【本の紹介】飲食朝鮮―帝国の中の「食」経済史 [2020年03月10日(火)]

こんにちは、松田忍(日本近現代史)です。

新型コロナウイルスの流行でさまざまな行事が自粛されている昨今、若い皆さんもなかなか活動的に動くことができないでいらっしゃるかと思います。ただそんな中、家でもやれることがあると思います。その一つが読書です。今日は松田オススメの本を1冊紹介します。

林采成さんの『飲食朝鮮―帝国の中の「食」経済史』(名古屋大学出版会、2019年)です。

みなさんも歴史で勉強した通り、1910年から1945年までの間、朝鮮は日本の植民地でした。ところで植民地支配というと政治的に「支配する/支配される」のみに注目され、大日本帝国を範囲とする経済圏や文化圏が成立したことは見落としがちなのではないでしょうか。

近年の研究では、たとえば当時の修学旅行で朝鮮半島や満洲にいくことが不思議ではなかったことや、学校を卒業し「いざ就職!」となった若者達が大日本帝国全域を就職先として想定していたことなど、さまざまな事例が指摘されるようになりました。また、その移動も日本から植民地だけではなく、植民地から日本へ、植民地から植民地へと、双方向に数多くの人が行き交ったことが注目されています。戦争と外交の結果として形成された大日本帝国の存在が、人びとが生活する範囲を大きく変えていったともいえるでしょう。

さて、林さんのこの本は大日本帝国の経済圏を「食」分野に絞って切り取った斬新な本です。

とりあげられている事例は、米、牛(牛肉)、朝鮮人参、牛乳、りんご、明太子、焼酎、ビール、煙草と我々の身近にある食品や嗜好品なのですが、それぞれの産品をめぐって日本と朝鮮との関係が展開する様子が本当に面白いんです!!

たとえばりんごを見てみましょう。

朝鮮では、李氏朝鮮時代の末期にはりんごがつくられるようになっていましたが、商業的な栽培ではなかったそうです。しかし日露戦争(1904~1905年)以後、日本人の農業移民が朝鮮半島でりんご栽培をはじめ、日本人技術者からの技術指導を受けて、朝鮮半島の特定地域にりんごの特産地が生まれます。特産地では、やがてりんご果樹園を経営する朝鮮人もうまれ、さらに技術改良を進めた結果、ついに青森のりんごと朝鮮のりんごがライバルとなったそうです。

その激烈な販売競争は当時「苹果戦」(ひょうかせん)と言われたそうです。「苹果」というのは昔のことばで「りんご」を意味することばですから、つまり「りんご戦争!」ってことですね。

そしてついに1940年代になると、青森と朝鮮のりんご特産地の「利害調整」のために朝鮮総督府が介入してきます。それでも朝鮮におけるりんご生産は発展を続け、1945年以降も朝鮮の食文化にりんごが深く根づいていくというお話しです。

このストーリーをみると、帝国圏内の政治や経済や文化がりんご1つにギュッと凝縮されているような面白さを感じますよね!

次に牛(牛肉)を見てみましょうか。

文明開化の時代から明治時代後半、さらに大正時代へと時代が進み、日本に牛肉を食べる文化が急速に広まっていきます。とはいっても最初から肉牛として肥育する牧畜が盛んになったわけではなく、牛を農作業などに使ったのち、大きくなってきたら肉用として売却することが普通でした。

一方朝鮮半島においては、牛を使った農業が日本よりも幅広くおこなわれており、長い歴史的な背景がありました。そして日本牛よりも朝鮮牛のほうが体格も良く繁殖力が高かったのです。

そこに目を付けた日本人は朝鮮牛を買ってきて、日本で育てて役牛として用い、肉を売ることを始めます。その移入規模は毎年数万頭に達しました。また「満洲国」も朝鮮牛に目をつけたため、朝鮮から「満洲」に売られる牛も1万頭以上の規模に達しました。それは朝鮮牛が「帝国の牛」になっていく過程だったと述べられています。

