2020年11月

戦後史プロジェクト秋桜祭企画! [2020年11月21日(土)]

みなさま、おはようございます!松田忍です。
「戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト―被団協関連文書―」では2020年度秋桜祭展示といたしまして下記サイトで、展示パネルのPDFを公開しております。是非ご覧下さいませ!
2020年度秋桜祭企画展示「被爆者の生きてきた歴史」展
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秋桜祭公式サイトは以下から

2020年度後期特殊研究講座がオンラインにて開講されました [2020年11月20日(金)]

こんにちは!松田忍(日本近現代史)です。

11月4日に2020年度後期、歴史文化学科特殊研究講座を開催いたしました。

お招きしたのは宮城学園女子大学の大平聡先生です。大平先生は日本古代史をご専攻になっている先生なのですが、一方で、近代の小学校に眠る学校日誌に魅せられ、宮城県内の小学校を訪ね歩き、史料の保存活動と研究分析とを進めていらっしゃいます。

大平先生が問い合わせた小学校の数は実に約200校!そのうちの約150校になんらかの形の学校日誌が残されているそうです。

特研では「一次史料の力 ―学校資料からたどる地域の歴史」と題したご講義をいただきました。

話の枕では翻刻だけでは解けない「正倉院文書」の謎が、実物史料をみて解けた事例をご紹介になり、生の史料をみる重要さを分かりやすく解いて下さり、その後はめくるめく学校史料の世界をあますことなく、お見せ頂けました。

スペイン風邪の流行の際には欠席や志望状況から如実に宮城県内の流行の拡散がわかり、地域の貧困の痕跡や移民の話、さらには戦争の時代には学校にあるラジオを聞きに大勢の村人が学校に集まってきたり、学級通信に残る兵隊さんの絵なども……。

近代日本において、地域の中心に学校があり、逆にいうと学校史料をみれば、地域の歴史がわかることをまざまざと見せつけられた、迫力ある90分間でした。

大平先生の授業が白熱するものだったことは受講した歴文生の感想をみれば一目瞭然!一気に紹介します。


【受講生の声】

現在まで続く学校日誌から、特定の時代の社会情勢をみられるということが、とても面白く感じました。また学校日誌には、1日の出来事や地域の人々の活動が具体的に書いてあり、自分が今までに知っていた歴史的な出来事が人々の生活の動向と結びつき、どういった経緯でその出来事が起こったのかを生々しく感じられました。
この講座を受け、史料には実際に見なければわからない情報がたくさんあることを知るとともに、史料はその時代を生きた人々の息遣いを感じることができる非常に貴重なものであると強く感じました。(1年生)

当時、日誌を書いていた人々は、後世にこの情報を残そうという目的で書いているわけではなく、ただその日にあったことを記録していただけだったわけだが、それが、現在の研究者たちが当時の事を知るための強い資料になっており、大きな価値を持つものへとなっている。スペイン風邪の感染状況や予防対策に何をしていたか、また、津波被害や戦時下の人々の様子など、学校の日誌から、これほどたくさんの情報が読み取れるとは驚きました。今回の講義によって、なにものも歴史を知るための手掛かりになるということ、また、テーマにもなっていた一次史料の持つ力というのがよく理解できた。(1年生)

私は、学校資料というと生徒の成績や学校の機密情報などが書かれているものだと思い込んでいましたが、それだけではなく感染症のことや戦争のことなど当時起こっていた様々なことも書かれており、それを調べることで分かってくることが沢山あるのはすごいなと感じました。講座の最後の方で、調査し終わった学校資料が破棄されてしまった話を聞いて、当時の様子がきちんと分かる貴重な資料であってもこんなにもあっさりと破棄されてしまうものなのかと驚きました。同時に、資料の大切さを感じることができました。(1年生)

教科書には載ってないスペイン風邪流行時の学校の状態が学校日誌から読み取れることです。現在コロナウイルスが流行って、保健所が様々な働きかけを行っていますが、スペイン風邪流行時は衛生警察が学校を訪れたりと働きかけを行っていたことを初めて知りました。このことから、歴史を学ぶ私たちは特に現在の目線で見たり、現在のものさしで測ったりせず、当時の目線で見る事、当時のものさしで測ることを意識しなければならないと思いました。つまり、現在の当たり前の考えが通用しないということを念頭に置くことを意識しようと思いました。さらに、今まで目をつけていなかった児童の出席・欠席欄に着目したことで、第2波、第3波の存在がわっかたとおっしゃっていたことから、様々な視点から見つめる事の大切さを再認識する良い機会となりました。(1年生)

