歴文読書会(仮称)を開きました!

第1回歴文読書会(仮称)を8月8日に開きました!

夏休みが始まる前に「ざくざくと新書を読みたい学生、読書会をやってみたい学生は集まれ~!」と学生に声をかけたところ、1年生が13人もsign03集まりました。7月中に準備会を開きまして、新書ラインナップ12冊を松田から提示だけして、あとは参加学生で話しあって、その中から課題図書3冊を選んでおいたのです。ちなみに、そのときに提示した12冊は下記の通り。
  • 村上陽一郎『ペスト大流行―ヨーロッパ中世の崩壊』(岩波新書、1983年)
  • 脇田晴子『中世に生きる女たち』(岩波新書、1995年)
  • 斎藤美奈子『冠婚葬祭のひみつ』(岩波新書、2006年)
  • 井田徹治『ウナギ―地球環境を語る魚』(岩波新書、2007年)
  • 荒井信一『空爆の歴史―終わらない大量虐殺』(岩波新書、2008年)
  • 本田良一『ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み』(岩波新書、2010年)
  • 山口誠『グアムと日本人―戦争を埋立てた楽園』(岩波新書、2012年)
  • 丹下和彦『食べるギリシア人―古典文学グルメ紀行』(岩波新書、2012年)
  • 武田尚子『チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』(岩波新書、2012年)
  • 平野啓一郎『私とは何か―「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書、2012年)
  • 坂口恭平『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書、2012年)
  • 西垣通『集合知―ネット時代の「知」のゆくえ』(岩波新書、2013年)

まだゼミなども決まっていない1年生だからこそ、専攻に関係なく、歴史ということもとりあえず関係なく、幅広く読んでいって欲しいなという意図で選んだラインナップです。今年や昨年の話題書もいれておきました。

みなさんならどの本を読みたいですか?

「読みたい本が多くて決められない!」という声もあるなか、メンバーが僅差で選んだ本は以下の3冊。

8月8日課題図書  荒井信一『空爆の歴史―終わらない大量虐殺』

8月29日課題図書 村上陽一郎『ペスト大流行―ヨーロッパ中世の崩壊』

9月30日課題図書 武田尚子『チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』

ということで昨日は荒井信一さんの『空爆の歴史』をみんなで読みました。

空爆をめぐる数多くの視点が網羅されており、どこを切っても論点が飛び出てくる骨太の新書でございました。

日本とドイツの「戦後」の違い、植民地統治への空爆の利用、「空爆する側」と「される側」の落差、「文明」と「未開」をめぐる空爆のダブルスタンダード、特殊爆弾(ペスト蚤)の話・・・、参加者同士で多くの論点を順番に指摘しあって、少しずつ読みほぐしていきました。課題図書から少し離れて、戦争をめぐる「加害」と「被害」のあり方の論点や、「反戦」の論じ方に世代間格差があるんじゃないかという話なども盛りあがりましたね。

個人的には、空爆を正当化する論理として紹介されていた「ドゥーエのテーゼ」の楽観的な見通し(空爆は最終的には「人道的」)は第一次世界大戦後の言論空間にバッチリとはまっているなぁという発見があったりしました。

また、先日の被団協文書に含まれていた「受忍論」関連史料を読みとく必要性もこの本は教えてくれました。被団協文書整理会の直後にこの本を読むことになったのは全くの偶然ではありますが。新書というのは研究のきっかけを与えてくれますね。だれか卒論で扱ってくれないかな?

読書会終了後も、普段の学期中には見られないのんびりさで、お菓子を食べながらのおしゃべりタイムに突入し、気がつけば読書会よりもアフターのほうが長かったりして笑 長期休み中の勉強会の醍醐味って実はアフターのほうにあるのかもしれません 😆

次回は8月29日に開催予定です!中世ヨーロッパに旅立ちます♪

以上、松田忍がお伝えいたしました。