しかし1930年代から40年代にかけて、日本牛の体格が良くなっていくのに対し、「健康な」朝鮮牛が移出されていった結果、朝鮮牛の体格はどんどん小さくなっていきます。「健康な」牛の産地として栄えた朝鮮でしたが、結果として、「朝鮮牛は日本牛の増殖のための補給源に過ぎなかったといわざるを得ない」(74ページ)と林さんは結論づけています。

ここにもまた単純な「収奪する/される」の関係だけではなく、利益を求めたり、新しいものを食べたいと思う一人一人の人間の動きが束となったときに、歴史を形成するダイナミズムが生まれることを感じられますよね。こうした動きをイメージできていれば植民地の意味もより深く理解できそうです。

その他の章も、朝鮮半島との密接な関係がうみだした福岡の明太子など抜群に面白い事例ばかりです。さまざまなデータも豊富に掲載されていて、グラフを眺めているだけでも気づくことはたくさんあるよ!

是非自分で手にとって読んでみよう!

 

雑誌サブスクのすすめ【特に新入生に!】 [2020年02月25日(火)]

こんにちは、松田忍(日本近現代史)です。

今サブスク(サブスクリプション)が流行っていますよね。動画の定額サービス、音楽の定額サービス、ゲームの定額サービス、はたまた定食屋の定額サービスまで登場して、世の中のトレンドになっています。

動画や音楽については、趣味に応じて、そして生活が崩壊しない程度(笑)に応じて、うまく使って行けばいいかと思いますが、私が歴文生、特にこの4月から大学生活をはじめる新入生に対してオススメしたいのが、雑誌サブスクです。

美容院で髪を切って貰うときなど、雑誌を渡されて読みながら切って貰うことありますよね。松田も昔はちゃんと若者雑誌渡されていたのに、最近はだんだんとおっさん向け雑誌を渡されるようになり、「あぁ↓」と落ち込んだりする、アレです笑 でも最近はタブレットを渡されて、雑誌サブスクから自由に好きな雑誌読んで下さいなっていうお店も増えてきたように思います。

雑誌サブスクは月額数百円を払うことによって、数百誌の雑誌がスマホで読み放題になるサービスです。紙で売られている雑誌の全ての記事が読めるわけではありませんが、それでも得られる情報のコスパは最強です。

いくつかの会社が雑誌サブスク事業を展開していて、どれを選べばいいのか迷うかも分かりませんが、基本どれでも大した違いはないのかな?(調べてみて下さい)。私自身はdマガジンを使っていますが、別にドコモさんのファンだったとかいう訳でもなく、たまたま最初に登録したのがdマガジンで、あとは特に不満もなく、使い続けています。

でもお金のない学生だったら「情報だったらインターネットサーフィンすれば無料じゃん?雑誌に書かれているような情報も大事なものはネットのどこかにあるだろうから、わざわざ数百円払うのももったいない!」と思うかもしれません。

そんな学生に松田が言いたいことは……「ネットの世界は急速に『縮小』しつつある」ことです!!

大事なことなので、もういちど言います。

インターネットの世界は無限であるようにみえて、実は急速に縮小しつつあるように思います!!

インターネット黎明期からネットサーフィンしつづけてきた人間からすると、今のネットは窮屈でなりません。つまりネットサーフィンしていて、新たな考え方に出会ったり、新しいサイトにいきつくチャンスがものすごく小さくなっているように思います。

その理由として挙げられるのは、ネット検索技術の高度な発達と個人の嗜好を特定して提示していく広告技術の発達です。ネット世界は自分の「好きなこと」ばかりが提示される空間になりつつあります。みなさんもなにか欲しいものがあって検索したら、それ以降もそのものの関連情報ばかりが表示されるようになった経験があるかもしれません。

