2024年度 方法論科目「心理演習」・3:模擬多職種カンファレンス

公認心理師に必要な基本的知識および技能に関して、演習を通じて学んでいく「心理演習」に関して,これまで知能検査,およびカウンセリングの演習回を紹介しました。

心理演習・1

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心理演習・2

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授業の後半ではこれまで学んできた知識をもとに,架空事例を通じて生物(Bio)-心理(Psycho)-社会(Social)モデルに基づく理解と支援ニーズの把握を行い,さらに支援計画を練るなど,より実践的な演習を行っています。


 

保健医療分野の回では,摂食障害(神経性やせ症)の架空事例をもとに模擬多職種カンファレンスを行い,多職種連携チームアプローチを実践的に学んでもらうことを目的にしています。

模擬多職種カンファレンスでは

  • 小児科医
  • 精神科医
  • 看護師
  • 心理職
  • 養護教諭

の5つの役を学生に割り振りました。

カンファレンスを行う前に,架空事例に関する共通の情報を確認した上で,それぞれの役しか知り得ない個別の情報を役ごとに伝えました。

役ごとに分かれ,個別の情報をしっかり読み込んでもらいます💡

その上で,どのように摂食障害のケースを理解し,支援方針を立てるか40分かけて話し合ってもらいました。

初めての体験にも関わらず,役になりきって取り組んでいました👍️

授業の前には摂食障害の基本的知識を学んでもらうために,解説動画を観てもらうなど反転授業形式で行いました。

カンファレンスのねらいや摂食障害の診断基準などを動画で学んでもらいました。

動画以外にも事前学習資料として摂食障害の対応ガイドラインも読んでもらうなど,少なくない負担がありましたが,皆さん積極的に授業に取り組んでいました。

また,反転授業形式にすることで,授業時間を模擬多職種カンファレンスとその振り返りに十分使うことができました。

学生の感想からも,

  • 自分にとっては明らかな情報でも,チームにとっては明らかでないこともあり情報共有の大切さを感じた。
  • それぞれの役の人間関係に細かい設定があり,そのことで上手く情報を共有できなかったが,専門家の前にまず人間だということを痛感した。
  • 患者さん本人が困っていることよりも,いつの間にか「◯◯を行うのか否か」という対立構造に逸れていくと感じた。
  • 専門知識がないので何をどう聞いたら良いかわからず,情報が深まらなかった。
  • 自分たちが知りたい情報についての質問が多くなり,患者さん本人の気持ちの背景まで考えることが難しかった。

とあるように,多職種連携におけるコミュニケーションの難しさと大切さをしっかりと感じ取ってもらえたようです。

なお,模擬多職種カンファレンスは今年度から新たに授業内容に盛り込んだ試みです💡

これまでの公認心理師カリキュラムに関する調査結果を分析した結果,心理面接心理検査の学習だけに偏らない学びが求められていることが明らかとなりました。

岩山 孝幸(2024).「心理実習」に求められる学びのあり方について(4) -「心理演習」のシラバス分析をもとに- 昭和女子大学生活心理研究所紀要,26,83-90.

そこで,今回は多職種連携におけるコミュニケーションを学んでもらうことを目的とした内容にアップデートしました。今後も,社会から求められる心理専門職を育てていくために,定期的に授業内容の見直しと改善を行っていきます。

(「心理演習」授業担当)


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