2021年6月2日に,公認心理師科目「心理実習」の学外実習として,心身障害児総合医療療育センターを訪問しました。
皆さんは「療育」という言葉をご存知でしょうか?
実はこの言葉は心身障害児総合医療療育センターの創設者である故・高木憲次博士(東京大学名誉教授,整形外科)によって提唱された言葉で,「病気の治療(狭義の医療)だけにとどまらず,社会的自立に向けた教育もあわせて行っていくこと」を意味します。
この療育の理念に基づき,同センターは心身に障害のある子どものための総合的な医療療育相談機関として医療・教育・福祉のサービスを提供しています。
センターは複数の施設や部門で構成されていますが,当日は以下の施設および部門を見学しました。
■整肢療護園(医療型障害児入所施設※・療養介護施設※)
手足の不自由な子どもたち(肢体不自由児)をはじめとするさまざまな障害のある子どもたちのための入所支援および外来での療育・相談支援を行っている施設。
→当日は,在宅生活が困難となっている子どもたちが入所している病棟などいくつかの病棟を見学しました。
◎医療型障害児入所施設 児童福祉法に基づき,身体や精神に障害のある児童や知的障害のある児童に対して入所により保護や日常生活の指導や必要な知識や技能の付与を行う障害児入所支援のうち,医療も提供する施設。 |
◎療養介護施設 障害者総合支援法に基づき,18歳以上の身体や精神に障害のある児童や知的障害のある入所者に対して障害福祉サービスにより年齢に応じた適切な支援を提供する施設。入所児童が18歳以上になっても支援が継続されるように,障害児入所施設と合わせ一体化して運営することが可能。 |
■むらさき愛育園(医療型障害児入所施設※・療養介護施設※)
心身ともに重度の障害を抱えている子どもや大人の方(重症心身障害児・者)のための施設で,生活のための支援やそのために必要な治療,教育,看護を行う。
→当日は,病棟での看護の様子やスヌーズレン※の部屋を見学しました。
◎スヌーズレン(Snoezelen) オランダの知的障害のある人々が住む施設ハルテンベルグセンターで生まれた活動とその理念を指す言葉。スニッフレン(クンクンとあたりを探索する),ドゥースレン(ウトウトくつろぐ)という2つのオランダ語を組み合わせた造語であり「自由に探索したり,くつろぐ様子」を意味する。障害が重い人たちでも楽しめるよう光,音,香り,振動,触覚の素材,温度などを組み合わせた感覚刺激によりリラックスできる空間を提供する。 |
■外来療育部門
整形外科・小児科・小児精神科・歯科・リハビリテーション科など,さまざまな病気や障害の診療のために外来診察を行っている部門。重度の肢体不自由児を対象とした児童発達支援※事業として通園も行っている。
→当日は,リハビリテーション室で理学療法や作業療法の支援場面を見学しました。
◎児童発達支援 上記の障害児入所支援に対し通所による支援を行う障害児通所支援のうち,日常生活の指導や必要な知識および技能の付与,集団生活への適応訓練などの支援を行うもの。 |
さまざまな施設を目にし,支援の実際に触れる機会を得たことで,学生たちは知識として学んでいた「障害」や「支援」という言葉の意味をそれぞれ深めていたようです。
学生による体験談は以下の記事をご覧ください。
▶2021年度 公認心理師科目「心理実習」【実習体験談】心身障害児総合医療療育センター
(「心理実習」担当教員)
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心理実習の実施模様についてはタグ「心理実習」をご覧ください。
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