あるいは、あるアイドルグループのことを調べるとして、そのグループのファンだったら「アイドルグループ名 + かっこいい」とかで検索しますよね?一方で嫌いだったら「アイドルグループ名 + 嫌い」で検索するかもしれません。そうするとネット空間は、たちまち君たちの嗜好に賛同してくれる声ばかりが集まる「イエスマンだらけの空間」になってしまいます。それで自分の気持ちは満たされるかも分からないですが、狭い空間ではありますよね。

また無限ともいえるくらい膨大な情報がネットにあるとはいっても、検索して探すということが基本になっている中で、そもそもの検索ワード自体を知らなければ、たどりつくことが出来ませんし、視野を広げることも出来ません。

【雑誌サブスクのすすめ その1 視野を広げよう!】

そうした視野を広げるのに役立つのが、まず本や新聞や雑誌を「眺める」生活習慣です。

通学のスキマ時間、授業が始まる前のスキマ時間、スマホで雑誌の表紙を眺め、気になるものがあったら記事を読んでみる。そうすることで、あなたの社会的経験値はどんどん上昇するよ!

また雑誌に目を通して、キーワードを知ると逆にネットの価値も飛躍的に向上します。だって洋服探すのだって、ブランド名知らなかったら永遠にそのサイトにたどりつけないじゃん?でも雑誌で見て、「これいいな~」って服をみつけたら、その名前で検索できるじゃん?

【雑誌サブスクのすすめ その2 自分の知らない世界を知ろう!】

次に雑誌サブスクの利点をあげると、普段本屋さんで絶対立ち寄らないコーナーの雑誌も気軽に見られます。

たとえば先日松田はオシャレ業界に興味がある就活学生と話していて、いくつかの女性誌が話題になりました。松田は現代の女性誌については詳しくないわけですが、その後すぐにサブスクで『non・no』を読んでみて、はじめて『non・no』が,高校生から大学生、そして社会人になっていくときの女性たちのお手本的な立ち位置の雑誌なんだなと理解できました。そして後日その学生との業界研究の話題がさらに広がりました。

『non・no』なんて、松田のようなおっさんが本屋さんで立ち読みしていたらちょっと不審ですよね?笑 もちろん悪いことをしているわけじゃないが若干憚られるし、レジに出すときは「いやー娘に頼まれまして~」って言い訳したくもなる笑

だけど雑誌サブスクならば気軽に見られる。

君らだったらなんになるんだろう?おそらく年上層とか男性が読んでそうな雑誌にさらーと目を通しておくことが多分君らの強みになる。

【雑誌サブスクのすすめ その3 情報を比較しよう!】

さらに雑誌サブスクには、同じ分野について、複数の雑誌で書かれた記事を一気に横断してみることができる機能もあります。この機能はもっと充実して欲しいと思っていますが、少なくともそういう横断的な利用の仕方もできる。

これはすごく面白い!雑誌がだされた曜日によって、段々と情報が詳しくなっていく様子をみることもできるし、情報ソースの違いによって、同じ事件の描かれ方でもかなり違っていることを体感できる。

情報の成り立ち方をきっと感覚的に掴むことが出来る様になるよ。

【雑誌サブスクをさらに活用するために!】

メディアには二通りあります。「キーワードを使って必要な情報を探してくる図書館やネット」、「キーワードの束を向こうからプッシュして押し出してくれる新聞や雑誌」、片一方だけではダメ!その両方を行き来することが大学に入ってから視野を広げていくためのポイントだと思うぞ。

この記事を読んで、「おっ、楽しそう!」と思ったら、是非情報面での「大学デビュー」をしてみよう!

昭和女子大学PR動画がyoutubeに出現! [2020年02月21日(金)]

こんにちは、松田忍です。

昭和女子大学PR動画がyoutubeにupされています!

受験生は大学の雰囲気を知るために!

在学生は動画になるとこんな感じなのねと感じるために!

卒業生は当時のキャンパスと今のキャンパスの違いを探す間違い探しのために!(笑)

是非ご覧下さいませ!