比較的新しい時代、そして決して特別とは言えない資料であろう、戦時中の小学校の日誌を見ていった。その一方で、身近でありふれた資料だからこそ戦時下の人々の生活実態をより顕著に露わにしていくことができる資料だったとも言えると思った。満州事変の映画や展覧会などプロパガンダのようなものを生徒に見せたり、軍服を配布したり、今回の講演を通して学校という機関がいかに戦争の歯車の一部にされていたのかが痛いほど伝わってきた。(2年生)

戦時中の資料は焼却命令が出て役所などの公的なものが全て焼却されてしまった場合も、小学校の日誌などに当時の記録が残っているとは面白い発見だった。日誌には招集兵の詳細や戦争の動向、地域住民の様子なども記されていた。また、学校で軍服を配ったり地域住民が集まってラジオを聞いたりしていたので、当時の学校は地域にとって拠点とも言える場所だったと考えられる。戦前の警察には衛生警察なる部署があり、感染症の調査などが警察の役割だったことにも驚いた。(2年生)

歴史学を勉強しようと考えてみると文献は意外にも少ないと感じる。その中で小学校の日誌を研究対象とするのは目から鱗だった。書かれる対象が学校内の他の先生や生徒の様子であるので大きな括りとしては地域史や民衆史になるのかもしれないと考えた。
地域の教育を記録した日誌は、戦争へ進んでいくための施策を記録していたことが印象に残った。民衆の考えを変化させるためにはよく教育が利用されることがあり、その浸透の様子が今後の時勢を見る参考になりそうだと思った。(2年生)

出欠欄の欠席者数や感染の広がり状況からスペイン風邪の検討をおこなう過程が面白かったです。
戦前の警察は衛生警察として伝染予防の注射を行っていたなど、初めて知ることが沢山ありました。また複数の学校史料を見比べることで「感冒の予防器」や「予防用口覆」がマスクという意味だと分かった時のように、一つの史料に着目するばかりではなく、いくつかの史料を見比べることで事実が分かる過程も面白いなと思いました。(3年生)

3年生になってからゼミが始まり、資料に触れる機会が増え、特に私自身、研究を行っているのが近現代、第二次世界大戦の辺りなため、今回のお話は非常に興味深かった。
ラジオを学校に聴きに行ったり、学校で散髪や入浴を行ったり、この時期の学校というのが想像以上に人々の暮らしの中で重要なファクターだったのだと知ることができた。
また、運動会の競技名に戦争の内容が盛り込まれているのは、当時の人々の生活の中ではそれが普通だったのかと思うと興味深かった。(3年生)

今回の講義を受けて学校日誌が資料になるなんてととても驚きました。そもそも戦時中の学校日誌が現在まで残っていたというのが一番の驚きです。学校日誌は政治史の史料などと比べてしまうと貴重史料とは考えられない人が多いと思います。そんな中で児童がどんどん入れ替わる中捨てられなかったのも戦火で焼けることなく残っていたのもすごいなと思いました。また内容に関してもスペイン風邪の流行の推移などが見られるとは思っていませんでした。どのようなものから必要な情報が得られるのか分からないのでこれから卒論でも様々な可能性を考えて史料を集めていきたいと思います。(3年生)

今回の講話では、一次史料の残りにくさと史料が持つ情報のリアルさが伝わってきました。題材のひとつがスペイン風邪という現在の状況に通じるものだったので、大正時代の記述との違いを感じて興味深く聞いていました。警察が保健所の役割を兼ねていたり、マスク作りがスペイン風邪の流行をきっかけに盛んになったりしたことなど、史料を読むことで新しい知識に出会える面白さがありました。「史料をただの1コマではなく、『自分がこの場にいたら』『置き換えたら』と考えながら見るのも1つだ」という一言が印象に残っています。(4年生)

