2011年度ボストン・サマーセッションの心理学プログラムへの参加者は全11名でした。8月の中旬から9月上旬まで、約1カ月のプログラムです🛫
心理学プログラムは、大学院生による心理学の講義、ゲストスピーカーによるアスペルガー症候群や精神科看護についての講義、ボストン大学やハーバード大学、パーキンス盲学校、タフツ大学、マーサ・エリオット・ヘルス・センターの見学など、様々な体験で構成されていました。
盲学校では、実際にアイ・マスクをして歩きまわる体験がありました。見えない人は大変ですが、見えない人を案内してまわる見える人は、具体的で適確な状況説明をしなければなりません。見えないことだけでなく、見えることを改めて考え直す体験となったようです。
ゲストスピーカーの講義のひとつは、大学に入学後に自らもアスペルガー症候群であることに気づいた講師による授業でした。アスペルガー症候群を持つ人たちを「障害をもつ人たち」と見るのではなく「違う文化を持つ人たち」と理解してほしいという言葉が胸に残ったとのことでした。
タフツ大学では、「ゼロ・トレランス」という教育制度の問題点について学びました。これは学校での逸脱行動に厳しく処置する教育制度ですが、実際には人種の違う教員によるステレオタイプ的な評価が生徒への逸脱行動への過度に厳しい対応に影響を及ぼしていること、そのために、主にマイノリティの少年たちが放校されていること、退学後には仕事もなく犯罪へ直結している現状も学びました。学校から刑務所へのパイプラインができている厳しい社会がそこにあります。
ハーバード大学では有名なスキナーボックスをみることもできました。心理学の講師となった大学院生の知識と経験、工夫にあふれる興味深い授業に感動しました。「疑問や意見があれば先生の話を遮っても質問すればよい」、それは決して失礼なことではなく、むしろ積極的だとして発言が高く評価される授業も経験しました。最初のうちは通訳なしではわからなかった授業が、1カ月後には通訳なしで理解できるようになったことが本当に嬉しかったそうです。
街へ出ればカラフルで大盛りの食べ物に象徴されるような豊かさの一方で、主にマイノリティのホームレスがたくさんいる現実も目にしました。昭和ボストンでの生活、その外のアメリカの生活すべてが、参加者にとっては貴重な異文化体験でした。