そして「いいね」……待ってるよ?笑

歴文教員おすすめの一冊 [2020年02月19日(水)]

春からご入学の皆様へ

新年度に向けてのこの春におすすめの一冊を歴文の先生方からセレクト頂きました。

一足早く大学生気分で興味のおもむくままに読んでみましょう!

 

・高埜利彦編『近世史講義』(ちくま新書)
・松沢裕作『生きづらい明治社会―不安と競争の時代』(岩波ジュニア新書)
・岡本隆司『世界史とつなげて学ぶ 中国全史』(東洋経済新報社)
・池上俊一『森と山と川でたどるドイツ史』(岩波ジュニア新書)
・榊原悟『日本絵画のあそび』(岩波新書)
・小松和彦『妖怪文化入門』(角川ソフィア文庫)
・毛利和雄『高松塚古墳は守れるか―保存科学の挑戦』(NHKブックス)

 

歴史文化学科教員一同、皆さんにお目にかかる日を心待ちにしています。

牧野元紀

 

【授業紹介】日本近現代史料解読・後期 [2020年02月16日(日)]

こんにちは!松田忍です。本日は「日本近現代史料解読」の授業紹介をします。

「日本近現代史料解読」は歴史学研究に欠かせない歴史史料の扱い方を教えているのですが、「史料を解読する」といっても2種類の意味があります。

まず1つ目の意味。それは史料に書かれている内容のうち、分からない謎の部分を解き明かして、深く読み込んでいくスキルを意味します。

たとえば、2020年2月14日に、君が友達に送った手紙の中で「こないだのミーティングでのあなたの意見に私は賛成です!」って書いたとします。そしてその手紙が歴史史料として後世に残されて、第三者の歴史家がみたときは謎がたくさんあるのです。たとえば「『こないだのミーティング』って、いつ、だれと話し合ったことを意味するのか」が謎!さらに「『あなたの意見』ってのが、何に対するどんな意見なのか」が謎!

その手紙と他の史料と組み合わせたり、辞書や年表で調べたりすることによって、そうした謎を解いていくスキルは「日本近現代史料解読」の前期パート(4月~7月)で育成しています。

一方「史料を解読する」の2つ目の意味として、筆で書かれたぐにゃぐにゃした文字(くずし字と言います)を、文字どおり読みとっていくスキルを指します。このスキルは「日本近現代史料解読」の後期パート(10月~1月)で育成しています。

前期パートの授業風景は以前紹介したことがあるので、今日は後期パートの授業風景の写真を紹介します

今学期教材としたのは、明治・大正時代の政治家原敬が筆で書いた日記です。

授業の進め方に沿って写真をみていきましょう。

①その日読み解く部分のくずし字を私がホワイトボードに転写していきます。

学生たちは予習もしてきていますが、それでも読めなかった字を再度ウンウンと悩みながら、読み解いていきます。

写真の赤矢印つけた二人の学生は私語をしているじゃないか!!と思われるかも知れませんが、この授業に関しては「私語OK!」にしています。もちろん授業に関係する私語ですが。

たとえば「この字、なんだと思う?」「たぶんこの左の部分がニンベンじゃない?」「いやこれはテヘンじゃないの?」「ワンチャン、イトヘンもあるよね~」みたいに、楽しみながら謎を解いていくような会話ね。

だってくずし字を読み解くのは、あーでもない、こーでもないとみんなでワイワイとやった方が楽しいし、そのほうが身につくからね!だから学生たちがくずし字を読み解く時間は「しゃべりながらやろうぜ!」と私から伝えています。

※ちなみに…… 当たり前ですが、昭和女子大学の授業ではまず私語はありません。新聞などのメディアでは「私語で授業にならない」大学が存在するなどという嘆かわしい情報もありますが、ここ昭和女子大学に関してはそういう心配は全く無用です。集中して学問を習得する雰囲気や、学びを邪魔する学生を嫌う風土があります。