戦時中の日誌では、ラジオの情報を掲示にして地域の人々に知らせたり、召集された人々に軍服を配布するなど、学校も戦争に深く関わっていた施設であったことが分かりました。深夜に動員命令が出されていたということも記述から分かり、なぜ夜中に出されるのか疑問に思いました。また、祝勝会の様子や運動会の競技など地域の人々の戦争への思いがとても感じられました。
このように、学校日誌という一次史料を読み解くことで今まで知ることのできなかった戦時中の様子や地域の人々の思いについて学ぶことができ、また地域住民という身近な存在の思いを知ることで、自分が今後戦争についてどのように考えるか、どのような世界を望んでいくかを考えるきっかけになったように感じました。(4年生)

今回の特殊研究講座で一番印象を受けたことは、先生が当時の人に寄り添った研究をしていらっしゃったことです。例えば、大正時の学級日誌に当時の津波の影響が書いてあったお話です。先生は日誌に書いてある「津波での死者ゼロ」を見て、「昔のことではあるけれども安堵する」とおっしゃっていました。それ以外にも学級通信の可愛い挿絵が、戦争時に刀を持った軍人の挿絵に変わってしまったことを、先生はとても悲しく思っていらっしゃいました。この先生の、当時の方々に寄り添った研究はとても素敵だなと思い、私もそのような研究がしたいなと思いました。(4年生)


学生たちも触れていますが、史料調査の過程で、大平先生は、一度確認した史料が、次にその学校を訪問したときには綺麗さっぱり捨てられていたという経験を何度もなさったそうです。そして歴史史料に対する教育現場の関心の低さを非常に憂えていらっしゃいます。

私もその話しを聞いて、激しい焦燥感を覚えます。もし史料の価値が本当に理解されているのであれば、その小学校で学ぶ児童たちにとっても、地域で生活するみなさんにとっても、何者にも変えられない宝物であるはずなのに……。

歴文生のみなさんは社会に出てから、そうした事態があったときには、大平先生のお話を思い出して、どうか史料の守り手になってください!

私も大平先生にお会いするのは久しぶりだったので、ご講義後、ツーショットでパシャリ!

大平先生、お忙しい中、本当にありがとうございました!

【授業風景】「コミュニティーアート(TUJ協働)」 [2020年11月02日(月)]

「コミュニティーアート(TUJ協働)」は2020年9月に新規開講した科目で、テンプル大学ジャパンキャンパス の学生と共にグローバルな視点から地域社会とアートについて考える授業です。英語と日本語によるバイリンガルの授業で、履修者はアート・プロジェクトを提案して実現させ、最新のアート・ドキュメンテーションの方法についても学びます。本年度は世田谷美術館や黄金町バザールを見学し、アートによる地域活性化について考えていきます。

10月26日(月)はこの授業の一環として、ストリート・ペインターの松本かなこさんに構内でチョークアートをしていただき、附属校の園児・小学生とともに行う公開制作をマネージメントしました。

 

松本かなこさんは2006年より、イタリアにてマドンナーラ(チョークで地面に絵を描く仕事をする人)の活動を開始されました。2008年より、国内外の大道芸フェスティバルにて路上パフォーマンス、壁画などの制作も行うなか子ども達との共同制作やライブパフォーマンスなど様々活躍されております。歴文のSanchartでは2013年にも秋桜祭でチョークアートをしていただきました。

まず松本さんがカボチャの部分を描いていきました

次に、こども園の園児や初等部の生徒がチョークで描き込んでいきます

完成直後のチョークアート

完成から1週間たったチョークアート

<参加学生の声>

プロジェクトの内容を学生同士で自由に考えられるので、難しいですが毎回楽しんで授業を受けています。(Y.A)

チョークアート班では、ストリートアーティストの松本さんにカボチャと魔女の帽子をイメージした作品を制作していただきました。幼稚園や小学校の子供たちも参加し、素敵な作品ができました。(O.F)

コミュニティを作る上でアートは重要なものであると感じました。消えていくことを含めてのアートだと感じました。(S.M)

今回はチョークアートが柱となりましたが、アート作品が人の足を止め、そこから会話がうまれたり、一つのものに心を奪われる瞬間を他者と共有したりと、目に見えない交流を生み出す力に魅力を感じました。(A.A)

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チョークアートは大学内の8号館西館側の入り口前にあります。徐々に薄くなっていますが、大学に来た際はぜひ足をお運びください。

(木下亮・助手O)