松田忍です。文化史学会大会の江中先生のご報告の話を書こうかと思い、ブログを開くと、ちょうど先生ご本人のお書き込みが!!
江中先生のような「思想の分野」(←おおざっぱすぎますが)でご活躍になっていらっしゃる先生に学べることは、歴史文化学科の強みの一つであると思っております。あるいは掛川先生もご専門は女性史ではありますが、哲学、思想に関する本場仕込みの深いバックボーンをお持ちであり、私も何度もお話しを伺って勉強させて頂いております。掛川先生は授業の中でも思想史に触れていらっしゃるようですので、みなさんにもなじみ深いかもしれませんね。
さて、ここで歴文生のみなさんに私が言いたいのは、江中先生や掛川先生のお話しは引き込まれるし面白いけれども、「歴史をやっている私」「美術をやっている私」「文化財をやっている私」「考古学をやっている私」にとって、「思想」は別分野のお話しだわ、と思ってはいませんか?ということなのです。それは全く違うのではないかと私は思うのです。およそ研究や学問をするときに、まず考えなければいけないことの一つに、そもそも、「私たちのまわりを取り巻く世界を、私たちはどのような方法で把握して、認識して、分析していったらいいか」という大問題があると思うのです。すなわち、研究対象が、神話であっても、芸能であっても、文字史料であっても、絵画であっても、あるいは宇宙であっても、およそなんらかの研究対象と向き合うときに、自分はその対象をどう扱うのかということに関する一段高い位置からの視点をもつことは、みなさんの研究を進める上での大きな助けになります。そして、そうした高い位置からの視点を持てるようになるための手助けをしてくれるのが哲学であり、思想であると思います。
とは申しましても、素人である私自身のことばでそのことを分かりやすく語る自信はありません。一冊本を紹介いたします。橋爪大三郎さんの『はじめての構造主義』(講談社現代新書、1988年)です。
大会で江中先生が触れられたヤコブソンやレヴィ=ストロース、ソシュールに関する入門書です。ちなみに松田はこの本を全て理解できているかと言われると、実はよく分からない箇所もあります。あはは。
でも分からないところがあったとしても、最後までページをめくれば、きっとみなさんにとっての新しい世界が開ける一冊になるに違いない、そう信じています。ものすごく面白いよ!!