②松田の転写がおわったら、学生の分担を一行ずつ決めて、青字で読み取れた漢字を書いていきます。みんな一斉にホワイトボードに取りつきます。

友達同士で結構「協力プレイ」があったり笑

「あと一歩このパーツが分からないんです!」みたいな学生がいたら、松田がアドバイスしたり。

そんな雰囲気で授業は進みます。

③全員書き終わったら、みんな席に戻り、松田の解説のもと、全員で一文字ずつ丁寧に読んでいきます。

今年度は30人ほどの受講生がいたのですが、松田からはみんなにあてまくります。ランダムにあてるのですが、たぶん90分の授業で、みんな1~2回ずつ当たるのではないかな。

松田から質問するのは以下のような内容。

「この文字って、いくつのパーツ(部首)からできてるとおもう?」

「カンムリは何カンムリの可能性がある?」

「この文字と同じ文字がホワイトボードに2個あるよ。同じ形の字を探してみ?」

「そもそもこの筆の繋がりは2文字分?それともあわせて1文字分?」

「筆の流れが小さな結び目みたいになっているこの部分は、楷書にするとどんな形になる?」

松田の指導方針は、くずし字をパーツに分けて考えて、パーツごとに分析して読めるようにしていくことです。また筆のラインがクロスしていたり、筆跡に濃淡があったりしますから、そうした特徴を一つずつ覚えていってだんだんと読めるようになっていきます。

15回の授業を通じて、みんな少しずつ目の付けどころを学んでいきまして、全くの初習者であっても、最終的には8割~9割の文字が読めるようになっていきます。さらに頑張って予習復習している学生ならば、もっと読めるようになります。

学生たちはくずし字を読むのは楽しいようでして、授業最終回で感想をかいてもらったら「今学期の授業の中で一番面白かった」とか、「絶対読めないと思っていたのが最後の方にはなんとなく読めるようになってきて感動した」とかポジティブなコメント多数!松田としてもとても嬉しかったです。

しかも今学期は他学科の学生もたくさん受講していました。日本語日本文学科、英語コミュニケーション学科、ビジネスデザイン学科、福祉社会学科、環境デザイン学科、食安全マネジメント学科などなど。

歴史文化学科の学生ならば、もちろん歴史学研究の基礎力を身につけるために受講しているわけですが、他学科の学生たちにとっても、くずし字を読めることは人生に自信と豊かさを与えてくれると思います。「まっすぐに資格だけを取れればよい」とかではなく、幅広く教養を身につけることができるのが、5学部14学科を要する総合大学である昭和女子大学の強みなんだろうなと思います。

ってことで、この記事を読んだみなさん!金曜4限に開講していますので、ぜひ履修してみて下さいね!

合格おめでとうございます [2020年02月07日(金)]

合格おめでとうございます。歴史文化学科長の大谷津早苗です。
歴史文化学科では「手で考え、足で見る」をモットーに、歴史(日本史、東洋史、西洋史、地理)と文化(美術、民俗、考古、文化財)の2つの分野について、総合的かつ多角的に学びます。そのため、少人数制のゼミに力を入れ、実習系の授業を多く開講し、かつ海外研修も用意しています。また、学科の学びを実践するプロジェクト活動や、テンプル大学ジャパンキャンパスとのアートを通じての交流活動も盛んですし、テンプル大学アート学科と協働する授業科目も新設しました。

ぜひ、入学して歴史文化学科でさまざまな学びを実践してみませんか。教員一同、みなさんの入学を楽しみにしています。

歴史文化学科長 大谷津早苗

授業紹介:文化財保存学基礎 Part3 [2020年01月26日(日)]

こんにちは、歴文1年のAとIです。今回は、昨年10月17日に文化財保存学の授業の中で行われた上田ターニャさんの講演について紹介します!

