平成30年度 授業紹介01:発達心理学

大学も夏休みに入り、学生たちの生活もひと段落しました。

今年も夏休み期間には、在学生や、本学心理学科の受験をお考えいただいております受験生の方へも向けて、大学で実施している授業の紹介を数回に分けて行いたいと思います。

実際の心理学科生がどのように学んでいるかについて、ご一読いただけると幸いです。

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心理学研究の中で、繰り返し検討されてきているテーマの一つが「ひとの個人差は遺伝によって決まるのか、環境によって決まるのか」という問題です。1年生の必修授業の『発達心理学』では、入学して最初の授業テーマとして、「遺伝―環境論争」を取りあげました。

授業では、<心理学では、このテーマをどのような研究方法を用いて検討しようとしてきたのか>という視点から紹介しますが、それに先立って、宿題として、①自分はこの論争について、どちらの立場をとるか、②周囲の誰か一人(できれば、学生ではなく、年齢の離れている人が望ましい)にも、どちらの立場をとるか尋ねる、を課したうえで、授業中にグループ討論をしました。グループ討論では、「ひとの個人差は遺伝によって決まるのか、環境によって決まるのか」についての意見交換のみでなく、自分たちの考えの正しさを実証するための研究計画立案にも取り組みました。

入学してまだまもなく、最初は緊張していたようですし、研究計画立案には戸惑いもあったようですが、自分と異なる考え方に接して刺激を受け、途中からは皆楽しそうに、かつ熱心に議論をしていました。討論後の感想文を読むと、自分の考えを意識化すること、自分とは異なる人の意見を聞いたこと、そして、研究計画を立てる試みをしたことは、大学での学びのウォーミングアップになったようです。

授業の後半は、グループで話し合ったことを、全体で共有するために、発表してもらいました。1年生ながら、堂々と発表する姿を、頼もしいと感じました。

討論についての感想をいくつか紹介します。

「環境派が多かったけれど、なぜ環境なのかという理由は、皆異なっていて驚きました。ディスカッションは初めての経験で、不安でしたが、楽しかったし、人の意見を聞くことは大切だと思いました。」

「ディスカッションは得意ではないけれど、いろいろな意見が聞けたり、みんなで意見を出し合って研究方法を考えたりすることの面白さを学んだ。ぜひまたやりたい。」

「今まで考えたことのないテーマで、宿題(注:「人の個人差は意見により決まるか、環境により決まるか」について、学生自身の考えをまとめるとともに、誰かもう一人の人の考えを聞いてくる)を考えるときはもやもやしていたが、皆で討論することで自分の考えていたもやもやがはっきりしてきた。」

(授業担当者:藤崎春代)