学科ブログでは、これまで学生の研究や教員の論文などを紹介してきました。
今回は、本学科准教授の榊原良太先生が分担執筆した書籍についてご紹介します📕
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『デルタ・ベースボール・リポート 8 』(2025) 著:岡田友輔/道作/蛭川皓平/佐藤文彦/市川博久/榊原良太/三好侑里/沖原大知/宮下博志/辻捷右発行:水曜社 |
本書の魅力や背景について榊原先生に紙上インタビューを行いました🎤
本書は、野球データを扱うアナリストたちが、野球界⚾に存在するさまざまな問いにデータ分析で挑み、その成果をまとめたものです。
近年よく耳にするセイバーメトリクス(※)に関するものをはじめ、多様な視点からの分析結果が収録されています。
私は本書で、「誰が、なぜデータ野球を嫌うのか?――認知的要因に着目した検討」というテーマについて、調査結果を報告しました。
(※)野球におけるデータを統計学的に分析する手法
感情心理学・社会心理学が専門の榊原良太先生がインタビューを受け、「日本野球学会」(2024年12月開催)で発表した研究内容が読売新聞オンライン、Yahooニュースに掲載されました。 記事では、研究内容の他、研究のきっかけを紹介し、榊原先生[…]
きっかけは、「データ野球」が必ずしも野球界で一様に歓迎されているわけではない、という点への関心です。
ある戦術について、データ分析によって「得点の期待値を下げる」ことが示されたとしても、その知見が素直に受け入れられるとは限りません。
むしろ「しょせんはデータ」と反発されることもしばしばです。
こうした態度は、私の研究テーマの1つである「科学否定」と通じるところがあると感じ、心理学的に検討してみようと考えました。
学科ブログではこれまで学生の研究や教員の論文などをご紹介してきました。 今回は、本学科准教授の榊原良太先生が翻訳に携わった書籍をご紹介します📕 『科学を否定する人たちーーなぜ否定するのか?我々はいかに向き合うべきか?[…]
「送りバント」は、日本の野球界で根強い支持を集める戦術です。
しかし、これまでのさまざまなデータ分析から、得点効率の面では有利ではなく、むしろ非効率であることが示されています。
この点は、野球界でも広く共有されているはずです。それにもかかわらず、本調査では「送りバントは重要な戦術である」と考える回答者が想像以上に多く、データ分析に基づく知見を浸透させることの難しさを痛感しました。
野球データの分析に特化した少しマニアックな本ですが、データに基づき物事を客観的に考えることの大切さが凝縮された一冊です。
「当たり前」だと信じられてきたことが、実際のデータではそうではなかった──というのは、野球に限らず他の場面でも起こり得ます。
本書を通じて、常識や自分の認識・経験をいったん疑い、「本当にそうか」「他の見方はないか」と問い直し、データを手がかりに考える姿勢を意識してもらえると嬉しいです。
(榊原 良太)
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榊原先生のその他の授業や研究発表については、タグ「榊原 良太先生」をご覧ください。