上田さんは、アメリカ・ボストンにあるボストン美術館(Museum of Fine Arts、略称MFA)において修復のお仕事をされています。MFAでは明治時代に岡倉天心がアジア部門の部長を務めていたため日本の美術品が多く収蔵されていて、またアメリカ最古の東洋美術修復所があります。

私たちは、この夏にボストン・サマーセッションに参加し、その際田中先生と一緒にMFAなどを見てまわり、お話を聞かせていただく機会に恵まれました。MFAでは美術品修復の様子が一般の見学者にもガラス越しに公開されています。こういった試みはまだ日本ではあまり行われておらず、とても面白い試みだと感じました。

 

 

 

 

↑夏にMFAでみた”Conservation in Action”の展示。仏像(左)と油絵(右)を公開修復していました。

 

今回の日本での上田さんの授業では、MFAのなりたち、Conservation and Collection Managementの組織について、そしてそこでどのようなお仕事をされているかなど、詳しく伺うことが出来ました!

MFAには、7つの工房があります。

1.アジア絵画、浮世絵版画

2.家具、額、楽器

3.立体修復

4.西洋絵画(油絵)

5.紙本修復、写真

6.染織品や衣装

7.分析部(年代測定など)

その他所蔵品を管理する部門や、5万点程ある版画を額に入れる職員、立体物を収納・固定する職員がいます。

その中でも私たちが特に興味を持った部門はアジア絵画です!MFAのアジア絵画の工房では、主に日本絵画や中国絵画を取り扱っています。

日本絵画の工房は、日本の工房と全く同じ作りになっており、畳敷きの部屋に低い机を使って作業しています。外国の方が日本人のように正座をして緻密な作業をしている姿がとても印象的でした!一方、中国絵画は主に立って作業を行います。大きな作品が多いため、修復にはかなりの時間を要します。あまりにも大きい作品はギャラリー内で修復することもあり、その様子を間近に見学することが出来ます!

実際に見学者の方には人気なのですが、多くの人に見られながら作業するため当初は職人さんが嫌がることが多かったそうです(笑)。MFAではこうした修復作業の展示化が早くから行われていて、修理中の作品の全体像が分かるように壁に飾ってあったり、X線写真等の中身が見えている写真を説明文と共に掲示してあったりと工夫が凝らされています。

アジア絵画の修復は他の分野に比べて認知度が低く、工房はかなり少ないそうです。上田さんのお話では、現在後継者の育成に力を入れており、インターンシップなどを通じアメリカ人学生を増やしたいとのことでした。MFAのスタッフの方々の活動はもとより、このブログを通してアジア絵画修復のことを皆さんに知って頂けたら幸いです。上田さん、ご講演頂きまして本当にありがとうございました。

OGがいらっしゃいました! [2020年01月25日(土)]

こんにちは、松田忍(日本近現代史)です。

土曜日に大学にきて、ぼちぼちと事務作業をしていると、2014年度卒業のOG2人から「今大学にいますか?」と突然連絡がはいりました。下北沢で一緒に遊んでいて、そのままの流れで「大学に行こう!」となったとのこと。こういう来訪は大歓迎ですので、お迎えいたしました。

立派な卒論を書き上げたおふたりだったのですが、歴史に対する好奇心や知識は今も健在でした。現在のゼミ生が進めている戦後史の研究の話をすると、ものすごい食いつきっぷりでありまして、たいへん楽しく議論をいたしました。また転職したり仕事を続けたりと人生の選択はありつつも、ガッツをもって充実した生活を送っていらっしゃることがお話と笑顔から伝わって参りました。たいへんよろしい!笑

たまたま2人は松田ゼミ出身ですが、それ以外のゼミ出身者であっても、本当に歴文はたくさんのOGが「帰って」きます笑 顔写真をみて懐かしいと思ったそこのあなた!ぜひ歴文に顔を出して下さい!

ではでは。

 

【やられたらやりかえす!】松田先生紹介 [2020年01月12日(日)]

あけましておめでとうございます。歴史文化学科4年のYです。

私は、戦後史史料を後世に伝えるプロジェクトのメンバーでもあり、日本近現代史ゼミのメンバーでもあります。

以前、「戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト」のメンバー紹介を松田先生が記事に書いてくださったので…「【やられたらやりかえす!】松田先生紹介」をしたいと思います!

