在学生へのメッセージをお願いします
是非強調したいのは、「専門外のことも学んでください」ということです。
具体的には、「社会への関心」と「歴史への関心」を持つことです。
私から見ると、今の学生には、身近なことや世間の流行には関心があるのだけど、これらが本当に欠けていると思います。
心理学科を希望する受験生へのメッセージをお願いします
そうですね。大学へ来たら専門は学ぶわけですから、その前(大学へ入る前)に、教養的なものは身につけてほしいと思います。そうでないと専門も活きません。専門を学んでから教養を学ぶというのは難しいのです。
だからまだ中学や高校のどういう方向に行くか分からないうちに、なんでも吸収しておいてそこから専門を深めていくとよいでしょう。そうすると、心理学は身近なものになると思います。
学生にお勧めの本などありましたら、ご紹介をお願いします
そうですね。幅広く読んだほうがいいですが、歴史モノはオススメです。
司馬遼太郎の本は資料に基づいて歴史をわかりやすく書いているので、非常に面白いし、勉強になります。
あと、文学作品などは、若いうちに長編を読んでおくとよいですね。若い頃に読み残しているものとか挑戦したけどギブアップしたものとか、そういうものは年を重ねてくるともう一度挑戦したくなります。だから是非若いうちに、今はちょっと難しいなあと思うような本にチャレンジするのもよいと思います。
それから、今年千年紀を迎えている『源氏物語』もオススメですね。原典までいけるくらいだといいのですが…。
いずれにせよ、自分が関心を持つテーマの本を、本屋や図書館に行ってみつけることが大切です。そしてそれを一冊でも二冊でもいいから熟読するのです。
今ここにある本は、鉛筆であちこちメモが書いてあるんです。
昔は「本は汚しちゃいけない」と思ってましたが、ある時期から、本はノートと同じだと思うようになりました。
なんでも書き込むのです。書き込んじゃうといいんですよ。そうすると、一字一句が全部関心事になるでしょう。そこから考えていく。すっと流したら、どんなお勧めの本を読んでも何の意味もないのです。
これ全部、電車の中で書いたんですよ。だからたいしたことは書いてません。「重要」ということが書きたいんです。
いろんなところに重要と書いていたら、重要にも程度が出てきた。だから「極めて重要」というのが出てくるのです。あとからここをもう一度読もうと思って(笑)。(その意味では「本は買うもの」ですね?)そうだと思います(笑)。
渡邊先生、ありがとうございました。
(インタビュアー:心理学科准教授 藤島 喜嗣先生 2008年11月 渡邊研究室にて)
渡邊 佳明先生 略歴
1965年 3月 東京大学文学部 仏文科 卒業
1971年 4月 法務省入局(国家公務員上級甲(心理・法務技官))
1976年~82年 法務総合研究所に出向
1993年 岐阜少年鑑別所長に就任
以後、大津、和歌山、千葉、札幌少年鑑別所長を歴任し、2002年 4月より昭和女子大学 大学院生活機構研究科 教授