心理学科・専任講師の岩山孝幸先生(臨床心理学専門)が、2月18日に開催された練馬福祉人材育成・研修センター様主催の研修会講師を担当しました。
当日は、練馬区内の介護・障害福祉サービス事業従事者を対象に「心のサポーター養成研修」を行いました。
心理学科・専任講師の岩山孝幸先生(臨床心理学分野)が、9月4日に開催された練馬福祉人材育成・研修センター様主催の研修会講師を担当しました。 当日は高齢者支え合いサポーター育成研修受講生対象の「スキルアップ研修」として「心のサポーター養[…]
心のサポーターとは?
厚生労働省が推進している「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築に向けた事業の一環で、初期対応が行える地域住民として「心のサポーター」を育成し、2033年度末までに全国100万人の担い手が誕生することが目標とされています。
心のサポーター養成研修を受講するためには特別な資格は必要なく、誰でも受講可能となっています。
心のサポーターには、こころの病気の有無にかかわらず、みんなで助け合い誰もが安心して自分らしく暮らしていける社会を実現するために、メンタルヘルスに関する正しい知識と理解に基づき、家族や同僚などの身近な人に対して、基本的な話の聴き方(傾聴)👂️をもとにした初期対応を行うことが期待されます。
岩山孝幸先生は公認心理師・臨床心理士として、公認心理師養成カリキュラムに関する授業を主に担当しているだけでなく、長く精神科医療の現場で心理職としても働いています。

なお、公認心理師は法律で「国民の心の保持増進に寄与する」ために、
心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。(公認心理師法第2条第4号)
を業として行うことが定められており、今回の研修もこの一環として行われています。
岩山先生に、研修会の様子を紹介いただきました💁🏻♀️
研修会の内容
研修会では、
- メンタルヘルスやこころの病気に関する正しい知識を持つ
- こころの病気を持つ方たちの体験、リカバリーを知る
- メンタルヘルス・ファーストエイド※1を踏まえて、身近な人のサポートの仕方を学ぶ
を到達目標として、初期対応を担える人材を育成するため、講義だけでなく、当事者の方の動画や受講生同士のワークも交えながら研修を行いました。

※1…メンタルヘルス・ファーストエイド(Mental Health First Aid:MHFA)…メンタルヘルスの問題を抱える人に対して、専門家が支援を行う前に提供される支援のこと。欧米では国家プロジェクトとして教育現場などで一般市民を対象に教育プログラムが実施され効果をあげている。①リスク評価・②判断、批評せずに話を聞く・③安心、情報を与える・④サポートを得るように勧める・⑤セルフヘルプの5つのステップで構成される。
また、共通研修の他に、選択研修として「てんかん」の内容も取り扱いました。
てんかんとは?
私たちの体をつくっている細胞にはすべて電気的流れがありますが、大脳の神経細胞(ニューロン)も、規則正しいリズムでお互いの調和を保ちながら電気的に活動しています。てんかん発作はこの穏やかなリズムを持った活動が突然壊れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰な放電)が生じることによっておきます。このため、てんかん発作はよく『脳の電気的嵐』にたとえられます。この電気的嵐は、脳波検査によっててんかん性異常波としてとらえることができます。
てんかんのある人は、100人に一人の割合でいると言われていますので、日本全国にはおおよそ100万人が推定されています。さらに一生の間に1回あるいは数回だけしか発作をおこさないようなてんかん周辺群も含めますと、その数はおおよそ人口の5%にもなると言われています。
てんかんに関する選択研修はやや駆け足となってしまったのは反省点ですが,これまで共同研究で調査してきた成果を踏まえた説明を行いました。
具体的には,てんかんを抱える人のスティグマについて紹介いたしました。てんかんを抱える人はスティグマ※苦しんでいることが知られており,このスティグマを減らしていくためには,周囲の人たちがてんかんに関して正確な知識を持つことが重要です。
※スティグマ(stigma)…精神疾患やてんかんなど特定の疾患や属性(特徴)を持つ人々に対して向けられる「偏見」や「差別的な態度」のこと。もとは「負の刻印」を意味するが、現在では心理社会的な文脈で広く使われ、大きく分けて2つの形があるとされている。1つは社会的スティグマ(social stigma)と呼ばれ、 社会一般や周囲の人々から向けられる偏見や差別のことを指す。もう一つは、セルフスティグマと呼ばれ、社会的な偏見を自分自身の中に取り込んでしまい(内在化)、偏見の対象となる疾患や特徴を持つ自分自身を否定的に捉えるようになった状態を指す。
- これまで発表した研究例
Epilepsy-related stigma remains a global concern that hinder…
知らないものを恐れるのが人間の性質ですが,少しでもてんかんに関する知識が増えて,スティグマを減らすきっかけとなっていれば幸いです。
今後も、地域で初期対応を担える「心のサポーター」を養成できるよう、機会があれば積極的に研修講師を務めていきたいと思っています。
(心理学科・岩山 孝幸)
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