松田先生を紹介する上で最も忘れてはいけないところが、松岡○造ばりに「熱い‼️」ところ!

昭和女子大学自体がとても学生の面倒見が良い大学なのですが、松田先生は特にめちゃくちゃ「熱い‼️」(笑)

歴文ブログの色々な記事を読んで頂くと分かるかと思うんですが、学生をホントによく見ていらっしゃいます!その上で、プロジェクトでもゼミでも、学生ごとの向き不向きや限度を分かった上で、個人にあった指導をしてくださいます。

たこパの最中でも熱血卒論指導!(すぐ隣ではたこ焼き食べてるのに笑 たこ焼きの煙でぼやけています)

学生それぞれをよくご覧になっているので、「そのままの自分では無理ですが」「少し頑張ったら出来て」「少しずつ成長できる」位のギリギリの難易度の課題をいつも出されるので、「できません!」ともいえず「やるしかない」境地に追い込まれます(笑)

さらに時として鬼かと思うほどの指導も入ります。プロジェクトの文化祭パネルの章構成は文化祭1週間前に確定をするまでに5、6回書き直しています。松田先生は妥協の「GO」を出さず、にこやかに「ダメ」とおっしゃります。しかも悔しいことに「ダメ」な理由も丁寧に説明されて、学生自身にも理解できてしまうから、またしても「やるしかない」境地に追い込まれます(笑)

学生は「もう!!何回やるんだ!」と言いつつも悔しいので頑張る、先生に出す、直され叩かれる、悔しいから頑張る…そんな繰り返しをしています。

それは卒業論文指導についても同じでした(なんとか1月8日に提出できました!)。何度も何度もチェックを受け、細かいところやニュアンスなど、どうしたら伝わるかを考え「松田のチェックは不要です!」とGOを受けてから印刷に入りました。

卒業論文を書き終えたゼミの仲間たちも「先生と面談すると読む本が増える…!!」「先生と面談したあとは必ず卒論の章構成が変わる!!」「提出直前で書かなきゃいけない章が1個増えた!!」と個人指導の思い出を語っています。

無残にも真っ赤っかにされてしまった私の卒論原稿

しかし叩かれても私たち学生が頑張れる背景には、「原稿を出したら必ず何か『次に繋がる導き』をもらえる」という信頼があるからだと思います。

そして、この信頼の影には返信の速さが!!時には、真夜中でも返信きます(笑)

松田先生紹介の二つ目がサポート力‼️

プロジェクトで議論を進める際の情報共有ツールとして、「onenote」があります。「onenote」を私たちが使うときには、既にたくさんの新聞記事や取り上げる被爆者の情報、被爆者の記事、アプリ内のフォルダ設定などが用意されていて、活動記録を共有する土台を整えてくださっていたので、後々の確認や取材を受けるときには大変活躍をしました。

プロジェクトを進める環境が整っていたのは、松田先生だったからこそだと思います!

被爆者インタビュー時の質問もキレッキレ(インタビューの仕方も見よう見まねで学べました)

そして、最後に取り上げるのが、松田先生の人当たりのよさ!

基本的に誰にでも話しかけていくスタイルの松田先生(笑)

先生のパソコンに入ってる写真は学科の学生の名前と顔が分かるように分類されていて、「あの学生は誰だ?」となったらそれで確認するそうです(笑)

授業じゃなくても本気!プロジェクト展示にやってきた歴文生にも激アツ対応

プロジェクトを頑張っていた1年生は、月曜1限の松田先生の授業「歴史学概論」を受けて、「大学最初の授業でいろいろと緊張してたのですが、松田先生の人当たりの良さで楽しく授業受けられました!笑笑 もちろんいい意味で!ですよ!」と語ってくれました~

そんな松田先生のもとで取り組んできたプロジェクトも2年目を終えようとしています。既に次に向けて動き出したところですが、来年はどんな展示になるのか、引き続き研究を進めていきたいと思います!

