公認心理師科目の「心理実習」では,心理職が働くさまざまな分野で実習を行っています。
今年度後期には,「産業・労働」分野の見学実習として,SMBCグリーンサービス大手町業務部を訪問しました。
SMBCグリーンサービスは,1991(平成2年)に三井住友銀行の特例子会社※として創業して以来,厚労省の「精神障害者雇用促進モデル事業」にも選ばれるなど,障害者雇用において先進的な取り組みをされています。
※特例子会社…障害者の雇用促進および安定のため,雇用にあたり特別の配慮をする子会社のこと。一定規模以上の民間企業は従業員のうち2.3%(2021[令和3]年3月1日より)以上の障害者雇用が「障害者雇用促進法」で義務づけられているが,一定の基準を満たす場合,特例子会社の障害者雇用を親会社と合算して算定することが可能。
当日は,会社概要について説明いただいた後,実際の職場見学も行いました💡
また,障害者の雇用や定着に関する支援を行う就業支援カウンセラーの方から,「産業・労働」分野における心理職の働き方についてもお話いただき,質疑応答にも応じていただきました。
当日,見学実習に参加した実習生の感想を紹介します。
実習前は、「産業・労働」分野における心理職のイメージとして固いイメージをもっていました。ですが、障害持つ方々が働いている職場を実際に観察してみると、とても暖かい雰囲気を感じました。
具体的には、お互いに「〜はとても良かったと思います」などのプラスのフィードバックを行っていたり、書類や物資を運ぶ際にも「行ってらっしゃい」という声かけをしていたり、業務内容も一つひとつ丁寧に確認していたりなど、やり取りのすべてにおいて安心が感じられるコミュニケーションが行われていました。
今回の実習を通して、障害をもつ方もそうでない方も安心して働けるような環境づくりのために、カウンセリングに留まらない役割が、心理職に求められていると感じました。
(4B 小沼)
前半は、郵便物を仕分けして各部署に届ける作業を見学しました。作業を行う際には、仕分けをした人とは別の人が2度点検する、マルチタスクを避ける、といったミスを避けるための工夫がなされていました。
また、2人以上で郵便物を運ぶ際には、1人が前で安全確認をしながら進み、もう1人は安全確認に対して返事をしながら荷物を運ぶシステムがあることで、お互いに安心して作業ができるという説明がありました。こういった工夫1つ1つが、障害の有無に関係なく作業効率を高めることにつながっていると思いました。
後半の就業支援カウンセラーの方のお話を聞いて印象的だったのは、障害をもつ方に対するカウンセリングスキルだけでなく、コミュニケーションやマナーに関する社員研修も行うため、分かりやすいスライドを作ったり、障害に関する知識などを的確に説明するためのプレゼンテーションスキルも必要になるということです。
現場のニーズに十分対応できるよう、資格取得後も絶えず学びを続けていくことが大切だと感じました。
(4B 津吹)
実は,就業支援カウンセラーの方の中には,本学大学院心理学専攻出身のOGの方もいらっしゃいます😊
実習生は先輩が働く現場を見ることで、心理職としてのキャリアのイメージもより具体的になったようです✨
(「心理実習」担当教員)
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