産業・組織心理学が専門の本多ハワード素子先生が,リクルートマネジメントソリューションズからインタビューを受けました💁♀️
「過組織症候群(メガホリズム)」という概念を使い個人と集団の心理の視点から大事件を引き起こした企業の事例を研究している昭…
「過組織症候群(メガホリズム)」
今回のインタビューでは「過組織症候群(メガホリズム)」と呼ばれる,贈収賄や食品偽装など公的機関や大企業が起こした重大な不祥事の背景にある組織人が陥りやすい現象がテーマとなっています。
具体的には,コスト削減のために産地偽装を行うことが当たり前になっていくように,所属する組織がおかしな方針やルールによって動いていても,おかしいと思う自らの判断力や倫理観が,組織の価値観に染まっていく=組織に過剰に適応することで正常に機能しなくなる現象を指します。
日本においては,例えば営業職が「顧客のニーズを汲み取り,最適な提案が行えることがやりがいだ」のように個人としての職業アイデンティティよりも,「私は◯◯社の一員だ」のような組織アイデンティティが拠り所にされやすく,「過組織症候群(メガホリズム)」が蔓延しやすいことも指摘されています。
詳細はぜひインタビュー記事をお読みください😊
なお,本多ハワード素子先生は民間企業および研究所での実務経験があり,今回の「過組織症候群(メガホリズム)」だけでなく,リーダーシップやチームワークなどを扱う産業・組織心理学を実践的に学べる授業運営を行っています💁♀️
心理学科では学びの土台となる概論科目である 「心理学概論」 「発達心理学」 「社会心理学概論」 「臨床心理学概論」 をベースに,「認知」「発達」「臨床」「社会」の4領域の学びを深める科目を「各論科目」として[…]
本多ハワード素子先生の著書
佐藤 眞一・本多-ハワード 素子 (2010). メガホリズム――組織に巣食う原罪―― CCCメディアハウス
組織が引き起こす重大な不祥事の背景にある「過組織症候群(メガホリズム)」について,実際の贈収賄事件や食品偽装問題などを事例にそのメカニズムを解き明かし,改善や予防のために何ができるかを解説した一冊です。不祥事が生じると特定の個人や組織に原因をもとめがちですが,その背景にある組織人なら誰でもかかる可能性のある病理としてみなすことで,健全な組織になるために必要な要素が見えてきます。 |
岡本 浩一・王 晋民・本多-ハワード 素子 (2006). 内部告発のマネジメント――コンプライアンスの社会技術―― 新曜社
内部告発を日本で初めて社会心理学の観点から解説した本です。内部告発という組織や告発者だけではなく,告発者の生活への影響も大きい心理社会的な現象を冷静に分析し,組織には不正が起こり得るという前提のもと,あるべき仕組みづくりについても言及されています。企業のコンプライアンス(法令遵守)が一層重要視されるようになってきた現在において,特に価値ある一冊となっています。 |
(アドミッション広報)