厳密な比較実験では、対面授業とオンライン授業の教育効果の差は全体的には決して大きくない結果が出ているとのこと)
・成績不振の学生集団の一部に「目標設定を行うオンライン演習(目標を列挙し、目標達成に生じうる課題を解決するための具体的な戦略も考えさせる)」を予め受けさせてからオンライン授業を実施し、この演習を受けずにオンライン授業を受けた同集団の学生と比較すると、前者の学生のGPAが大幅に高かったという実験結果が示された、などの多くの興味ある研究報告が引用されていました。

 さて、本学においては、今年度は全教員がオンライン授業のメリット、デメリットを実感した年でしたが、次年度からは、オンラインを活用しつつ対面授業も効果的に展開できるような状況になっていることを願っています。どのような状況でも本学の教育をストップさせないように、構内のネット環境の強化やオンライン授業に関わる設備の充実について段階的にではありますが、可能な限りの改善が進められようとしています。コロナ禍でも、昭和女子大学は前進あるのみです。


↑ 学園本部館の梅の木
既にたくさんのつぼみを膨らませています。春は近いです。

2021年1月15日 学長ブログ [2021年01月15日(Fri)]

<SHOWAトピックスの紹介>

■学生の「キャリアインカレ2020」へのチャレンジ
 ビジネスデザイン学科3年生の3名の学生たちがマイナビの「キャリアインカレ2020」に出場しました。キャリアインカレは、企業5社が出した課題に対してビジネス提案をするコンテストで、今年は全体で720チームが出場し、本学のチーム(チーム名:「よしこ」)がセコムの部で優勝しました。1月9日に、5社それぞれの優勝者の中から最優秀を選ぶ決勝大会がありましたが、この決勝で惜しくも敗れました。チーム「よしこ」の提案は、10代20代を対象にした、SNSでのいじめや炎上から身を守るためのビジネスアイデアでした。セコムからは、SNSを安心して使える空間にすべきだと提言する公共性と、表現の自由とプライバシーのバランスをAI等のデジタル技術で克服しようとしている点、ビジネスとしての持続性と実現性が高く評価されたとのことです。私もPCで決勝大会を視聴していましたが、チーム「よしこ」は優勝チームに劣らず堂々とした素晴らしい発表で善戦したと思います。最優秀こそ獲得できませんでしたが、チームメンバーはそれ以上に大きな学びや気づきを得、成長できたことと思います。メンバーには悔しかったことをバネにして、ここで得たことを次のチャレンジに活かしてほしいと思います。
 他の学科の学生でもこのようなチャレンジャーが多数いると思いますが、学生のみなさんには大学内の活動に留まらず。是非、学外のコンペやコンテストなどの他流試合に臨んでほしいと思います。もちろん、賞をいただいたり、勝つことは素晴らしいことですが、これに挑戦する過程で得られるもののほうがより重要と思います。失敗してもこの経験を次に活かすという気持ちで、色々なことにチャレンジしてみてほしいと思います。
 大人の私たちも学生の皆さんと同じです。私の場合、コンテストに出場するわけではないですが、事の大小に関わらずチャレンジ精神でやってみること、これが日々の生活や人生に刺激を与え、楽しくするコツだと思っています。


決勝大会:セコムの部の扉画面

次回も、気になるトピックスを取り上げて紹介していきます。是非、ご期待ください。

2020年12月21日 学長ブログ [2020年12月21日(Mon)]

<SHOWAトピックスの紹介>
今回からは、学内イベントや学生プロジェクトなど、様々なトピックスをいくつか取り上げて紹介していきます。初回は、昭和女子大学創立100周年記念となるオリジナル和菓子の製作に挑戦した「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクト、またテンプル大学ジャパンキャンパス(以下、TUJ)と本学との共同開設科目である「コミュニティアート」の活動報告会の様子を紹介します。

■「和菓子100th Anniversary Sweets」プロジェクト
少し前になりますが、11月末に「輝け☆健康『美』プロジェクト」、通称H&B(Health&Beauty)のメンバーが指導教員とともに学長室を訪れてくれました。

本学附属高等部のOGの店でもある三軒茶屋の大黒屋さんとのコラボで、本学創立100周年記念バージョンのあられ・おかきの詰め合わせを企画して製品化されたことを報告してくれました。本学の校章にもなっている桜の形の2色あられと、100周年記念ロゴで描かれている船や学寮研修の「灯の集い」、そして建学の精神の「世の光となろう」を連想させるロウソクなど本学ゆかりの絵が描かれている丸形の煎餅などが入っています。デザインだけでなく、使用された色素や素材も吟味されているようです。わたしもいただきましたが、形がかわいいだけでなく味もなかなかおいしいです。この商品は、本学ではプレリュードで販売され、キャロットタワー地下1階の大黒屋さんでも販売中だそうです。冬休みに帰省する皆さんのお土産にお勧めしたいと思います。このコラボに関わった学生のみなさんの感想を聞き損ねたのですが、このようなプロジェクトを通して、大学で学んだ知識を実際に使ったり、企画を練ったり、学外の人たちと交渉するなかで学ぶことは多かったのではないでしょうか。

■TUJとの初の合同授業「コミュニティアート」の活動報告会
11月30日(月)に、TUJと本学との共同開設科目の「コミュニティアート」の活動報告会が開催され、参観しました。コミュニティ(地域住民)にアートに近づき親しんでもらうことを目的として、芸術普及・教育活動のイベントを企画し開催するまでを行うPBL形式の授業です。

指導は、本学の歴史文化学科の教員とTUJのアート学科の教員の協働でなされました。「アートドキュメンテーション 授業の軌跡」「世田谷美術館へのワークショップ提案」「チョークアート制作とアートマネジメント」の3つのプロジェクトは、TUJと本学の学生の合同で編成され、それぞれのグループがパワーポイント資料や動画を使って報告しました。発表は、学生が分担して英語と日本語で、司会の英語コミュニケーション学科の学生は2か国語で説明していました。どれも通り一遍でなく、オリジナルの楽しそうな企画であり、また多くの学生が分担しながら発表し、みんなが協働できている感じが大変よかったと思います。今回のように、英語が得意でなくても学生は十分に授業内容を学ぶことができ、協働作業を通してTUJも本学の学生も互いに刺激を受けたのではないでしょうか。
初めての企画なのでご指導の先生方には色々ご苦労があったかと思いますが、学生にとっては大変貴重な経験だったと思います。今後もこのような企画が他の学科でも実施されることを期待します。

次回も、学内イベントや学生プロジェクトなど、気になるトピックスを取り上げて紹介していきます。是非、ご期待ください。