頑張っている学生を放置することもたまによくある

以上、「やられたらやりかえす松田先生紹介」でしたー!


(以下、松田コメント)

この記事をアップした時点で、何名かのプロジェクト学生が「仕返しに(?)松田紹介記事を書く」といっていたのですが、このほど本当に送られてきました笑 「このまま載せろ!」とのことなので、検閲なしでアップします。(松田忍)

原典講読でリヒテンシュタイン展を鑑賞しました [2020年01月10日(金)]

西洋史の山本です。こんにちは。

私が担当している「原典講読」という授業は、おもに西洋史ゼミへの所属を希望する2年生を対象としたもので、西洋史関連の日本語や英語の文献を輪読したり、受講者各自が関心があるテーマを報告してもらったりしています。また「手で考え、足で見る」という歴文のモットーに基づき、羽ペンや羊皮紙を作るような実習型授業にも力を入れています。

今回はそうした試みの一貫として、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「リヒテンシュタイン展」を鑑賞しました。ご存知の方もいると思いますが、リヒテンシュタインは人口3万5000人程度の「ミニ国家」であり、リヒテンシュタイン侯が実質的な国家元首を務めるユニークな国家です。リヒテンシュタイン家は14世紀から20世紀初頭までハプスブルク家に仕えており、優れた芸術工芸品を蒐集することを家訓としていたとか。今回の展覧会ではその非常に貴重なコレクションを味わうことができまた。

鑑賞風景1(撮影可能エリアにて)

以下では学生の学生をご紹介します。

…現在世界で唯一、家名が国名になっているのはリヒテンシュタイン侯国だけである。その伯爵家の人々が長年かけて集めてきたコレクション。明るく、華やかで癒される作品が多いように感じた。そこから、今も昔も美術は人々に大きな影響を与える力をもっていることがよく分かった…。(歴文2年Aさん)

…一番興味深かったのは中国で生まれた景徳鎮にブロンズの装飾金具が付けられた陶磁器である。他国で生まれたものに改めて装飾を加えるというのは今までに見たことがなかった。東洋の技術で絵付けされた壺に西洋のデザインの装飾を付されているというのは調和しない気もするが、描かれた絵と金具の桑の実などが綺麗に噛み合い、一つの作品として成立しているのが見ていて何とも不思議な心地にさせられた…。(歴文2年Bさん)

…今回展示されていた花卉画はどれも写実的で、鮮やかな色彩と色々な種類の植物が一枚の画面に収められている様は、たしかに人目を惹く。展示解説によれば、リヒテンシュタイン侯フランツ一世は「花の皇帝」と呼ばれていたそうだ。昔の皇帝が現代人と同じく花卉画に魅了されていたと考えると、花卉画は流行に左右されない、普遍的な美しさを持つテーマの一つなのかもしれない。画家ごとに花卉画を見比べると、花・果実・動物の描き分けに秀でた者、葉の表現が肉厚な者、花を挿している磁器や金属の表現が細密な者、明暗の効果で大胆に花を魅せる者、とそれぞれの個性よく表されていて面白かった…。(歴文2年Cさん)

鑑賞風景2(撮影可能エリアにて)

昭和女子大学の歴史文化学科では、一年次より「博物館・美術館の見方」を徹底的に教え込んでおり、また最近ではテンプル大学との連携したグローバルな企画も積極的におこなわれております。そうした教育の成果か、芸術に作品に対して主体的かつ真摯な態度で向き合い、そこから多くの情報を読み取ろうとする学生が多い印象を受けました。西洋史に限らず歴史文化に関心があり、それを深く味わう方法を学びたいと考えている受験生の方がいましたら、ぜひ「昭和の歴文」を検討してみて欲しいと思います。